“with my bow and arrow.” -4-
螺旋階段を下り、事務所に戻るとそこにはウソとカワウとトウテンコウが当たり前のようにアフタヌーンティーを楽しんでいた。
2人が帰ってきたのをみてカワウは呑気そうに頬張っていたクッキーをカワセミに見せた。
「これ、オナガさん手作りのクッキーなんだってさ!」
相当美味しいのか、あれだけ無表情で怒りっぽいトウテンコウまでもが夢中で食べている。作った当の本人であるオナガは、もう自室に戻っていた。
そんな彼らを見て、一番驚いたのはツミである。
「まだいたのか、ウソ」
「はい。やはり、当事者がいない事には現場検証ができません」
「それで妻のクッキーのストックを食べながら待っていたというわけか」
ニコニコ顔のウソとは正反対に、ツミはただあきれ顔だった。早く捜査を始めてくれ。まさにそう言いたげであったが、ウソはマイペースなのか全く動じない。
「さて、カナリア。辛いかもしれませんが、一度火事の現場に戻ろうと思います」
彼が話し始めたのは、クッキーを食べ、ティーを飲み干してからだった。
「でも、さっきシロが模型作って状況把握してなかったっけ?」
聞いたのはカワウである。
「ええ。ですが、やはり一番は現場を見ること、そして固定概念を無くして初心に戻り現場へ出向くこと」
「またすごい、古臭い探偵染みた考えだな」と家庭教師のいつもと違う姿を見てトウテンコウが言った。口の中にはまだクッキーが残っている。
「私、これでも、父親がいわゆる警察官だったから」
「この国の警察官のイメージは良くないが、ウソの母国ではどうなんだ」
「コウが考えている警察官のイメージよりは良いのではないかと思います」
ウソはそう言って立ち上がり、トウテンコウはティーで口の中のクッキーを流し込むと同じように立ち上がった。少し遅れてカワウが立つ。
「さて、行きましょうか現場検証」
ウソがそう言って玄関に向かうと、ぞろぞろとトウテンコウとカワウとカナリアが続いた。それを見てまたもやツミは呆れ顔になる。
「現場検証っていうのは、人数が多いと駄目なんじゃあなかったか」
言われてウソは振り向き、驚いた顔をした。
「全員で行くとは誰も言ってないです」
ウソはカナリアとトウテンコウだけを連れて部屋を出ていった。
カワウはどうやら事務所の書類整理係に任命されたようだ。
「3人も4人も変わらないんじゃないのかよ」
その後カワウは文句を一日中言っていた。




