プロローグ
やっと始まりました。冒頭って考えるの難しいですよね〜。
*注意*ラテン語などの言語は造語が多いので、流してお読みください。
それは初雪が降るなかだった。
やっと貰えた有休を満喫するために最寄り駅近くのスーパーでおでんの具と酒を買い漁り、お気に入りの本屋に寄る。
(あっ、またこの本最新刊出てる!ラッキー!)
店頭に並んでいるお気に入りのファンタジー小説最新刊と、他に応用おでん料理本やネットで買い漁った本を読むためにラテン語単語辞典を手に取り、レジに持っていく。
(有休の間にラテン語覚えて「ローマの知られざる歴史書」原文を読んでしまおう)
子供の頃から訳されたものより原文のままの方が作者の意図や気持ちが伝わって好きだった。
おかげでハ○ポタや孫子の兵法、グリム童話などの原文を読むためだけに英語中国語ドイツ語イタリア語などの様々な語学に手を出し、読んで書けても聴けない喋れないという中途半端な形に落ち着いてしまった。
後悔もしてないので今回もするがね!
そんなことを考えながら家に着き、おでんを作り酒を片手にラテン語単語辞典を読み開く。
しばらく経つと携帯が鳴る。目線を落とすと友人からだった。
『藍那、藍那!聴いて!今日今やっと隠しキャラまで全コンプしたの!いゃ〜長かったわ〜………』
こんな感じで興奮気味に話し始めた友人は大学からの親友で、いつも嵌っている乙女系ゲームの話しばかりする腐女子なるオタクだ。
ただ、ゲームが下手なので今回も3年前から嵌っている乙女系ゲームの話しを延々とするので、耳にタコができてそうだった。
しばらくして落ち着いてきた友人に今日の要件を聞く…
『…それでね?どうせ今藍那酒盛り中でしょ!?だから今から私の全コンプ達成を祝うためにつまみ持ってそっち行くから酒とか準備しといてね!んじゃ、また後で!』ブツッ
…前に切られてしまい酒盛り決定になってしまった。
ハァ、とため息をつきつつ今も喜びの舞をしてきそうな友人のために大好物のつまみを買ってきてやろうと、ラテン語単語辞典を読みながらも近くのコンビニへと外に出る。
帰り道に本を読み歩いていると雪が降ってきた。ますます冷えてきたので本をしまい、早歩きで白い息を吐きながら歩いて行く。
だが、曲がり角を曲がろうとしたとき男性と思い切りぶつかってしまう。
「いっつっ、ぶつかってごめんなさ……えっ」
謝ろうと男性を見上げると、白い息を粗く吐く男性の右手にある血に染まった刃物を見て息を止め、自分の赤く染まった体に目をやることで、初めて脇腹の鈍い痛みに気づく。
そして崩れ落ちるように私は倒れていた。
通り魔なる男は血で染まる私を満足そうに見た後、足早に去っていく。
友人のことを気掛かりに思いだしたが、意識が腹の激痛により朧げになっていく。
“これが最期かぁ”と、なんとなく、意識が沈む前に雪が静か降る夜空を見上げると。
いつしか読んだ数少ない原文ではない、けれども大好きだった本の題名とその中にある描写を思い出し、その光景に見惚れる。
今世最期の景色は、不思議と雲ひとつない空から降る真っ白な雪が三日月によって輝く、
まさに「月が魅せる夢」のような世界だった。
なんとなく自分がイメージする「月の夢」を書いてみました。これが書きたかっただけです、はい。
次話からいよいよ異世界です。