恋は、突如終わりを告げるモノ…
過去の作者の実話を基に、アレンジを加え推敲された作品。
君との別れは、突然訪れた。
高校からの帰り道、ボクは神社の境内で一休みしていた。
ボクは制服の内ポケットから何気なく携帯を取り出した。
(メール一通)
誰からだろうと確認すると、彼女からだった。 久しぶりに彼女からメールが届いたので、驚き半分嬉しさ半分で内容を確認してみた。
(…ごめんなさい。)
たった一言だけ、普段使ってる絵文字も無かった。
その文面を見て、ボクは突然不安に駆られ、彼女の携帯に電話してみた。
数秒後、彼女の携帯に通じた。 彼女が電話に出る。
「どうした? メール見たけど…。」
電話越しに聞こえてくる、彼女のすすり泣き。 最初、彼女は無言だった。
「何かあって、俺にメールしたんじゃないのか?」
ボクの不安混じりの問いに、ようやく彼女が口を開いた。
「…私と、別れて。」
「…えっ?」
突然の別れ話だった。
「な、何言ってんだよ。 本当にどうしたんだ?」
明らかに動揺した声が出たのは、ボク自身でもよく解った。
「…俺、何かしたのか? 浮気はしてないぞ? それとも、俺自身気付かない内にヒドい事でもしたのか?」
ボクは、必死に彼女へ問い掛ける。 でも彼女は、
「ううん…違う。」
と否定する。
「全部…私が悪いの。」
その言葉の意図が、全く捉えられなかった。
「俺の事、嫌いにな…。」
「違うっ!」
ボクの言葉を遮り、彼女が言った。
一瞬の静寂の後、彼女は呟いた。
「もう…好きかどうか私の中で解らなくなっちゃったの…。」
再び、二人の間に静寂が流れる。
「本当に…ごっ…ごめんなさいっ!」
そう言うと、彼女は電話越しで号泣した。
「う…嘘だろ?」
自然と口から出た言葉。 どうしようも無い、この状況。
「嫌だ! 絶対、別れたくない!」
ボクは、必死にワガママを言った。 まるで、駄々をこねる子供のように。 周りに人影が居なかったのは、唯一幸いだが。
「好きなのに、何で別れなくちゃなんないのさ!?」
ボクは、半ば彼女に怒りの意が込めていた言葉を発していた。 そんな意志も無かったのに。
「何で…俺達今まであんなに仲良かったのに…楽しかったのに…愛し合ってたのに…。」
言っている内、自然と声が細くなっていた。
「…ひっく…うぐっ…ご…ごめっ…ひっく…。」
彼女は、泣きながら必死に謝っていた。
地面にへたり込み、ボクはゆっくりと顔を上げた。
木枯らし吹く寒空の下、木々が互いの枝を揺らしながら音を立てている。 その光景が、ボクの虚しさを駆り立てていた。
へたり込んでいる内に、寒さからかボクは冷静にこの状況を飲み込めるようになっていた。
「俺達…もう終わりなのか?」
震える唇から、必死に出た言葉。
「…うん。」
彼女の、か弱い泣き声。
「…そうか。」
ポツリと呟く。
「…うん。」
この瞬間、ボクの気持ちは整理出来た。
最後に、彼女へ感謝の気持ちを言った。
「今まで付き合ってくれてありがとう。 一緒に過ごした時間は本当に楽しかった、充実だった。」
「…私も、好きになって本当に良かった。 今までありがとう。」
「うん…。」
一呼吸置き、彼女は言った。
「さよなら…。」
「…うん。」
(ツー…ツー…ツー…)
通話が切れた。
「…ふぅー。」
途切れた瞬間、ため息が漏れた。
こうしてボクと彼女の恋は、終わった。
本当に悲しい時は、涙なんか出ないんだ…。 帰り道、そうボクは悟った。