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183cmの甘い境界線 ― 僕らは、糖分不足。 ―  作者: kobato.


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第8話:上書きのアンコール

第8話をお読みいただきありがとうございます。


ドラマのキスシーンを見てショックを受け、日高との間に「世界の差」を感じてしまった墨染。 気まずさを抱えたまま再会した二人の間で、ある「証明」が始まります。


「仕事だから誰とでもできる」と言い切る日高が、墨染に見せつけた圧倒的な演技力、そして……。


画面越しでは伝わらなかった熱と、日高の本音が漏れる瞬間にご注目ください!

1. 気まずい再会



久しぶりに保健室に現れた日高は、どこか吹っ切れたような顔をしていた。


墨染は、昨夜から胸につかえていた問いを口にする。

「……ドラマ、見たぞ。あの、最後のキスのシーン……。どんな気持ちでやってたんだ? ……その、なんか、見てるこっちが変な感じだったわ」


「……別に。仕事だし、台本通りに動いてただけ。珍しいことじゃないだろ」

日高は淡々と答えるが、その視線は鋭く墨染を射抜く。


「それよりお前こそ、あんなに女の子選び放題で。……結局誰かと付き合ったのかよ。噂、凄かったけど」

「だから違うって。俺は……日高がいない間、代わりに保健委員やってただけだ。……お前のドラマが気になって、それどころじゃなかったし」



2. 「演技」の証明



保健室に、わずかな沈黙が流れた。

その静寂を割るように、墨染が再び言葉を紡ぐ。


「……日高って、本当に凄いよな。あんな熱い目で見つめ合って、キスしてさ。……あれ、相手のこと好きじゃなくてもできるのか? 演技だけで、あんな風になれるもん?」

墨染の疑うような言葉に、日高の口角がわずかに上がる。


「……できるよ。ただの作業だから。……そんなに気になるなら、見せてやろうか?」

「え、……え?」



3. 再現のアンコール



日高は墨染を丸椅子に座らせ、その前に膝をついた。

「……こうやって顔を近づけて、相手の反応を見て。……一番綺麗に見える角度で、止める。……これだけ」


ぐっと顔を近づけ、前髪の隙間からドラマの「ガク」を彷彿とさせる熱い瞳が覗く。


墨染は、至近距離の日高の迫力に息を呑んだ。

ドラマのヒロインが見ていた景色を、今自分が独占している。


あまりの緊張感に、墨染が真っ赤になって叫ぶ。

「……っ、……わかった! わかったから! 日高の演技が凄いのはもう分かったから、離れろ!」



4. 「悪い、反応が面白くて」



墨染の言葉に、日高は一度少しだけ顔を離した。

そして、ふふふと満足そうに、今まで見たこともないくらい嬉しそうに微笑む。


「……っ、何だよ……」 動揺する墨染をよそに、日高は消え入りそうな小さな声で呟いた。


「……演技じゃないから、これじゃ物足りないや……」

「え?」


墨染が聞き返した、その瞬間だった。

日高がぐいっと墨染の腕を引き寄せ、今度は迷いなく唇を重ねる。


驚きで固まっている墨染を逃がさないように、日高は自分からは決して離れようとしなかった。

ようやく墨染が肩を押し、距離が空くと、日高は「やってやった」と言わんばかりの晴れやかな表情でニカッと笑った。


「……悪い。墨染の反応が面白くて、つい」


その屈託のない笑顔が、かっこいいとか、綺麗だとかいうよりも、ひどく「かわいい」と思ってしまって、墨染は拒否することも、怒ることもできずに、ただ黙ってしまった。



5. 甘い飴での「手打ち」



日高は鼻歌でも歌い出しそうな足取りで、墨染のポーチに飴をドバドバと補充する。


「……よし。これで満杯。……仲直りだ」


そのままこちらも見ずに、日高はとても嬉しそうに保健室を後にした。


墨染は、唇に残った熱と、今の「かわいい日高」のギャップに大混乱しながら、補充されたばかりの飴を一口に放り込む。


(あいつ、絶対俺のことからかってる……。でも、やっぱりこの飴は、いつもの味だ)


最後までお読みいただきありがとうございました。


日高くん、確信犯でしたね……! 墨染が聞き返した瞬間に唇を重ねて、しかも自分からは離れないという強気な姿勢。 それでいて、最後は「やってやった」という顔で笑って去っていくなんて、墨染じゃなくても混乱してしまいます。


自分の気持ちにまだ疎い墨染が、日高のことを「かっこいい」よりも「かわいい」と感じてしまったこと。 これが二人の関係をどう変えていくのでしょうか。


続きが気になる!と思ってくださったら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援をお願いします! 次回、墨染の感情は落ち着くのでしょうか?お楽しみに!

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