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もう片方の靴下は (短編集)  作者: 三澤いづみ


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A Midsummer Night's Dream watch.

A Midsummer Night's Dream watch.(夏の夜の夢ヲチ)

シェイクスピアとは一切関係ありません。

 


 なまめかしく指を揃え、天井の白熱灯に透かしながら、ふみ子は言った。

「夢オチってあるじゃない」

 俺は唐突な話題転換に眉をひそめた。

「なんだいきなり。またぞろテレビか何かで変な心理ゲームでもやってたのか」

「違うわよ。そうじゃなくて、目が醒めて、『ああ、夢だったのか……』って思ったあとに、またそれも夢の中だったってパターンがあるでしょ」

「胡蝶の夢?」

「そうじゃなくて……あー、それでいいわ。とにかく合わせ鏡みたいに、それが無限に続くってオチを見るとぞっとするのよね。ずーっと繰り返すしていった先に、どこかに辿り着けるのか、それとも永遠にそれが終わらないのか」

「堂堂巡りってやつか。まあ、人間は無限や永遠には向いてないしな」

「……向き不向きの問題なの?」

「そういう問題だろ。少しでも先に進んでたら、いつかは終わりが来ると思うんだよ。いや、一歩一歩進んでいっても、もちろん地球みたいに球形で元の場所に戻ってくる可能性もあるけど」

 ふみ子はにやりと笑った。

「――わたしはあなたの一歩先を行っている!」

「ただし俺の目の前は崖っぷち」

「進めばいいってものでもないわね。うん」



 あれはいつのことだったろう。ふみ子とそんな話をしたのは。

 すっかり陽は落ちて、誰の姿もなくなった公園で、俺はベンチに座って待っていた。

 水銀灯の白白とした光に照らされて、足下から影が伸びる。

 公園のなかほどに設置された時計を見上げると、すでに夜の十時を過ぎていた。

 静かすぎて怖いくらいだったが、俺はここで待たなければならない。

 不意に、目の前に女がいることに気がついた。



 どうしてか、俺にはその女が待ち人であると分かった。

 見た目も仕草も、とても可愛らしい女だった。

 彼女は隣に腰掛けると、俺に話しかけてきて、俺もまた言葉を返した。

 どれだけ長いあいだそうしていただろう。

 楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。

 彼女は目を伏せると、首を横に振り、名残惜しそうに席を立った。

 俺はそのベンチから離れることはできず、ただ彼女の去る後ろ姿を見送るしかなかった。

 深い闇の向こうに彼女の背中が溶けて消えゆくのを見つめ、ため息を吐いた。

 時間が足りない。

 もっと時間があれば、色々なことが出来たはずなのに。

 妙に疲れてしまった俺は、しばらく休むことにした。

 ベンチにもたれて、目を瞑った。


 はっとして、目が醒めた。

 眠ってしまっていたようだ。どうやら人待ちのあいだに夢を見ていたらしい。

 俺の待ち人があんな女性であればいいと、無意識に妄想していたのかもしれない。

 時計を見上げると、十時過ぎのままだった。寝入っていたのは一瞬だったようだ。

 安堵の息を吐き出したそのとき、目の前に女がいることに気がついた。



 どうしてか、俺にはその女が待ち人であると分かった。

 見た目も仕草も、とても可愛らしい女だった。

 彼女は隣に腰掛けると、俺の手を握りしめ、指先を絡めてきた。俺も同じようにした。

 こうすることが当然のように思えた。

 どれだけ長いあいだそうしていただろう。

 楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。

 彼女は目を伏せると、首を横に振り、名残惜しそうに席を立った。

 俺はそのベンチから離れることはできず、ただ彼女の去る後ろ姿を見送るしかなかった。

 深い闇の向こうに彼女の背中が溶けて消えゆくのを見つめ、ため息を吐いた。

 時間が足りない。

 もっと時間があれば、色々なことが出来たはずなのに。

 妙に疲れてしまった俺は、しばらく休むことにした。

 ベンチにもたれて、目を瞑った。


 はっとして、目が醒めた。

 眠ってしまっていたようだ。どうやら人待ちのあいだに夢を見ていたらしい。

 俺の待ち人があんな女性であればいいと、無意識に妄想していたのかもしれない。

 時計を見上げると、十時過ぎのままだった。寝入っていたのは一瞬だったようだ。

 安堵の息を吐き出したそのとき、目の前に女がいることに気がついた。



 どうしてか、俺にはその女が待ち人であると分かった。

 見た目も仕草も、とても可愛らしい女だった。

 彼女は俺の膝に腰を降ろすと、ぴったりと寄り添って、俺の唇を奪った。俺も同じようにした。

 こうすることが当然のように思えた。

 どれだけ長いあいだそうしていただろう。

 楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。

 彼女は目を伏せると、首を横に振り、名残惜しそうに席を立った。

 俺はそのベンチから離れることはできず、ただ彼女の去る後ろ姿を見送るしかなかった。

 深い闇の向こうに彼女の背中が溶けて消えゆくのを見つめ、ため息を吐いた。

 時間が足りない。

 もっと時間があれば、色々なことが出来たはずなのに。

 妙に疲れてしまった俺は、しばらく休むことにした。

 ベンチにもたれて、目を瞑った。


 はっとして、目が醒めた。

 眠ってしまっていたようだ。どうやら人待ちのあいだに夢を見ていたらしい。

 俺の待ち人があんな女性であればいいと、無意識に妄想していたのかもしれない。

 時計を見上げると、十時過ぎのままだった。寝入っていたのは一瞬だったようだ。

 安堵の息を吐き出したそのとき、目の前に女がいることに気がついた。



 どうしてか、俺にはその女が待ち人であると分かった。

 見た目も仕草も、とても可愛らしい女だった。

 彼女は服を脱ぎ捨てると、俺に抱きつき、口を吸い、舌を絡めてきた。俺も同じようにした。

 こうすることが当然のように思えた。

 どれだけ長いあいだそうしていただろう。

 楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。

 彼女は目を伏せると、首を横に振り、名残惜しそうに席を立った。

 俺はそのベンチから離れることはできず、ただ彼女の去る後ろ姿を見送るしかなかった。

 深い闇の向こうに彼女の背中が溶けて消えゆくのを見つめ、ため息を吐いた。

 時間が足りない。

 もっと時間があれば、色々なことが出来たはずなのに。

 妙に疲れてしまった俺は、しばらく休むことにした。

 ベンチにもたれて、目を瞑った。


 はっとして、目が醒めた。

 眠ってしまっていたようだ。どうやら人待ちのあいだに夢を見ていたらしい。

 俺の待ち人があんな女性であればいいと、無意識に妄想していたのかもしれない。

 時計を見上げると、十時過ぎのままだった。寝入っていたのは一瞬だったようだ。

 安堵の息を吐き出したそのとき、目の前に女がいることに気がついた。



 どうしてか、俺にはその女が待ち人であると分かった。

 見た目も仕草も、とても可愛らしい女だった。

 彼女は俺の服も脱がせると、身体を絡めてきて、手や舌を胸や太ももに沿わせた。俺も同じようにした。

 こうすることが当然のように思えた。

 どれだけ長いあいだそうしていただろう。

 楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。

 彼女は目を伏せると、首を横に振り、名残惜しそうに席を立った。

 俺はそのベンチから離れることはできず、ただ彼女の去る後ろ姿を見送るしかなかった。

 深い闇の向こうに彼女の背中が溶けて消えゆくのを見つめ、ため息を吐いた。

 時間が足りない。

 もっと時間があれば、色々なことが出来たはずなのに。

 妙に疲れてしまった俺は、しばらく休むことにした。

 ベンチにもたれて、目を瞑った。


 はっとして、目が醒めた。

 眠ってしまっていたようだ。どうやら人待ちのあいだに夢を見ていたらしい。

 俺の待ち人があんな女性であればいいと、無意識に妄想していたのかもしれない。

 時計を見上げると、十時過ぎのままだった。寝入っていたのは一瞬だったようだ。

 安堵の息を吐き出したそのとき、目の前に女がいることに気がついた。



 やがて、大事な場所に辿り着いた。

 公園ではよく子供たちが色々な場所を弄り回している。

 やり過ぎて怒られることも、よくある。



 茂みをかき分ける。花を散らし、蜜を吸う。

 公園には木々が生い茂っている。咲いている花はどれも可愛らしい。

 乱暴にしないで、と耳元で囁かれる。



 濡れている。溢れてくる。手も、そこも、どうしようもなくびしょびしょになる。

 公園には水飲み場がある。

 服や下着まで濡らさないように、気をつける。



 ぴっちりと閉じられた場所をほぐし、こじ開け、差し込んだ。

 公園の管理所は少し離れた場所にあり、この時間は無人で、鍵がかけられている。

 誰も居ないからと、少し大胆な真似もする。



 狭い場所で、上下運動。揺すられて、声が漏れる。必死に声を抑えようとする。

 公園の遊具にはシーソーやトランポリンなどがある。また、深夜である。

 ベンチは二人分の体重を支えてくれるが、ブランコのように、ぎい、ぎいと軋む。



 放たれたものを、奥で受け止める。息が荒くなる。大量すぎて、漏れてくる。

 ボール遊びは許可されている。また、水の使いすぎは怒られるため注意。

 ぽた、ぽた、と地面に落ちて染みが出来る。力が抜けて、もたれかかってくる。



 汚れてしまった部分をハンカチで優しく拭いてあげた。垂れてきた血も拭ってあげた。

 公園ではしゃいで転んだり、落ちたり、ぶつかったりすることはよくある。

 誰にも初めてはあるものだし、痛みに耐えて涙目になっている姿に、慰める言葉はない。



 すべては夢の中の出来事に過ぎない。



 楽しい時間はあっという間に過ぎていった。

 彼女は目を伏せると、首を横に振り、名残惜しそうに去っていった。

 俺はその場から離れることはできず、ただ彼女の去る後ろ姿を見送るしかなかった。

 深い闇の向こうに彼女の背中が溶けて消えゆくのを見つめ、ため息を吐いた。

 どれだけ時間があっても、まるで足りない。

 妙に疲れてしまった俺は、しばらく休むことにした。

 ベンチにもたれて、目を瞑った。


 はっとして、目が醒めた。

 眠ってしまっていたようだ。人待ちのあいだに夢を見ていた。

 時計を見上げると、十時過ぎのままだった。寝入っていたのは一瞬だったようだ。

 安堵の息を吐き出したそのとき、目の前に女がいることに気がついた。


 俺にはその女が待ち人であると分かった。

 見た目も仕草も体つきも、とても可愛らしい女だった。

 俺はどこまでも進み続けるであろう夢を捨て、何かを期待する女にこう伝えた。


 ――友達からはじめよう。どんどん先に進むのではなく、一緒に一歩ずつ。


 彼女は驚いた顔をして、そして――



 ふみ子は言った。

「夢の一番いいところはね、時間も場所も何もかも、矛盾していても問題無いって部分なのよ」

 俺は苦笑した。

「順番が狂っていても?」

「ええ。目が醒めればそこが現実。今が一番大事。他のことはみーんな小さなことなのよ!」

 俺の一部分をやさしく爪で弾いて、ふみ子は微笑むのだった。



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