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現実主義者と可愛い使用人

ほら、昔の人が言ったじゃないか。

可愛いものは鑑賞せよって。

え、なんで2人ともそんなに距離置く?

さっきは、個体距離(45cm)すらあけてくれなかった癖に。


――――――――――――――――――――――

やはり、王宮に詰める使用人だけあってか、その所作にそつがない。

礼に始まり、立ち姿、歩く姿、指先に至るまで洗練された優雅さがある。

某所やTVなんかで見かける、品の無い可愛いだけのメイドさんとは格が違う。

その動きそのものが、とても絵になるのだ。

高雅でありながら、出しゃばらず楚々とした雰囲気。

そういえば、地球において昔は、王宮に詰める使用人、中でも侍女や女官は貴族の子女がなったという。

もしここでもその法則が当てはまるのならば、この使用人も貴族なのかもしれない。

などと考えながら、ぼーっと見ていたら、いつの間にか彼女が目の前に来ていた。

「レイ=タダノ=オカシズキー=ド=ジャポン様、私(わたくし)ナリアッテ=レオン=ジェウェレイ=イシンゾイアと申します。アークオーエン様の御託を承ってまいりました」

そこで一礼すると、動かなくなった。

まじか!!

私は庶民です。

そんなに畏まられたら困るんですが!!

とか思っている間も、彼女の姿勢はそのままで動かない。

「お、面をあげて下さい。」

しまったテンパった。

声が裏返った。

そこの2名、笑うな。

彼女が普通の姿勢に戻り、私と目が合った。

「はじめまして、ナリアッテ様。」

私は、にっこりと微笑みながら、社会人の基本挨拶を試みる。

名前からすると貴族っぽかったので、様付けもしてみる。

あれ?そういえば、キースには様付けしてなかったな私。

ああ、あれか、私を指す言葉が"あれ"とか"それ"扱いだったので、脳内ランキングワーストぶっちぎりになったんだな、きっと。

取り敢えず、彼女に名刺渡さなきゃ。

癖だなもう。

と、名刺を探そうとしてハッとなった。

考えたら、日本語通じないんじゃ?

友人に押しつけられた異世界小説によれば、言葉は通じるが文字は通じないとかいう設定だった事を思い出す。

うん、名刺はやめておこう。

説明がめんどks…

気を取り直し、ナリアッテさんの顔を見る。

ちょっと焦ってないか?この子。

なんで?

「私に、様付けは必要ございません。ナリアッテとお呼び下さい」

ああ、そういう事か。

実質身分はナリアッテさんの方が上でも、立場上私の方が上とかなんとか。

ついさっきまで囚人だったんだけどね。

思わず苦笑。

まぁ、いちいち説明するのもなんだし、このまま現状維持としておこうか。

うん。

「解りました。それでは、アークオーエン様の伝言をお伺いしても宜しいですか?」

私は、話を進める為に口を開いた。

ナリアッテはまだ妙な顔をしていたが、軽く頷くと伝言を伝えようとした。

「先ほどお話しした人物が、藍の間に到着されました。これからその方と交えて詳しいお話をしたいので、今からお越しください。との事です」

ああ、要するにこれから誰かを挟んで突っ込んだお話をしましょうという事か。

所謂、尋問でも始まるのかな?

あれ?

でも、容疑は晴れたっぽい事言われたけどな?

ま、考えても仕方がないか。

「解りました。アークオーエン様に、お伺い致します。とお伝え下さい」

私がそういうと、彼女は優雅な礼と笑顔を残して去って行った。

うん、彼女はどんな顔をしても可愛い。

それにしてもここには美人が多いなぁ。

「はぁ、美しい」

彼女の後姿に思わず呟くと、残された2人は3歩ほど私から離れた。

え?なんで?

どういう事?

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