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貴方は私が読んだ人  作者: 黒森 冬炎
第十章 黒い魔法使いたち

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188/247

188 魔法騎馬隊の接近

ベルシエラは森の上空から広野を見渡した。雪煙の一群は構成が目視できる位置にまで迫っていた。


「まずはあちらが敵か味方か見に行かなきゃね」


ベルシエラは方角を定めて動き出す。広野を担当する小隊は、人数を抑えてある。魔法使いふたりと騎士が4人飛竜に乗せてもらっていた。地上の魔物は相手にせず、雪原から来る集団だけを視野に入れていた。


広野担当部隊は森の端を飛び過ぎる。ベルシエラはスピードを上げて合流を急ぐ。


「飛竜速いわねぇ」


白銀の広野を下に青空を滑る飛竜騎士たちは、乗せて貰った時よりも更に速く感じる。



ソフィア王女の知らせで3人の調査員が来た時には、森を迂回して広野を通り城まで辿り着いた。今回の援軍は、砦担当のカチア隊もこのルートで来たようだ。しかし本隊は森の村を目指すため、最初から森を行く。上空からは見えなかった。


魔法騎馬隊を迎えるのは黄金の太陽城から派遣された小隊だけだ。飛竜騎士の後発隊はまだ見えない。今頃は雪龍城シャトードラゴネージュで会議をしている最中なのだろう。



(魔法騎馬隊が見えたわ)


ベルシエラはヴィセンテに報告する。砦の時のように心配をかけないよう、こまめな通信を心がけることにした。なんといってもヴィセンテは痩せ細った病み上がりだ。魔法で無理矢理動いたら、今よりもっと衰弱してしまう。


(シエリータ、無茶は駄目だよ)

(様子を見るだけよ)

(またそんなこと言って)


ヴィセンテは全く信用していない。


(とにかくもう少し待って。近くまで行ったら、見たことを知らせるから)

(どうせ攻撃してきたらやり返すんでしょ?)

(攻撃してきたらね?)

(ほらぁ)


ヴィセンテが溜息をつく様子が目に見えるようだ。杖神様に城を任せベルシエラを止めに来たくてそわそわしている。


(お城はどうなの?犯罪者はどうしたかしら)

(とりあえずは地下牢だよ。今は王宮に知らせる手段も限られてるし)

(飛竜騎士団が来てくれたら、報告だけでも送らないとね)

(そうするよ。森がこれじゃあ護送は難しそうだよね)

(私もそう思う。今は魔物の掃討に専念しないと)


心の会話で話すうちに、ベルシエラは飛竜騎士に追いついた。



「あっ、奥方様」


この小隊には、ベルシエラの顔見知りはいなかった。飛竜騎士2人以外は、一周目でも関わりがなかった人々だ。実力や戦闘スタイルについて簡単な説明を受けただけの一団だ。


「ヒメネスの旧紋がついてるわね」

「旧紋ですか?」


飛竜騎士のひとりが行った。


「ええ。セルバンテスの分家になる前の紋章よ。歴史書で見たわ」



騎馬隊の身につけたマントには、波と船を組み合わせた紋章が付いている。ギラソルも杖もない。


「狂信的な旧領主主義者かしら?」

「ルシア・ヒメネス以前ですと、魔法を使えない騎士たちだったはずですが、狂信者は魔法を使うんですね?不思議です」


落ち着いた雰囲気の老魔法使いが言った。これまで人体実験から逃げ延びて来たのは驚きである。


お読みくださりありがとうございます

続きます

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