表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密だらけの僕のお嫁さんは、大陸屈指の実力を誇るドラゴンスレイヤーです  作者: 甲斐 八雲
Main Story 28

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2190/2335

色んな意味で逝ってらっしゃい

 ユニバンス王国・北部ドラグナイト家別荘



「ラインリアさまはもう少し私をかまうですぅ~」

「あらあらまあまあ」


 床の上でジタバタと暴れるチビ姫がただの駄々っ子のようだ。実際ただの駄々っ子か。


「なら少し甘える? でもここに居るメイドたちがあとでスィークに告げ口したら、物凄く怒られるわよ? 『王妃なら王妃らしく』ってお尻を叩かれながら」

「かまわないですぅ~」


 王妃の尻を叩く件についてはどうでも良いのでしょうか?


 パッと表情を輝かせたチビ姫が立ち上がり義母さまに突撃しようとしたが、スッと姿を現したメイドたちが壁になる。見事に弾き返されてコロコロと床の上を転がった。


「何で邪魔をするですぅ~!」

「いいえ。そんな汚れた格好でラインリア様に抱き付かないで欲しいだけです」

「……」


 言われてチビ姫は自分の状態を確認した。床の上で駄々っ子をしていたから埃まみれだ。お子様サイズのメイド服が……うん。メイド服の汚れは分からんが、白いエプロンが埃で汚れている。


「洗ってから甘えましょうね。王妃様」

「むがぁ~! 私は必ず帰ってくるですぅ~!」


 悪役のような言葉を残し、チビ姫が部屋の中から強制的に退去させられた。まあ仕方ない。


「はい。ノイエ様。あとは背中をポンポンと」

「おもいっきり?」

「一回で全てを終えたいのでしたらどうぞ」

「むぅ」


 物騒な会話に視線を巡らせればノイエとフレアさんがノワールの世話をしている。厳密に言うとミルクを飲み終えたノワールの背中を叩いてゲップを出すことを教えている。もう何度も教えているのだが、そこはノイエだ。何度でも忘れる。


「兄さま? そろそろこっちを見ようか?」


 一瞬雑音が届いたような気がするが気のせいだ。この雑音は相手にしてはいけない。


 あとは……視線を向けて目が合った瞬間、ウチのメイド見習いのコロネが顔を真っ赤にした。そのまま顔を両手で覆ってしゃがみ込む。

 そんなリアクションを取られる方が辛い。まあ先ほどのお風呂場でのことはもう忘れて欲しい。


 頑張ったんだよ? あれでも頑張った方なんだよ? でもね? ノイエの圧が強すぎてあんな岩の遮蔽ぐらいじゃどうにもならなかったのです。

 最終的にはみんなから見られる格好で……まあ良い。旅の恥は搔き捨てだ。


 ただコロネの反応が初々しいのに、虚ろな目で力なく笑っているユリアは大丈夫か? 色々なことがありすぎて精神的にアウトか?


 それなら最終手段になるが悪魔に頼んで、おおっと。悪魔のネタは禁止だったな。

 知らない。僕はそんな悪魔とか知らない。


「知ってるでしょう?」


 また雑音が。怖い怖い。ノイエとの公開営みできっと僕も精神を……うん。何故だろう? ほんの少しだけ気分が良かった気がするのは? あれ? もしかして僕ってばそっちの性癖が? 怖い怖い。


 やはり旅の恥は掻き捨てだ。このまま色々なものを捨てて帰ろう。


「助けてよ兄さまっ!」


 知りません。そして君も旅先なのだから全てを捨てて帰ればいいんだよ? 恥とか恥とか恥とかを。


 仕方なく視線を向ければ、ジタバタと悪魔が暴れていた。義母さまに抱きしめられた彼女はその衣服をメイド服でなくて赤ちゃんが着るような物に変えている。首には涎掛けまでバッチリだ。

 ひと目で分かる。赤ちゃんプレイだ。ただ少女のような容姿の悪魔にそれを着せて行うとは……流石義母さまだ。凄いよ。僕にはできない。まあノイエを相手にこっそりする分なら悪くない。


「あとでする」

「屋敷に帰ってからお願いします」

「ダメ」


 まだお怒りのノイエさまがノワールの世話をしながらそう言ってくる。


 5回も搾り取っておきながらまだ求めるとは本当に貪欲なお嫁さんだ。おかげでスズネを中心としたメイドさんたちが現在お風呂場を清掃している。

 色々な液体が飛び散ったのが原因だが、物陰でしていた僕らの方が汚した割合は少ないはずだ。


「あら~。また義母さんのミルクが欲しくなったの~」

「違うからっ! そんな事実は無いからっ!」

「良いのよ。大丈夫。さあ、たんと飲みなさい」

「いやぁ~! もが~!」


 義母さまに抱えられた悪魔から断末魔が響く。


 何の力か母性の暴走か、義母さまの胸から母乳が出始めたのだ。それも最初は物凄い勢いでほとばしり、結果としてお風呂場のフル清掃となった。全ての温泉がミルク風呂になってしまったのだ。


「ちゅーちゅーしましょうね~」

「ふが~」


 そして運が悪いことに悪魔が何故か義母さまにロックオンされた。


 解放されたノワールを奪取しノイエに渡したおかげで現在の彼女は我が子の世話で僕への怒りを誤魔化している状態だ。忘れてはいない。


「うん。忘れない」


 おいおいハニー? そんな怖いことは言わなくても良いんだぜ? もう忘れたって良いんだぜ?


「絶対に忘れない」


 ノワールのオムツ交換をフレアさんから習うノイエの背中が物語る。あれはマジだと。


「もうむり……」

「あらあらまあまあ」


 口の端から母乳を垂らす悪魔は完全にグロッキー状態だ。


 凄いな義母さま。あの悪魔を手玉に取って……うん。ノイエですら人形扱いする義母さまだ。悪魔程度を手玉に取るとか簡単なことか。こわっ!


 ブルブルと震えつつまた視線をコロネに向けてみる。パタパタと手で顔を仰いでいたチビ助は、僕の視線に顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込んだ。普段の発言があれの割には反応が初心で可愛らしい。


 問題はその横に居るユリアだ。君はどうして自分のスカートに手をかけ捲り上げようとしているのかな? 悪魔の呪いチックな魔法が精神を汚染しているのか? それともあの魔法をかけられているという事実が彼女の精神を汚染しているのか?


 これはこれで面白い。しばらく観察対象とするか?


「少しミルクの匂いがするけど私は帰ってきたですぅ~」


 濡れた髪はそのままで、体にタオルを巻いただけのチビ姫が飛び込んできた。


 たぶんメイド服を脱いでそのまま全身お湯を被って帰ってきた感じか?


 彼女を追いかけて来たのであろうメイドさんたちが着替えの服と下着を持っている。で、どうしてそのチビの下着はいつもそんなエロい感じなのだ?

 年齢と容姿を考えろ。このチビにはカボチャパンツがお似合いだ。


「ラインリアさま~! 私にもそのミルクをぉ~!」


 マジか? 自ら赤ちゃんプレイに飛び込むのか? お前は勇者か?


 何故か満面の笑みで両手を上げ、某お菓子の看板のように走るチビ姫の体を覆うタオルがスルスルと外れる。うん。どう見てもまだ小学生だな。それも低学年だな。


「ダメです」


 だがチビ姫はまた立ちはだかったメイドさんの壁に弾かれる。

 コロコロと床を転がり大股開きで停止した。


 あ~うん。丸見えなのは事故だ。それにあれはノワールのオムツを交換した感じな気分になる。色気は皆無だな。やはり僕にはロリ方面を求める食指は無いらしい。


 ファシー? あれは年上ですし何より猫ですから。

 君たちは1歳の猫と5歳の猫とを見てどちらが何歳かなど分かるのか?


 ちなみに僕には分からない。分からないったら分からない。見分ける方法が存在していても僕は知らないから問題はない。つまり無知な僕からしたら猫は全て猫である。


 年齢は関係ないのだ!


 何の話だっけ?


「むがぁ~! 私にも愛が欲しいのですぅ~!」


 あ~あ。とうとうチビ姫がマジ泣きし始めた。それで良いのかこの国の王妃よ?


 ただギャン泣きしているチビ姫の様子に『あらあらまあまあ』と言いたげに義母さまが立ち上がる。

 片腕で悪魔を抱えて……必死に逃れようとしている悪魔の姿が痛々しい。


 頑張れ悪魔。たぶんその拘束からは逃れられない。


「もうキャミリー? 怒られても知りませんよ?」

「いいですぅ~」


 すげ~。叔母様を敵に回してもミルクを味わいたいとかどんな性癖か?


 でも義母さまは空いている手でチビ姫を抱え上げる。周りのメイドさんたちは義母さまの行動だからだということで制止しない。でも叔母さまに報告はするんだろう?


 そんなスパルタな君たちの精神は決して嫌いではない。


「もう……良いのよキャミリー。自分の母親だと思って好きなだけ甘えなさい」

「ん~」


 行ったよ。自ら進んで飲みに行ったよ。良いのかそれで?


 唖然とする僕の視線に気づいた義母さまがクスクスと笑う。


「この子は母親の愛を知らないので甘えたいのでしょう」

「ふ~ん」


 危ない。危うく僕も知らないとか口走りそうになった。セーフである。


 だが虚ろな目で悪魔がこっちを見て笑った。


「アウトよ兄さま」

「はい?」


 何を言っている? 現在義母さまの両腕は君たちを抱え……ポンと僕の肩に手が置かれた。


「アルグ様」

「……」


 目を閉じて顔を上げる。


 ノワールを使った赤ちゃんセラピーも効果は望めなかったか……覚悟を決めろ。大丈夫。僕は死なないらしい。ノイエが居る限り僕は死なない。


「ノイエっ!」

「なに?」


 振り返り正面から相手を見る。


 まだ怒った感じのノイエであるが、それでも僕のリアクションに驚いた感じだ。


 フハハハハ! 見せてくれようか?


「今から全力で勝負だっ!」

「!」


 ノイエのアホ毛が驚き起きた。


「お腹いっぱいにしてから寝室に来なさい!」

「……はい」


 僕の目の前から消えた。ノイエが一瞬で消えた。


「あ~兄さま?」


 悪魔の声に僕はゆっくりと振り返り、そしてサムズアップしてみせる。


「逝ってきます」

「うん。色んな意味で逝ってらっしゃい」




© 2025 甲斐八雲

 こんな終わりで良いのかw


 とりあえず温泉回はこれにておしまいです。

 温泉回? たぶん温泉回です。温泉はエロいモノです!


 無事に王都に帰って…あれが起こります。


 頑張れ主人公! 少しは働け!


 そんな訳で次回からヌルっと日常編からメインストーリーに移行していきます。



 感想や評価など頂けると作者のやる気がめっちゃ増えます!

 ご褒美でレビューとかくれるのが一番嬉しいです。思いのままを書いてみませんか?

 これからも面白くなるように頑張っていくので、応援よろしくです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
温泉回・・・ いつもの光景搾り取られる回
最初の頃のアルグからは考えられないくらい成長してるなぁ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ