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秘密だらけの僕のお嫁さんは、大陸屈指の実力を誇るドラゴンスレイヤーです  作者: 甲斐 八雲
Main Story 10

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見たいですが何か?

 本日から本編の再開となります。

 そして安定のアルグスタです。シリアスってナンデスカ?

 温泉から戻って来たら、レニーラの爆弾発言を食らう羽目になった。

 その問題を抱える僕に容赦なく降り注ぐ次の問題……帰国しないで僕らを待っている剛の者たちが多数居たのだ。


 お客さんのモミジさんやオーガさんを逢わせる訳にはいかないので、仕方なく僕らが対応する。

 ノイエは無関心モードで僕の腕に抱き付き、僕は塩対応に徹してどうにか乗り切った。

 それからは屋敷で2日程だがノイエと甘々な生活を過ごしのんびり出来た。


 が……現実は容赦なく迫って来て僕らの休暇を終わらせたのだ。




「ん~」


 唸りながら椅子の背もたれに寄りかかり額に貼り付けた紙に息を吹きかける。

 ピラピラと揺れたそれを何となく見つめて……マジで困ったぞ?


「アルグスタ様。やる気を出して下さい」

「無理。ノイエ居ないし」

「居ますよ? お城には」


 クレアの言葉に間違いはない。

 だがノイエは現在個室に閉じ込められて隈なく調べられているのだ! 何故そのような場所に、この僕が同席出来ないのかを問いたい!


「何故だっ!」

「ビックリした~。もう何ですか?」


 とりあえず立ち上がり、額に貼り付けた紙越しでクレアが居るっぽい方を向く。

 お子様なクレアが見えないからこっちの方向で間違い無いはずだ。


「おかしいだろう? どうして僕が同席出来ない!」

「……見たいんですか? 自分のお嫁さんが採寸されている所を?」


 ジトッとした声が聞こえるのは気のせいだ。

 軽蔑の眼差しとかだったら君の秘密をイネル君に言っちゃうよ?


「見たいですが何か?」

「……」


 だが敢えて言おう。僕は軽蔑されても見たいのだ。

 違う知りたいのだ。ノイエの全ての数字を!


 この世界の数字は元居た世界と大差ない。つまり聞けば脳内で『cm』変換が出来る。

 ノイエの3サイズとか知りたいのだよ僕は!


「そんな態度だから同席を拒否されたんじゃないんですか? ノイエ様に」

「ぐっ!」


 クレアの言葉が胸を打つ。

 厳密に言うとノイエに拒否られた訳じゃ無い。先生が出て来て拒否ったのだ。


 何故だアイルローゼ。どうして僕の楽しみを奪い去る?


 今頃ノイエは全裸にされて採寸とかされているはずだ。鎧を作るのに全裸になる必要があるのかは知らないが、僕の脳内ではそんな絵面なのだから仕方ない。

 しかし見れないのだ。そんな猛烈に興味をそそる場面を!


 今にも泣き出しそうな感じで椅子に座り直す。

 裏から手を回し買収を持ち掛けどうにか数字を入手するしかないな。


「ところでアルグスタ様? ずっと額に何を張り付けているんですか?」

「ん? これには物凄いことが書かれているんだ。もしお前にこれを見る勇気がって、途中で毟るなよ」


 机に上半身を乗せて手を伸ばして来たクレアが紙を毟る。

 内容に目を通して、何故か一度視線を泳がせ……で、また食い入るように読み始めた。

 都合3回確認したクレアが、衝撃を受けた様子でよろめきその場にしゃがみ込む。


 それほどの物か? それほどだよな。


「お姉ちゃんが……除隊するって……どうしてですか!」

「結婚するんじゃないの?」

「っ!」


 復活して机に嚙り付いて来た相手にカウンターを放つ。

 正面から食らったクレアは目を見開いて驚いた。


「まあもう結婚しても良い年齢だしさ、それにルッテも騎士になったからね……丁度良い頃合いだと言えばそうなんだけど、正直フレアさんが抜けるのって痛すぎるんですよ~」

「って、苦情をわたしに言わないで下さい!」

「妹やん?」

「知らないですよ! わたしだって除隊することを今知ったんですから!」


 姉妹間で連絡取りあって無いの? コミュニケーション不足は良くないよ? 待て……旦那とのコミュニケーションを重視し過ぎて姉との会話を忘れていたとか言ったらお仕置きだな。


 パニックの余り、フレアさんの除隊届を両手に持ってクレアがクルクルと回っているのを眺める。


 現状としての問題は、問題が多過ぎて何一つ解決しないことだ。

 レニーラが伝えてくれた謎だってまだ打つ手が無くて困っているのに。


「とりあえずどうすっかな~」

「アルグスタ様っ!」

「ほい?」


 ちっさい男の子が慌てた様子で駆け込んで来た。

 クレアの夫であるイネル君だ。ここに来てから少しは身長が伸びたけど……まだ可愛い部類だな。


「どうかしたの?」

「衛兵の待機所で聞いたんですけど……アーネスさんが深酒をして暴れて捕まったとか」


 ビクッと何故かクレアが驚いて動きを止めた。


 いや待て。アーネス君が深酒って……見た目は少年だけど実際は僕より年上だったな。

 あの姿でワイン片手に飲んでたら補導対象な気がするけど。


「結婚祝いで楽しみ過ぎた?」

「結婚? じゃなくてフレアさんから婚約解消を告げられて暴れたって!」

「はぁ?」


 謎が謎を呼び出したぞ?




 持つべき物は現金の力。人としてどうかはさておき、アーネス君の調書をゲットした。

 内容は……フレアさんに婚姻解消を告げられてから毎晩のようにお酒を飲み、たまたま居合わせた同級生たちと口論になって犯行に及んでしまったらしい。

 実際は殴りかかって返り討ちに遭い、挙句に胃の中の物を戻してそれを掴んで相手に投げつけたとか……壮絶過ぎて何も言えない内容だけどさ。


「結果としてフレアさんは婚約解消して仕事を辞めると……何がしたいの?」

「だから知らないですよ! どうしたのよお姉ちゃん……」


 アーネス君の調書を読んだクレアがポロポロと泣き出し、イネル君が慌てて駆け寄って抱きしめている。

 うむ。確り夫をしているので上司の前でのラブラブ行為は大目に見てあげよう。


「ん~」


 唸りながら椅子を回して外を見る。


 まだ雪が降っているからドラゴンたちは静かなものだ。お陰でノイエと仲良く……アカン。頭の中の容量がいっぱいで現実逃避したがっている。


「本人に話を聞く……のはちょっと違うよな~」


 心配だけど完全にプライベートな話だ。

 ズカズカと相手の領分に足を突っ込みかき混ぜるのはなんか違う気がする。

『助けて』とか言われたら全力で手助けするけどね。


「しばらくは様子見かな?」


 あ~。たぶんこれは先生に叱られる案件な気がして来た。

 これを予見しての『お願い』だったら……マジで泣くよ。アイルローゼ先生。




(c) 2019 甲斐八雲

『作者の独り言』を本編では『作者からの一言』へ


 主人公……ようやくフレアの婚約破棄を知る

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