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183cmの甘い境界線 ― 僕らは、糖分不足。 ―  作者: kobato.


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第13話:キスの正当化と地獄の選出

第13話をお読みいただきありがとうございます。


お泊まりを経て、学校でも少しずつ変化していく二人の距離。 墨染は、自分だけが日高の素顔を知っているという事実に、無意識の優越感を抱き始めます。


そんな中、学級委員長である墨染の司会で始まった文化祭の出し物会議。 誰もが嫌がる大役に、ある「正当な理由」で二人が白羽の矢を立てられてしまい……。


1. 「特別な友達」としてのマウント



休み時間。

窓際の席で物憂げに外を眺めている日高のところに、墨染が当然のような顔で歩み寄る。


「おい、日高。……昨日のぬいぐるみ、ちゃんと飾ったか?」

日高は他のクラスメイトには絶対に見せない、ふっと憑き物が落ちたような柔らかい表情で墨染を振り返った。


「……うん。枕元に置いてる」

「マジかよ。大事にしすぎだろ」


墨染が笑うと、日高も小さく口角を上げる。

その様子を遠巻きに見ていた「いつめん」たちが、墨染を捕まえてヒソヒソと囁いた。


「……なあ、やっぱり日高ってお前にだけ態度違くないか? お前が喋ると、あいつのトゲがなくなるっていうか……」


「あ? まあ、あいつが休んでた間、俺が保健委員代わってやってたからな。そりゃ俺に頼ってくるようになるだろ」


墨染は少しだけドヤ顔で答えた。

首を傾げる友人たちを横目に、自分だけが日高の「攻略法」を知っているような、少し誇らしい優越感に浸っていた。



2. 保健室での「挨拶」と納得



昼休み、人気のない保健室。

日高がまたもや当然のように顔を寄せ、墨染の唇に触れた。


「っ……おい! だからこれ何なんだよ。男同士で普通しねーだろ」

「……挨拶。俺にとっては。一番大事な友達にしか、しない」


「挨拶……? いや、外国かよ。……まあ、お前の親、海外飛び回ってるモデルだもんな。

孤独だったし、寂しがり屋なりの親愛表現ってことか。そうだよな?」


「……うん、そう」

日高は、唇さえ重ねられれば満足だと言わんばかりに、神妙な顔で深く頷いた。


「挨拶なら仕方ねーな」 墨染は、日高の複雑な家庭環境を理由に、これは「友情の挨拶」なのだと自分に言い聞かせ、無理やり納得することにした。



3. クラス会議:委員長の受難



放課後。

学級委員長である墨染の司会で、文化祭の出し物会議が始まった。


クラスの出し物は「撮影スタジオ」に決まり、話題は学校全体の目玉行事である各クラス代表による「モデルウォーク」の選出へと移る。


「うちのクラス、183cmの墨染くんと日高くんがいるじゃん! あの二人に出てもらおうよ!」


女子たちの熱狂的な推薦に、墨染は慌てて首を振った。

「はあ!? 俺はイケメン枠じゃねーだろ! 日高だって、こういうの苦手だし……」



4. 逃げ場のない包囲網



委員長として、なんとか他の候補を立てようと墨染は必死に食い下がる。


「……っ、待てよ! 伊藤はサッカー部で足長いし、水野だって演劇部で顔整ってるだろ。あいつらの方が適任だ」


「わりぃ墨染、その時間、招待試合なんだわ」

伊藤が申し訳なさそうに手を挙げる。


「俺も演劇のステージ本番なんだ。……墨染と日高は帰宅部だろ? 一番時間あるし、お前らがやってくれよ」


水野の言葉にクラス中が賛成の渦に包まれる。


委員長としてクラスの意見をまとめなければならない立場上、これ以上拒否することは、誰よりも責任感の強い墨染にはできなかった。



5. 震える背中と、芽生えた保護欲



結局、墨染と日高のペアが代表に決定してしまった。

放課後の静まり返った教室。


窓際の席で、日高が小刻みに震えている。

正体を隠してひっそり過ごしたい彼にとって、全校生徒の前で注目を浴びることは恐怖以外の何物でもないはずだ。


(……あいつ、あんなに怯えて……) 墨染は、自分のことなどどうでもよかった。


ただ、日高に嫌な思いをさせてしまったのではないか、そのことだけが申し訳なくて胸が痛む。

「……日高。ごめんな、俺が委員長なのに断りきれなくて」


震える日高の背中を見つめながら、墨染の中に強い責任感が沸き上がる。


――何があっても、こいつだけは俺が守り抜かなければならない。

それは自覚のない、けれど確かな「保護欲」の芽生えだった。

最後までお読みいただきありがとうございました。


キスを「大事な友達への挨拶」だと言い張る日高と、それを「寂しがり屋なりの表現」だと納得してしまう墨染。 二人の絶妙(?)なバランスが、もどかしくも愛おしい回でしたね。


ですが、委員長としてクラスを優先した結果、日高を最大のピンチへと追い込んでしまった墨染。 震える日高の背中を見て芽生えたのは、後悔よりも強い「守らなきゃ」という保護欲でした。


正体を隠したい日高と、彼を守り抜くと決めた墨染。 凸凹コンビによる前途多難な「モデルウォーク」の練習は、一体どうなるのでしょうか?


次回、波乱の練習編! ぜひ評価や感想で応援していただけると嬉しいです!

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