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忘却の英雄  作者: 高原 巡
赤濡れ討伐編
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第五節『都市』


「じゃあまずはここはどこなんだ?」


「記憶を無くしてしまってるロプトさんに場所を言っても分からないと思いますけど……ここは、都市メギストンの南に位置する隠れ里、昔エルフ族が住んでいた里であり私の故郷でもあります」


「都市……エルフ族」

「はい、都市は三年前に四人の王によって作り上げられた人間の拠点のようなものです」

「三年前? それまではどこにいたんだ?」


「……わかりません」

「わからない?」


 わからないとはどういう事だろうか。

 まさかエイルも記憶がない? そんな偶然があるのだろうか。

 すると、エイルが重々しそうに口を開いた。


「三年前、私たちは目覚めました。そして目覚めた時、私たちは困惑しました。だって記憶が無いのだから」


「っ、私たちってエイルと誰の事なんだよ――」

「私たちというのは、私を含め三年前に目覚めた世界中の人達の事ですよ」

「――――」


 驚愕した。

 自分だけでなく大量の人間が記憶を失っていた。

 それは、あまりにも異常な現象であることは俺にでもわかることだった。


「三年前以降に目覚めた者はいれど、三年前よりも前の記憶を持つ者はいません。そう、私たちは三年前よりも前の記憶を誰も知りはしないんです」


「誰一人として、か?」

「まぁ、例外はもちろんいますが、それは今は置いておきましょう」


そこまで喋ると、エイルは立ち上がり俺に手を差し伸べた。


「そろそろ移動しませんか? これ以上ここにいると日が暮れちゃいますよ?」


 そう言うとまた彼女は満面の笑みで俺を見つめた。


 俺たちは森を抜けるため、歩き始めた。

 辺りはまだ日が昇っており、キラキラと輝いている。

 まだ森を抜けるには時間がかかるらしいので、俺は質問を続けた。


「ここは、エイルの故郷……なんだよな?」

「はい、そうですね。ここは私の故郷です」


「さっきここは、エルフの里だって言っていたよな……という事はエイルはエルフなのか? エルフってなんだ?」


「エルフは微精霊と呼ばれる空気に漂う生命が凝縮された生物だと言われています。魔法は微精霊との交信で放つものなので同族に位置するエルフは魔法を得意としています」


「生命の凝縮……そんな事ができるのか?」

「できる、と言うより起きるそうです。私たちエルフ族は世界樹ユグドラシルで生まれるらしいですから」


 エイルはそうゆうとキョロキョロし始め、何かを見つけたのか指をさした。


「あれです。ユグドラシル」

「え、そんなに近いのか?」


 エイルの指さした方を見ると、ぼんやりと佇む大きな大木らしいものが見えた。

 遠すぎてあまり見えないがとてつもなくでかいのは分かる。


「でかいなぁ、あそこからエイルも生まれたのか?」

「はい。おそらくですけどね。この情報は私が持っていた情報ですから」


「持っていた、情報?」

「さっき三年前の記憶はないって言いましたよね? もちろん誰も覚えてないんですが、なぜか最初からこの世界について説明できる人達がいるんです――まぁ一部分ですけどね」


 そう言って彼女は微笑を浮かべる。そしてまた口を開いた。


「私は目覚めた時に覚えていたのは自分がエルフ族だったのと、このエルフの里について、そしてエルフ族の誕生の仕方ですね」


 そこまで言うと、エイルは立ち止まりうなり始めた。


「エイル? どうした?」

「う〜んここらへんですかね?」


 エイルは腕を突き出しなにかに触ると、詠唱を唱えた。


「【開け、万象の扉】」


 エイルの手から波紋が出始め、あたりの雰囲気が変わり始めた。

 全体的に輝いて見えた森が、黒く不気味な雰囲気に変化する。

 周りの雰囲気が完全に変化すると、エイルは歩みを進めた。


「さぁ、行きましょう。もう森を抜けますよ」

「ああ、さっきのはなんだったんだ?」

「さっきのはエルフの里を包む結界を開けたんですよ。だから隠れ里なんです」


 先の方から光が見え始めた。

 もう森を抜けるのだろう。

 そう言えば行き先を聞いていなかった。


「エイル、この先は何があるんだ?」

「この先は――」


 そう言っている途中で視界が開ける。

 そこにあったのは強固そうな城壁とその先に見える多くの家だった。


「ここが、都市メギストン南に位置する、王ガイオスが治める魔法の町エテルノです」


 ここに何か因縁があるのか、エイルは険しい表情でこの町を見つめていた。

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