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183cmの甘い境界線 ― 僕らは、糖分不足。 ―  作者: kobato.


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第16話:独占禁止のランウェイ

第16話をお読みいただきありがとうございます。


飴と「挨拶」で支え合った特訓の日々を越え、ついに文化祭本番。 体育館のステージに立った二人は、会場中を虜にするほどの輝きを放ちます。


圧倒的なパフォーマンスと、それを見つめるマネージャーの視線。 最高の栄誉を掴んだ二人が、教室の撮影スタジオに戻って感じた「ある気持ち」とは……。

1. 充電時間



一週間の冷戦を経て始まった特訓は、予想に反して甘い時間だった。

慣れない指導に知恵熱を出しそうな日高と、バイト明けで足が棒のようになっている墨染。


「あー……疲れた。……日高、充電」


墨染が弱音を吐けば、日高が当然のように飴を口に放り込み、

墨染はお返しとばかりに「挨拶のキス」で日高を充電する。


(地獄のような特訓のはずなのに、飴一粒と、こいつとの数秒の『挨拶』があれば、不思議とどこまでも歩ける気がした)


二人の歩幅は、いつの間にか完璧に重なるようになっていた。



2. 圧倒的なランウェイ



文化祭当日。

体育館のステージに183cmの二人が並んで現れた瞬間、会場の空気が物理的に震えた。


前髪で顔を隠していても隠しきれない、日高の流麗な所作。

そして、それに導かれるように、野性的で堂々とした色気を纏って歩く墨染。


「……え、待って、あの日高くんっていつも大人しくて目立たなかったよね?」


「 何、あのスタイル……めっちゃかっこいいんだけど!」


「墨染くん、普段はあんなに優しいのに……。」


「今日のあのワイルドな感じ、色気がヤバすぎ……!」


客席から上がる女子たちの感嘆。

センターで二人が背中合わせになった瞬間、会場からは悲鳴に近い歓声が上がる。


それはクラスメイトさえも絶句するほどの完成度だった。



3. マネージャーの予感



観客席の隅で、密かに日高を見守っていた「ガク」のマネージャーは、その光景に目を見張っていた。


(ガクが、あんなに楽しそうに誰かと並んでいるなんて……。それに、隣の彼)


マネージャーの視線は、日高をリードする墨染に釘付けになる。


(素人とは思えない存在感。ガクの輝きを殺さず、むしろ引き立てながら自分も光っている。


……彼、モデルの素質があるわ。磨けばガクと並ぶトップになれるかもしれない)


その鋭い眼光は、単なる観客のものではなかった。



4. 賞金獲得



結果は、他を寄せ付けない圧倒的な票数での優勝。

ステージ上で一人六万円の賞金を受け取り、墨染は隣に立つ日高を見て誇らしげに笑った。


(やった、これで真珠の衣装の支払いは余裕だ。……全部、日高のおかげ)


日高は、ずっしりと重い賞金の袋には目もくれず、墨染のその誇らしげな笑顔を独占するように、満足げに目を細めていた。


その後、二人は自分たちのクラスの出し物である「本格撮影スタジオ」のシフトに入るため、一緒に教室へと戻る。



5. 独占できない二人、消えない寂しさ



優勝の余韻を二人で分かち合いたかったが、教室内は一変していた。


「おい墨染! マジでかっこよすぎだろ!」

「日高くん、一緒に写真撮って!」


日高は押し寄せる女子たちに揉みくちゃにされ、

墨染もまた「主役は休んでなよ!」とカメラをクラスメイトに奪われてしまう。


スタジオのセット前は、優勝した二人を一目見ようとする他クラスの生徒で溢れかえっていた。


「墨染くん、さっきの凄かった! あんなセクシーな歩き方どこで覚えたの?」

「日高くん、もっと顔見せてよ! 眼鏡取って!」


次から次へと飛んでくる称賛と誘いの声。

墨染は女子たちの対応に追われながら、人だかりの向こう側で困り果てている日高の姿を必死に探した。


(……嬉しいはずなのに。もっとあいつと、さっきのステージの話とか、賞金で何食うかとか話したいのに)


日高もまた、墨染を奪っていく周囲に微かな嫉妬を感じながら、遠くの墨染と視線を合わせようと必死だった。


最高に輝いたはずの瞬間の後、二人の胸に残ったのは、二人きりになれないことへの、少しだけもどかしくて切ない「寂しさ」だった。

最後までお読みいただきありがとうございました。


ついに優勝! 普段の優しさとは一変、ワイルドな色気を爆発させた墨染と、隠しきれないプロのオーラを見せた日高。 観客席の女子たちの「ヤバい!」という悲鳴が聞こえてきそうな、熱いステージでしたね。


墨染の笑顔を、賞金よりも大切そうに見つめる日高の視線……。 彼にとっては、あのステージの瞬間こそが一番の「ご褒美」だったのかもしれません。


けれど、有名になったことでクラスの撮影スタジオは大繁盛。 人だかりに阻まれて、遠くで視線を交わし合う二人の「もどかしさ」。


ぜひ評価や感想で、二人を応援していただけると嬉しいです!

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