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作者:

今年も梅雨が終わり暑い夏がやってくる。

でも今年は今までとは大きすぎる違いがある。

それは、君がいないこと・・・。

この誰もが開放的になり待ちに待っていた季節を、僕は心に穴が空いたような、寂しい思いで迎えることになる。

君と初めて会ってから約16年。

随分長い間一緒にいたなぁ。

初めて見たのはペットショップ。

店の中を走り回ってる真っ白な猫。

僕は一生懸命になって捕まえたのを今でも鮮明に覚えてる。

早速家に連れ帰ってついた名前が「りさ」。

男の子だったのにね。

でもなぜかピッタリな名前だったよ。

僕はりっちゃんって呼んでたけどね。

りっちゃんが来てからの毎日はほんと楽しかったよ。

僕は毎日のように癒されてあっという間にかけがえのない存在になったよ。

でも僕は癒されてばっかりいたけどりっちゃんは幸せだったのかな?

家の都合で何回も引っ越ししてたから環境が変わってばっかでごめんね。

他にも寝てる時にちょっかい出したり、ご飯をあげるの忘れちゃったりしたなぁ。

りっちゃんがいなくなったら後悔ばかりが頭をよぎるよ。

でもね、やっぱり頭に一番多く浮かぶのがりっちゃんのかわいい姿ばっかりだよ。

勝手に窓を開けて外に逃走したり、ベランダに出て意味もなくちょこちょこ歩いたり、僕がご飯食べてるといつの間にかちょこんって横に座って何かくれるの待ってたり、僕の顔の上で寝たり、数えきれない程の姿が浮かんでくるよ。

でもそんなりっちゃんを思い出すだけで涙がこぼれてくる。

1週間前までは普通に過ごしてたのに急に体調が悪化していって最後は体を動かすこともできずにただ横になってるだけ。

ほんとにただ息をしてるだけの状態だった・・・。

そんなりっちゃんを見てたらほんとにこれでお別れなんだなって思った。

命あるものはには必ず死が平等にやってくる。

それは理解できても認めたくなかった。

いなくなるなんて思いたくもなかった。

そしてついに最後の時がやってきました。

りっちゃんは呼吸もしなくなり、少し痙攣して、静かに旅立ちました。

僕は最後まで見ていてあげることしかできなかった。

きっと最後は意識がないまま逝ったんだろうな・・・。

苦しまないで静かに息を引き取る、最後までえらかったね。

よく頑張ったね。

でも最後まで立派で綺麗な顔していつものように起き上がってきそうでずっと待ってたけどやっぱりりっちゃんは動いてくれない。

ほんとにいなくなっちゃったんだ・・・。

辛いなぁ、悲しいなぁ、寂しいなぁ。

最後は笑って送ってあげるつもりだったけどやっぱり無理だよ・・・。

りっちゃんは覚えてるかな。

2年前に飼ってた犬が死んじゃった時も僕は1人で号泣してた。

でもそんな僕を見てりっちゃんは静かに僕の隣にじっとしてて僕を慰めてくれてた。

でも、今回は慰めてくれる子がいないよ。

あの時のりっちゃんはほんと優しかったね。

でも僕はりっちゃんみたいになれないや。

最後までりっちゃんには迷惑掛けっぱなしになっちゃったよ。

でもりっちゃんのことは一生忘れないよ。

僕が忘れない限りりっちゃんは僕の中でいつも笑ってる。

だから先に向こうで待っててね。

またいつか一緒にのんびり暮らそう。


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