表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密だらけの僕のお嫁さんは、大陸屈指の実力を誇るドラゴンスレイヤーです  作者: 甲斐 八雲
Main Story 29

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2330/2334

違う。合法よ!

 大陸北西部・ユーファミラ王国内



 強行軍で街を通過した次の日の昼下がり……僕らはまったりしていた。


 途中で入手した荷車をゴーレムに轢かせ進んでいたらノイエが反応する。

 座っていたゴーレムの頭の上でスッと立ち上がるとクルクルとアホ毛を回す。


「アルグ様」

「ほい」

「何か来る」

「何かとは?」

「……」


 僕の問いにノイエはゆっくりと辺りを見渡した。


 国賓なのに馬車移動でないとかは特に気にしていない。というか馬車というか馬って生き物は草と飲み水が大量に必要である。よく見る異世界転生で馬車で長旅とか、その辺の飼葉とか水とか糞尿の心配を完全に無視したものなのである! まあ異世界の馬だから糞尿しないとか言い出したら勝てないけど。よって移動にはゴーレムが最適解だ。


 何故僕がゴーレムについて熱く語っているかと言うと、誤魔化しているからだ。

 何を? 頭の上に立つノイエのスカートから覗く黄金の三角形に自分が興奮しないようにだ。


 普段からノイエは空の上を移動したりしているが、不思議なことにスカートの中を覗くことができない。唯一中を覗けるのは僕だけらしい。

 つまり何かしらの加護でノイエは自分のスカートの中を守っている。


 それは良い。だが加護対象の範囲外の僕には丸見えである。


 さあ落ち着く。これはノイエの罠だ。ここで興奮してもしなくてもノイエは襲ってくる。


 あれ? しなくても襲って来るなら見た方が良いのでは?


「僕はどうしたら良いのだろうか?」

「すきにしてください」


 またまたこの“妹”さん? そんなことを言っていると新たなる野菜で大豊作するよ?


 確かズッキーニのような……野菜のカゴに手を伸ばしかけたら、コロネが僕の腕に抱き着いてきて全力で首を左右に振る。

 もう治療用の軟膏も無くなり、何よりようやく回復したお尻を必死に守っている感じだ。


「アルグ様」

「ほい?」


 ただ今度はノイエが反応した。

 ゴーレムから荷車へ移動してきた彼女は迷うことなくニンジンを手にする。


「次はこれで」

「ノイエさま~」


 慌ててノイエに抱き着いてコロネが命乞いしている。

 面倒臭そうにクルクルとアホ毛を回した彼女は、コロネの頭をペシペシして自分に抱き着いているコロネから逃れた。


「アルグ様」

「ほい?」

「あれ」


 スッとノイエが進行方向を指さす。


 えっと……テレサさんが犬の散歩のようにリードで引っ張っている悪魔じゃないよね? 浮いているだけなら魔力消費が少ないのよね~とか言って何故かテレサさんにリードの先を渡して犬の散歩状態だ。


 ただあれは目を開けているように見えて絶対に寝てるぞ? あれはたまに居る目を開けたままで寝れる人だ。起きてから目の渇きに驚いて『目がぁ~』とか叫んでのた打ち回るのだ。


「違う。もっと先」

「もっと?」


 ただ街道が続いている。荒地である。雑草は生えているが畑には向いていないとか。

 何でも土壌が硬くて塩気が強いらしい。その手の土は何度も耕して塩を吸い取る雑草を育てては、また耕してを繰り返し……気の長くなるような時間を費やせば畑を作ることはできる。


 まあそんな手間をかける余裕が無いからユーファミラ王国は貧乏なのであるが。


「何か来る」

「ん~」


 どうもノイエが見ている世界と僕が見ている世界は若干違う感じがするから大変なのである。


 あ~。微かに砂煙っぽいモノかな? そんなのが見えたような気がする。錯覚か?


「何人」

「……」


 指を倒してノイエが数える。


「たくさん」

「おひ」

「たくさん」


 指折り5本以上は『たくさん』なのですか? ノイエさん? こっちを見なさい。アホ毛で僕の顔を遠ざけようとしない。開き直って距離を詰めて来てキスしようとしない。

 挙句にコロネのお尻にニンジンの細い方を向けない。そろそろコロネが野菜を愛して止まなくなるか、トラウマを背負ってしまうからね?


「なら国王様かな?」


 テレサさんをロックオンしている性欲の塊らしい。


 しばらくノイエの手からコロネの尻を守っていたら、『ふがっ』とイビキをかいた悪魔が起きた。

 うん。起きた。起きた人特有のガクッとした感じからの辺りを見渡すという一連の動作を見せている。


「目がぁ~!」


 そして両目を抑えて箒の上で騒ぎ出した。馬鹿である。


「お~い。メイド」

「めぇがぁ~」

「はいはい」


 テレサさんからリードを回収して悪魔がこちらへ流れて来る。


 浮かんでいるだけだから何もしないと置いて行かれるのだ。その原理を利用して僕らの元へ流れてきたところを掴んで回収する。


「何で胸を掴むのかな?」

「お約束?」


 手を伸ばして掴んだのはちょうど悪魔の胸でした。


「……感想は?」

「大変慎ましく自己主張の少ない胸でございます」

「おおきくなるもん!」


 悪魔がキレる前に何故かコロネがキレた。


 はいはい。今の君はドラグナイト家のご令嬢なんですからね? 自分の胸を揉むように抱え込まないの。


「それで兄さま」


 箒から降りながらエプロンの裏にそれを片付けつつ悪魔が荷車に降りてきた。


 これこれ皆の衆。この荷車はユーファミラ王国にプレゼントする『聖なる塩』が乗っていることを忘れないようにね?

 ちなみにその塩を入れた壺は我が家のペットであるニクが腰かけているけどね。


「何か来るわよ」

「知ってる」


 ノイエが教えてくれた。


「何よそれ? せっかくわたしが警戒していたというのに」

「寝てたよね?」

「……」


 誤魔化さない誤魔化さない。頬に指を当てて可愛らしくポージングしても……まあそもそもポーラは可愛いから良く似合っているけどな。


「でも勘違いしないでよねっ!」


 だがいきなり腕を組んで悪魔がそんなことを言い出した。


「寝ながら瞑想しつつ色々なことを考えていたんだからね!」

「具体的には?」

「……新しいお尻用の玩具を作るべきか?」


 そんなことを君が考える必要はありません。エウリンカに任せておけ。


「まあ魔眼の方も色々と面倒なんだけど、何より御前が拗ねちゃって」

「母さんが?」


 あの人が拗ねる? まあ昔から可愛らしい系統の素振りを見せる母親ではあったが。


「猫を捕まえて返して欲しければ巨乳を引き渡せと」

「……」

「で、猫が『小さくないから』と御前に発言の訂正を求めて」

「……」

「でも御前もそこで引き下がらず『もっと大きい胸が欲しいのよ』と」

「……」

「それで猫が怒って現在大変な事態に」

「……あっそう」


 うん。魔眼の中も平和なのね。知ってた。


「暴徒鎮圧に毒っ子を派遣したからそろそろ鎮圧できるだろけど」


 まあファナッテの胸のサイズなら大半の人が納得するな。


「まき散らされた毒をどう浄化しようかと」

「そっちなの?」


 本気で鎮圧しに行ったのね。

 悪魔がやれやれと言った感じで頭を振った。


「まあ色々と調査しているけど姉さまの能力って謎が多くて困っているのよ」

「なるほど」


 それならば仕方がない。


「そんな訳でわたしはまた寝るけど、眠っているメイドに悪戯とかしちゃダメなんだからね」

「しないから寝ろ」

「そこはしなさいよ」

「どっちだよ!」


 するなと言っているのはそっちであろう?


 しかし悪魔はスカートを摘まんでお尻を振る。


「誘っているのだからここは兄さまが『ガオ~』とする場面でしょう?」

「ノイエが居るからお腹いっぱいです」

「チッチッチッ」


 指を振って悪魔が首を振る。


「ある人が言っていました。『それはそれ。これはこれ』と」


 誰だよ? そんな馬鹿なことを言ったのは?


「何より兄さま!」


 ビシッと悪魔が指先を向けてきた。


「何故異世界に来てロリに目覚めない!」

「犯罪やん」

「違う。合法よ!」


 そんな全力で力説されてもね?


「あっでもファシーとかリグとか」

「あれはロリ体型!」

「リグも?」

「……それに関しては後で議論の余地があるわ」


 認めよう。


「異世界に来た日本人なら葛藤に頭を抱えつつもロリに手を出すモノでしょう!」

「出さんて」


 だから犯罪だし。


「開き直って! そうすればロリッ子2人からのご奉仕とか夢のような展開が待っているのよ!」

「だから……2人?」


 僕の問いに悪魔がまず自分を指さす。

 まあ分かる。最近のポーラは色々と積極的にアピールしてくるからね。


 そして何故か悪魔は次いでドレス姿のコロネを指さした。


「ふへっ?」


 展開を理解していないコロネが間抜けな声を上げた。


「どう? 丁度良い感じの2人を相手にできるのよ!」

「コロネが納得していない様子だが?」


 戸惑いつつ顔が真っ赤だぞ?


「大丈夫。兄さまが命じれば股を開く。そうよね?」

「…………はい」


 長い沈黙の後にコロネが頷いたっ!


「さあこれで兄さまは異世界ハーレムをっ!」

「遠慮します」

「何故!」


 何故って。


「僕の性癖にお尻は無いので」

「「……」」


 その発言に何故かちびっ子2人が両手にゴボウを装備した。




© 2025 甲斐八雲

 国王陛下がたどり着く前に…ゴボウが大活躍だなw


 ちなみにノイエはボーっとしています

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新乙 ゴボウは細いから今の君には物足りないだろうに 最終的にお兄様の腕・・・これ以上は危険だ・・・ しかし 腐魔女はコロネの体のじゃなく本体ならアルグスタも誘惑できるだろうに
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ