で食 虫 きす
こ の登 物はすべて十 上で 。
夢見た は、小鳥がついばむような、かすかに触れ合う 。
ちゅっ、とお互いを意 している男の と の子が、頬を赤ら ながらする口 け。
「晴人! アンタ、最近調子に乗ってんじゃないの!?」
七海が小学六年生の頃から始まったその行為は と呼ばれるものだったが、最初、それを七海は ゆえのものと思っていた。
「何よ、その目は!」
それがまったくの別物であると知ったのは晴人の眼差しに が見当たらないことに気づいたときのことだ。だがそのときにはすでに七海の身体はすっかり晴人の手によって されており、日常生活を送りながらも、ほとんど条件反射的に 身体に変化させられてしまっていた。
クラスメイトの一人が何か いねと言って窓を開けたときも、七海は表情を ことはない。変な がすると口にして耳を せたときも、七海は笑顔で を る。
教 では七海と晴人の関係は逆 る。
幼なじみの晴人をいじめて、パシらせて、周りのみんなの前で馬鹿にして、だけど他の同級生に手出しさせることはなかった。
「ふうん、そういうコト言うんだ。この、あたしに」
人前では晴人と呼び捨てにするけれど、誰の目にも触れていないときには と呼ぶのが取り決めだった。
当たり前の を送ることと、それ以外の のどちらもが七海の だった。だが、他人に見せる顔と見せられない顔、七海のすべては晴人のものだった。
「アンタ、あたしのものでしょ。……逆らうんじゃないわよ。手間かけさせないで」
いつからか、そういう風になってしまった。夜中の公園で になって這いつくばって、 れて散歩させてもらうこともあった。
七海はまだ であり、 歳にもかかわらず、毎日毎日 の部屋に呼び出されれば何時間でも、身体を に使われた。
そうすることが であると、 の幸福であるとすでに植え付けられていた。
「……汗臭いわね。さっさとシャワー、入ってきなさいよ」
湿った は肌から離れても を引いている。
晴人の を だだけで七海の からは が垂れるように仕付けられており、また晴人の表情を見た に だけを ぐこと、あるいは をすべて取り払い になること、果ては を自らの手でつけたうえで、 のポーズを取ることを んで うようになっていた。
は 女であり、 であり、それ以上に だった。飼 に絶 従を わされた らで なメ であり、晴人に な であり、それはもはや ぐ れないほどに いており、 まれてしまっていた。
七海にとって晴人は では言い表せないほどに であり、 にも及ぶ により として を書き換えられている。
「おかーさんが、アンタも夕飯食べていきなさいって。分かってるわよね?」
そしてそれを七海は理解していた。自覚していた。最初の頃こそ 、あるいは な言動や行動を行おうとしたこともあった。
恋人がするような――普通の彼氏彼女であれば をするものだ、というような の耳に入っていた知識の延長線上にある――行為からはかけ離れたことを晴人によって れたからだ。
「……ラブレターもらっちゃったわ。ま、あたしくらいになるとよくあることだけど」
たとえば 場面を記録に取られるであるとか、愛している相手にしか見せたくない ままの姿を他人に見えるかもしれない場所で させるだとか、友人達や先生と別れた直後の見慣れた学舎に隠れ潜んで、人気が無くなった後に れることであるとか、あるいは な姿勢、 になって床に寝転ばされ、仰向けにひっくり返され、裸足ではあるが七海のやわらかな を つけるようにして が乗せられたり、少しだけうっすらと が えつつあった女の子の大事な を るようにだけれど、 で ばれたり、 いから見られた お の をゆっくりと拡げられたり、 を数えられたり、その写真を撮られて、見せられて、 したものを りたくられて、くにくにと を動かされたりもした。
七海は がった。
最初は強く した。だけどだんだんと えられてしまった。
恥ずかしいと思っている気持ちはそのままなのに、いろんな風に身体を 、気持ちよく れて、気がつけばそうした をしたいと、させてほしいと自分から晴人に していたりもし 。
「ほら晴人。何とか言いなさいよ。このあたしが、アンタの言い分を聞いてあげてんのよ?」
七海はすでに が であることを知っていた。
普通の少年少女が味わうはずの甘酸っぱいエピソードは いなかっ 。
どこかの小さな、だけどお洒落な洋服やさんや喫茶店でデートする代わりに、たとえば家を出るときには必ず に細い を入れ、そのスイッチを入れたまま買い物をするであるとか、 に小さな ーをつけて大きめの絆創膏で ようにしているだとか、 を で軽く挟んだ上でそれを といったことが当然である日常を送っていた。
「はっ。お子様よね、晴人って。大人のキスって、舌を入れるのよ。知らなかったんでしょ?」
でも制服のスカートの中に を着けることは れなかった。かといってそれを他人に見られることなど はならない。男 レの中に籠もって晴人と りになれば、太もも 伝い大量に溢れる を拭き取って貰うこともままあった。七海はもはや、 すい を れられれば に導かれてしまう。そういう身体になってしまっていた。
それほどに す させたのは晴人による行為の結果ではあったが、七海には文句を言うような気持ちは残っていなかった。
望まれれば での など珍しくなかった。保健室でも、体育館でも、図書室の本棚の後ろでも、普段使っている教室でも、ありとあらゆる場所で を受け入れたし、晴人は 続けた。
我を忘れて をむさぼるようなことはない。
七海という ながらも され尽くした身体とその は、あくまで晴人が気持ちよくなるための道具でしかなく、そのための だった。望まれていないときには声を上げてはいけない。誰かに見られてはいけない。
「裸、見せなさいよ。……うるさいわね! アンタはあたしの言うことに黙って従ってればいいのよ。ほら、脱いで。なに恥ずかしがってんのよ。あたしに逆らう気?」
そんなことを として受け止めるくらいに、七海は変えられてしまったのだ。
口づけは触れ合うようなものではなく必ず ませるか、あるいは口以外の部分に るために使われた。
七海の はそういう風に使われるべきものなのだ。 るためにあるのだ。指先やつま先の使い方もすっかり変わってしまった。出すための部分であってそこは れるために われるのが当たり前になった。
ありとあらゆる場所が、どんどん になっていった。七海が無知であったあの頃思い描いていた輝かしい未来はもはやどこにもなく、現在には、あるいは思い出のなかには、いついかなるときも己の な があった。ありとあらゆる の は重なり、繋がり、深く 入れられ、何度となく 込まれている。口と口、あるいは口と他の部分とが一度 し、離れるときには必ず長く が引いて、 くような 体が れたり ねたり りたくられたりした。
もう、あの頃の自分には二度と戻れない。汗だくになった身体に した を吐き出されて、それでも衰えることのない の をくわえこんで、七海は全身全霊で する。 という を使い、前の で、上の で、後ろの で、 で、その をしごき、しゃ り、吸い くし、 め、 という愛玩動物の を し続ける。
そのときそのときの晴人の望みに沿って。わざと がっている をしたり、 に満ちた表情で積極的な風を てみたり、従順な として したり、 な恋 のように愛の を いてみたりと、晴人を ばせるために全力を くした。七海はそういう風にすることに喜びを感じてしまう になっていた。何もかも晴人の になってしまってはいけないと いた。
を抱いているように じられてしまうからだ。だから七海の 心はずっと たれている。 かしくないのに ない真似をしても しくないからだ。顔を赤くして、怖がって、気にして、強がって、嫌がって、受け入れて、悲しんで、そういうまともな を残していなければ、 七海ではなくなってしまうからだ。
もはや七海は昔の七海ではなくなっており、どうしようもないほどに晴人によって されてしまっているにもかかわらず、まるで のように振る舞い続ける。
「ふん! だったら晴人なんか、どうでもいいわ!」
で繋がれているとき、その を持ち、まるで にするように晴人から されて、七海は顔を真っ赤にしながら素直に従う。 みたいに息を らげて、起伏の少ない を見て貰うために がって、腕と足を曲げて にしてもらう。
七海が一番 なのはへそを られることだ。
に出来ないような かしい部分を優しく ってもらうのも気持ちいいけれど。
こんな風になってしまったけれど、もう二度と れないけれど。
ずっと昔から、ずっとずっと前から、七海は晴人のことが だった。
本当に、 きだったのだ。
んな も にはい よ 。