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現実主義者の確認事項

あの二人が去ってすぐに交代要員が2人きた。

彼らはこちらに興味を示さず、看守としてここに詰めているらしい。

とりあえず明日にならないと、状況が変わりそうもないので寝ることにした。

私の特技はどこでも寝れる事、そして正確に起きられる事である。

早速このスキルを試してみよう。


—————————————————————————————————

おはようございます。

異世界の2日目でございます。

ただいま朝の、6時ちょうどです。

体内時計は、異世界でも正確なようです。


いつも通りの時間に起きて、まずした事は体のチェックだ。

幸い日が照り始めており、窓が東側(地球基準)のおかげでここは明るい。

自分の姿を見るのに困らない明るさをこの部屋は保っていた。

とりあえず、怪我とかの確認だけはしておこうと考えた。

なぜなら、ここでは迂闊に怪我ができないからだ。

ちょっとした怪我から、抗体を持っていないウィルス感染などをしようものなら、目も当てられない状態になるだろう。

抗体の無い私はきっと、抵抗もできずに倒れるに違いない。

すぐに発症しない場合は、感染後数日経った後に出てくるケースも少なくない。

ここは入念にチェックをすべきだろう。

何せ異世界だ。

備えあって憂いなし。

好きだわ、この言葉。

昨日やたらと頭痛がしたのは、車の中で頭を強く打ったせいかもしれない。

とすると、他にも怪我とかしてるかもしれない。

昨日の内に、確認しなかったのは迂闊だった。

だが、そんな精神状態でもなかったのも確かだ。

不可抗力だったと、無理やり納得してみる。

とりあえず、鏡がないので頭は触診で怪我がないか確認する。

幸い、触ってみたところ切れた時のような鋭い痛みはなかった。

手足も見てみるが、小さな傷もなく服にも見える範囲に血痕はついてない。

別に破れてるわけでもないので、怪我はなかったのだろう。

ほっと溜息をついて、壁を背に座った。


ほっとすると余計な事を考える。

何故自分はこんな所で何もせず座っているのかとか、どうやってこの世界に来たのかとか。

ホント色々。

ああそういえば、雷が直撃したのは前の車だった事を思い出す。

普通雷は、周りに高いものがある場合は高い場所に落ちる習性がある。

なのに昨日は、前を走行中のアルファロメオっぽい車に直撃していた。

周りの高いものには反応せずに。

あの時は、ハンドルとブレーキ操作を必死で行っていたため、その事に違和感を持っても考えている余裕がなかった。

だが、改めて考えるとやっぱりおかしい。

ゴルフ場みたいなだだっ広い場所とかでなら解るが、周りに街路樹があってビルもあってというロケーションにおいて、あえてあの車を選んだあの雷の心理が解らない。

まるで目的を持って直撃したような?

いやいやいや、雷に意思なんてあってたまるか。

今日はむかつくからあそこに落ちようとかいって、落雷場所決められるってちょっと嫌だ。

うーん、何か色々法則とかあるんだろうな。

街路樹に落ちないように、自治体が工夫したとか何とか。

まぁ、救いなのはあの推定アルファロメオの運転手がおそらく無事だろうということだ。

そして、私はとばっちりを受けた。

とんだ災難だ。

頭痛いし、CTとかで見てもらった方がいいんだろうか?

と、そんな事をつらつら考えている内に、給食係もといキースがやってきた。

もちろん、魅惑の朝食を持って。


「おい、そこの。朝食だ。食べろ」

キースが持ってきた朝食を牢の中に入れた。

私が受け取りに来たのも確認せず、前の扉の中に消えた。

しばらくすると隊長もやってきて、前の扉に入っていく。

とりあえず私は朝食を食べようと、トレイを引き寄せた。

朝食はいたってシンプルだった。

何かのスープとパン。

それだけ。

昨日の昼から何も食べていない身としては少なすぎるメニューだが、食べれたら何でもいいという心境なので文句は言わない。

早速ひと口パンを食べてみる。

パンはとてつもなく固かった。

なので、スープに浸して食べる。

スープの塩味とパンの独特の風味が身にしみる。

幸せだー。

決して美味しいというものではないと思うが、飢えた身には途轍もなく旨く感じた。

それにしても、食べられるもので良かった。

環境が違えば育つものも違う。

この世界の住人には安全でも、地球人には毒性のある植物が育っていて、その植物が食料として使用されているとか、しかも主食ですとかだったら。

私は即中毒になっていた。

いや、もしかしたら遅効性かもしれないけど。

それを言うならここの大気だって毒性があるかもしれない。

あぁー駄目だ、やめよう。

食事はおいしく。

ここに来てから思いっきりネガティブ志向になってきている自分を諌めつつ、ゆっくりと食事をした。

5分もかからなかった。

突然前の扉が開く。

「おい、お前。食事がすんだのなら立て。」

キースがこちらを向いて言う。

私はトレイを持って立ち、キースの方へ向き直った。

「こっちへ来い。」

言われたので素直に従い、鉄格子の方へ歩いていく。

トレイは下に置けと言われたので、その通りにした。

近づくと両手を前に出せというので首をかしげながら出すと、手かせをされた。

その後、牢の中に入ってきた隊長が私の腕を掴み外へ出す。

キースが私のもう片方の腕を掴むと、2人とも歩き出始めた。

あれ?何で移動?

聞きたい事があるなら、前の部屋とかでいいのでは?

という疑問が湧いたが、事情が変わったのかな?

昨日何か情報が入ってたみたいだし。

まぁ、考えてもわからない事なので、彼らのなすがままになっておいた。

それにしても、この通路3人並ぶとかなり狭い。

3人並ぶ必要があるのだろうか?

疑問の持ちどころが少し違う気もするが…

ま、いっか。



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