“Funeral of Mrs. Robin.”
「で、結局手柄はウソせんせがとったんかー」
そう言ってアオサギは大きく伸びをした。
「塗料ん入手先を調べ、さらにそん発火性を証明、最終的にミスター・ロビンを見つけはって報告したゆうて…まったく、そん情報網、わてにもらえへん?」
「情報網というものではないですというか…何といえばよいのか…」
ウソは事務所でアフタヌーンティーを嗜んでいた。今日はアールグレイである。香りが素晴らしい。
「アオもいかがです、紅茶?」
「あー、わてはお神酒ん方がエエ」
「そのうち病気になってもしりませんからね」
今、事務所にはアオサギとウソしかいなかった。事務所長であるツミとオナガ夫妻は上の階にいるが、今は夫婦の時間ということで、店番はしていなかった。シロサギは手に入れたいものがある、と言ってそれきり半日戻ってきていない。
「今頃、カナリアはお墓前に行っとる頃か…」
柱時計を見て、ふとアオサギが呟いた。
ウソは静かに紅茶を啜った。
「そうです。別れを告げている、ということでしょう」
「難儀やな」
「運命を背負った子。そう、カラスが言っていました」
「ますます難儀やわア」
苦虫をかみつぶしたような顔をして、アオサギはソファに寝転がった。
トウテンコウに連れられてきたのは、緑が映える草原の中にある墓地だった。
謹慎が解けたこの日は、雨が強く降っていた。
黒い蝙蝠傘に、トウテンコウとカナリアは並んで入り、歩いた。何もお互い喋らない。ただ、湿った芝生を踏む音と雨粒の音が響いているのみだった。
「ついたぞ」
トウテンコウは、ある墓前で止まった。
「姉さんの墓だ」
墓にはミセス・ロビンの名前が記されていた。そして、彼女の好きだった百合の花が彫られていた。
トウテンコウはそこでしゃがみ、墓石を指で伝う。ざらざらとした感じが、今の心の中の雰囲気そのものだった。
「ほら、買って来た百合と勿忘草の花束、飾ろう」
トウテンコウに促されて、カナリアは手に持っていた花束を墓前に置いた。
本当に死んでしまったんだ。ミセス・ロビン。
やっと実感がわくようになった。フットとカワセミに合って、そして事件の原因を聞いて。
全てが分かって、やっと実感がわいた。
そして、空と一緒にカナリアはただひたすらに泣き出した。
ありがとうございました。




