現実主義者と時間
昔々あるところに浦島という男が海辺に住んでいました。
ある日漁に出ようと海に行くと、亀をいじめてる子供に遭遇しました。
その子供に小一時間説教をしていると、見かねた亀が言いました。
「にーさんいいとこ連れっててやるから、その子ら解放してやったらどうか?」
そうそう、暇ではない浦島は子供らを解放する事にします。
喋る亀は放置。
取り敢えず、浦島は漁に出ます。
すると天候が急に悪くなり、大時化となりました。
大波による船の転覆で死にかけた浦島は、あの亀に助けられます。
気がつくと、浦島は竜宮城というところで一晩寝ていました。
浦島は暫く過ごしているうちに、竜宮城の姫に一目ぼれし、この城で数か月過ごしてしまったのです。
やがて、浦島は姫と結婚をはたしました。
しかし、両親にまだ結婚したことを告げていません。
その事を思い出した浦島は、報告する為一度戻ろうと、暇乞いを城主に告げました。
竜宮城の城主は寛大な心を持って浦島をいったん帰してやる事にしたのです。
浦島は礼を言い、一時地上へと帰還を果たしました。
ところが着いてみると、自分の家はなく代わりに自分と両親の墓が建ててありました。
周りの風景も一変しています。
見た事もない船、建物。
ここが未来だと、浦島はようやく気付きました。
もう一度墓を見ると、水江浦嶼子享年35歳と書かれてありました。
嘆いた浦島は、土産にもらった玉手箱を自分の墓に思わず投げつけてしまいました。
すると浦島は、みるみる老けていき最後には朽ちた骨しかその場に残りませんでした。
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「あー、アークオーエン様。実はお話ししておきたい事があります」
宗谷英規からの視線の痛い事痛い事。
ちゃんと説明するから勘弁して~。
「何でしょう」
あ~、なんという微笑。
きっと、この笑顔に心動く娘さんは多いだろうね。
美形は本当にすごいと思う。
軽く咳払い。
「もうお判りかと思いますが、先程お伝えした名は偽名です。私の本当の名はルイ=タダと申します。自分のおかれた状況が把握出来なかった為と、不測の事態に備えた為に偽名を名乗りました。大変申し訳ありません」
ここで頭を下げる。
「頭をお上げ下さい。先ほども申しました通り、貴方に関する疑いは先ほど晴れました。確かに容疑者のままであるならば、偽名は問題となるでしょうが。ですが実際に今、貴方は本当の名をおっしゃって下さいました。それでいいと私は思っています」
「そうおっしゃっていただけると助かります」
少しほっとした表情で言うと、二コリと微笑まれた。
うーん、この無駄美形め。
「えーと、早速で申し訳ありませんが、質問をしても宜しいでしょうか?」
「どうぞ。一通り質問していただいて、私が補足する形で進めていきましょう」
そして私が疑問に思っていた事を質問していった。
そして判った事が以下の通りだ。
宗谷英規と私は、どういう法則かは解らないがこちらの世界に来た。
どういうわけか、宗谷自身は国に保護された。
宗谷が保護された理由としては、この世界には存在しないものを所持していたからというものだ。
一方近くの森に落ちていた私は、たまたま通りがかった隊長らが見つけあえなく御用。御用?
不法侵入罪とスパイ容疑で、牢屋塔に入れられ寒い思いをして一晩過ごした。
その間宗谷は、周辺に落ちていたという荷物の確認をさせられ、その中に私の鞄や私物が混じっていた事に気付いたという。
鞄の中を検めた時、免許証に載っている人物もここにきている可能性があると、アークオーエンさんに指摘。
その鞄が発見された場所で捜索が行われたが、私は見つからなかった。
一方隊長らが報告していた容疑者が該当するのではという事で、隊長らは一旦王宮詰所に戻され詳細を報告させられた。
該当はするが、容疑も晴れない事から面会は次の日の朝という事で、いったん捜索は中止された。
そして現在に至る。
この国が、異世界人に対して寛容なのは前例があるからだという。
そこでアークオーエンさんは、言葉を切る。
そして、壁にかかっていた絵を指さす。
そこにはよく見れば、日本人には見えなくもない人物が描かれていた。
言われなければ、気付かなかったが。
その人物の名は、宗谷奏楽。
SOYA Airの創立者で有名で、突然35歳の時に行方不明になった人物。
宗谷英規の祖父でもある。
ははは、お前かお前の遺伝子が原因か。
暗い気持ちで宗谷を眺めると、苦笑された。
はぁ、小さくため息をつく。
取り敢えず、帰れるのか聞いてみた。
すると首を横に振られた。
解らないらしい。
宗谷奏楽自身は、この地で70歳になるまで生涯を過ごされたとの事だ。
彼の遺言で、もしこの地に異世界からの訪問者が訪れた時がきたら、待遇はましなものにしてくれと言ったらしい。
相当ひどい扱いを受けたのか。
まぁ、解らなくもないが。
アークオーエンさん曰く、彼が来たのは400年も前らしい。
うーんこの時間差については、特殊相対性理論が関係しているかもしれない。
高速移動と時間の流れ。
あれ?でも400年って長すぎない?
とすると、今戻ったら未来の地球に戻るわけだ。
これがいわゆるウラシマ効果というやつか。
とか、ど素人の考えで結論をつけて見る。
でだ、楽観的かつ現実的に物事を考えて見る。
絶対に地球に帰れると仮定して、私に未来があるかどうかを考察。
パターン1・地球に執着して、何百年後の未来だろうが帰れたらそれでいいとして戻った先が未来だった場合。
地球温暖化の為、日本沈没。戻った途端溺死か二酸化炭素中毒で死亡。
パターン2・地球に執着して、何百年後の未来だろうが帰れたらそれでいいとして戻った先が1分後のあの時あの場所だった場合。
対向車線にせり出した私の車が、対向車と接触。そのまま事故死。(実際対向車のトラックが目の前に来てましたから。死亡は確実)
地球に帰ると未来がないと思うのは私だけでしょうか?




