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183cmの甘い境界線 ― 僕らは、糖分不足。 ―  作者: kobato.


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第15話:甘い和解

第15話をお読みいただきありがとうございます。


激しい衝突から一週間。 意地を張り、距離を置いた二人の心は限界に達していました。


責任を背負いボロボロになる墨染と、それを見つめる日高。 焦燥と後悔が交差する中、二人が再び重なり合う瞬間を描きます。

1. 焼けるような焦燥



放課後の廊下。

練習に向かおうとする墨染を呼び止めたのは、クラスメイトの有岡だった。


「墨染くん、顔色悪いよ? これ、差し入れ。無理しないでね」


控えめに微笑みながら、彼女はスポーツドリンクを差し出す。

その光景を、日高は遠くの角からじっと見つめていた。


(……そばにいる女と、一緒にいない男)

突き放したのは自分だ。


けれど、目の前で別の異性が墨染に寄り添う姿は、日高の心臓を逆撫でした。


(墨染は、俺にとって唯一の理解者なのに。……あいつの隣にいていいのは、俺だけなのに)


「ガク」としてのプライドも、一週間の意地も、焼けるような独占欲の前では無意味だった。



2. 既視感のある温もり



人影のない体育館の隅。

墨染はふらつく足取りで、一人、壁に向かって歩いていた。


だが、睡眠不足と心労が重なった体は限界だった。

急激に血の気が引き、視界がぐらりと反転する。


「……っ、」 膝をつきそうになった瞬間。

背後から伸びてきた力強い腕が、墨染の体をがっしりと抱きとめた。」


墨染が目を閉じると、伝わってくるのはあの撮影スタジオの時と同じ匂い、同じ熱だ。


何度も感じた、日高の温もり。

「……何やってんの。一人で無理しすぎ」


聞き慣れた低い声に、墨染の目頭が熱くなった。



3. 飴と、不器用な歩み寄り



日高は呆れたように、けれど震える指先で、いつもの飴を墨染の口に放り込んだ。


「……ん、」 甘い味が広がる。


墨染は日高の服の袖をぎゅっと掴み、自分から不器用に、日高の唇に自分のそれを重ねた。


「……ごめんのキス。挨拶なんだろ、これ。一番の友達への……」

唇を離すと、墨染は縋るような瞳で日高を見上げた。


「仲直りしよう、日高。……俺、一人でお前の分まで頑張るから。

クラスの期待も、賞金も、全部俺がなんとかする。だから……俺を、嫌いにならないでくれ……」



4. 秘密の契約



墨染の言葉に、日高の瞳が微かに潤んだ。

彼は墨染を抱き寄せ直すと、少し長めの、けれど羽のような軽いキスを返す。


「……そんなの、俺もだよ。嫌いになれるわけない」

日高は墨染の額に自分の額を預け、静かに告げた。


「モデル、二人でやろう。俺も本気で教える。

墨染も、俺が教えるんだから最高にかっこよく歩け。……ただし、条件がある」


「条件……?」


「優勝したら、俺の言うこと一つ聞いて。……あと、毎日練習のたびにかっこいいって褒めて」


「……そんなんで、いいのかよ」


拍子抜けした墨染が笑うと、日高は満足げに目を細めた。



5. 一週間の空白を埋める甘さ



「……じゃあ、明日からの練習。……これも、忘れないで」

もう一度顔を寄せようとする日高の気配に、墨染は少し照れながらも、逃げずにそれを受け入れた。


「……分かってるよ。頑張るための『ガソリン』だろ?」


そう言って墨染が笑うと、日高は最後にもう一粒、予備の飴を墨染の掌に握らせた。


その甘さは、冷たく凍っていた一週間の空白を溶かすように、二人の間にゆっくりと広がっていった。

最後までお読みいただきありがとうございました。


ついに仲直り! 今回、墨染から歩み寄って「ごめんのキス」をしたシーン、二人のパワーバランスが少しだけ揺れ動いた気がしてドキドキしましたね。


日高にとって、墨染は単なる友達以上の「唯一の理解者」。 有岡さんの差し入れを見た時の日高の嫉妬心は、もはや友情の枠を大きくはみ出しているように見えます。


そして始まった、優勝に向けた秘密の特訓。 「優勝したら言うことを一つ聞く」という約束が、後にどんな可愛い展開を招くのか……。


次回から、ついに「モデル・ガク」による本格的なレッスンが始まります。 クラス中が驚くような変貌を遂げる二人の姿をお楽しみに! よろしければ、星での評価や感想をいただけると、執筆の励みになります!

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