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現実主義者の方向感覚

…樹樹木木塀樹木兵木樹木木樹塀兵樹木壁。壁?


道順を覚えるときは、予め目的地の方角と距離を頭の中でマークしておき、大体のランドマークや目印となるものを予め地図かなんかで把握する。

と、友人が力説していた。

確か”地図の読めない女と、話の聞かない男”とかいう本が話題になった時だ。

「はい!!先生!目的地とその方角と地図が不明の時はどうしたらいいのでしょうか?」

「大丈夫!君はそのような状況に絶対ならないから安心し給え」

と私に友人は言っていた。

裏切り者。


――――――――――――――――――

とりあえず歩く歩く。

肉団子にサンドされて歩く歩く。

途中で剣を引っ提げた男どもから、美人度高い女性に至るまで、いろんな視線を受けた。

は り の む し ろ

そんな視線を逃れるために、必死になって道を覚えて意識を逸らしている。

いるが、明日になったら忘れるだろうこと間違いない。

なんてったって、樹か木か塀か兵しかない。

しかも一本道ではなく結構分岐点まであるし。

で、諦めそうになったところで、目的地が分かった。

あの1Km先(目測)の、ちょっと格の違う建物だ。

その距離にげんなり。

そしてやや上り坂なのにもげんなり。

皆何かに乗って移動しているような気がするのは、気のせいか?

囚人を移動させるなら、何かに乗せた方が安全だと思うけど。

危機管理どうなってるんだろう?

危機管理について小一時間説教したい気分だ。

えーと、何だっけ?

そうだ目的地。

あの城みたいな建物。

城といえば、姫路城みたいな日本式城か、ネズミーランドの城だのを日本人はイメージするだろう。

実際子供に城の絵をかかせたら、夢の国の灰かぶり城風なものを描いてる事が多い。

中国の紫禁城や、インドのタージマハル(は、墓か…)を描く子供はほとんど0だろう。

だが実際、王と呼ばれた人々(特にユーラシア大陸の方々)は、バッキンガムや、ヴェルサイユ、ホーフブルクに見られるような形の建築物に住んでいた。

要するに横にダーッと長い形の宮殿。

今1km先にあるのもそういった種類の建物だ。

きっと金持ちが住んでいるに違いない。

色彩も品があって、それでいて神々しい。

こんな状況でなければ、写真撮って観光としゃれこみたい。

のだが、肉団子どもに拘束されてる今じゃ無理だろうね、とのんきに考える。

危機感が足りないのは、きっと私の方だ。

反省。

とか考えながら、樹とか木とか塀とか兵の位置情報を頭に入れ込んでいると、壁に鼻をぶつけた。

壁?

壁なんてあったっけ?

と、思ったらキースの背中だ。

無駄に筋肉質。

「貴様は何をしている?」

キースが呆れとも警戒とも判らない声を私に向ける。

あれ?

そう言えば、この人あまり同じ呼び方で私を呼ばないなぁ?

などと思った。

相手の呼び方の限界にでも挑戦しているのだろうか?

これを、奥さんにやると熟年離婚とかに発展しやすくなるんだよな。

おいとかお前でしか相手を呼ばず、名前は呼ばない。

しかも続く言葉は誰にでも出来る簡単な仕事。

「おい、茶」「おい、新聞」「おい、飯」

やがて、娘に嫌われ、奥さんに嫌われて…

キース哀れ。

顔が良くても年いったら見向きもされなくなるんだぞ~。

気をつけよう、その呼び方が、命取り

無意味に顔がいいキースに、生温かいエールを送っておいた。

「何だその目は」

「いえ、何でもありません」

社会人必須スキルNo.1、愛想笑いを発動。

キースは苦虫をつぶしたような顔をし、そっぽを向いた。

これくらいで拗ねるようならまだまだだね。

隊長が変な目でキースを見ていたが、何も言わなかった。

んー?なんだ?

二人でしかわからないシグナルでも発信中?

「これからこの馬車に乗る」

隊長がそう言って、馬車の扉をあける。

おお~馬車。

馬?

馬もどき?

よく見えなかったので保留。

先に隊長が乗った。

続いて私が乗る。

って、ちょキース自重。

なんでわざわざ、隣!?

前って何の為の席よ?

あいてるのに…

前に乗ろうよ。

あ、もしかして途中で誰か乗るのか…

うん、ちょっと納得。

でも狭い。

目的地まで後少し。

少しの間だけ、またカツサンド。

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