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現実主義者とスカウター

あれから2時間近く飲んでいた。

地球時間でいえば、夜の11時近くだろうか?

「多田さん、もうそこら辺りでやめにした方がいい」

あまりにハイペースで飲むものだから、宗谷英規にストップをかけられた。

まだそんなに飲んでない。

「いや、いい飲みっぷりだな」

なんだか、国王にも呆れらてしまった。

もういいじゃない、淑女とか言われる年は過ぎてるんだし。

恥じらいとかそんなものは、地球に置いてきましたよ。

「そんなことより国王、昨日の襲撃犯どうなってるんです?」

酔いがいい感じで回ってきた。

今日はよく寝れそう。

「ああ、あれか。あまりにお粗末すぎてな、追う気にならん」

あれは駄目だとか、なってないとか呟く国王。

犯人にダメ出しって。

まぁ、私から見ても、あれはちょっとと思ってしまったけど。

「ダメですよー。ああいうのを放っておくと、後で後悔するんですから。ほら、よく言うじゃないですか、1匹見つけたら見えない所に100匹はいるって。次から次へとわいてきますよ?」

うわ、想像したら嫌だな。

嫌な襲われ方としては、突然物体Xがこちらに向かって飛んでくる事だ。

あれは肝が冷える。

目の前に影を見ると、流石の私でも背中が泡立つ。

そして一番嫌なのが、寝ている時に襲撃される事。

あの時の気持ち悪さといったら。

あれはないなぁ。

今では、少しでも気配を感じれば、どんなに深く眠っても私は目が覚める。

もちろん、それなりの対処をさせてもらうけど。

それはもう丁重に。

ふふふふふ。

「ゴキブリの事?」

宗谷英規が聞いて来る。

おっと、また口に出してたか。

「やだなー、襲撃犯の事ですよ。害虫には変わりありませんが。どちらにしても、早期発見・早期駆除ってね?陛下も早めに襲撃犯の件何とかした方がいいですよ?」

「ふむ、まぁそこら辺りはアレイに任せている。あいつならうまく治めるだろう」

「丸投げー」

そう言って私はくすくす笑った。

「丸投げはしてないぞ。これでも把握はきちんとしている」

国王が憮然としているが、目が笑っているので本気で丸投げしてそうだ。

「していなかったら、ダメダメじゃないですか。でも、もう主犯は分かってるんでしょ?」

「まぁな。やはりというかなんというか、結果がありきたり過ぎて正直つまらん」

つまらんって言われても。

いったい犯人に何を期待しているんだ。

「命を狙われていて、つまらんの一言で片づけてしまう陛下って凄い」

思わず呟いてしまった。

「何だ、惚れたか?その気があるなら後宮に上げてもよいが、どうだ?」

ニヤッと笑いながら私に聞いて来る。

これは、国王自らの就職スカウト?

けど就職先がこの国の後宮で、役職が王の嫁か愛人かって、どんなだよ。

しかも絶対条件として、転職不可だし。

ないなぁ。

ないない。

どんな条件でも、断るなぁ。

「どうだと言われても、選択肢にすら上がりません。それに、さっきのは褒めてませんよ、私」

「なんだ、残念」

と、そこで思わずあくびが出る。

「おお、いかん。長く付き合わせてしまったようだ。そろそろ、お開きにせねばな」

そう言って、国王が立ちあがる。

この国王、結構酒に強い。

きつそうなエタノールもどきを何杯も飲んでる割に、足取りが全くぶれていない。

ここで襲われても、この状態の王なら何とか凌げそうだ。

宗谷英規は、途中でセーブしていたのを知っている。

こういうところは、大人だなぁと感心する。

そして私も立った。

「陛下、とても楽しかったです。お酒御馳走様でした」

そう言って、正式な礼をする。

頭をあげると、国王は満足そうな顔をしていた。

「中々、酒につきあってくれる女性がいなくてな、今日は有意義だった。エィキ、ルイを部屋まで送ってやってくれ」

「解りました。では、そろそろ俺たちは失礼します」

宗谷英規も暇を告げる。

もう一度礼をして、オフィスを後にした。

私の隣に宗谷英規。

後ろには、ヴォイドと宗谷英規の護衛が後をついて来る。

何となく変な感じだ。

そんな事を思っていると、宗谷英規が口を開いた。


「で、なぜ君は騎士団に入ろうとしている?」


廊下の気温が一気に下がった。

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