原稿用紙2枚以内のショートショート その3
「麻薬!?俺が!?」
空港内に叫び声が響き渡る。
「えぇ、あなたのカバンからこんな袋が出てきました。」
そう言って職員は小さな白い粉が入った透明な袋を取り出した。
「そんなわけが…」
「とりあえず、詳しく調べるのでこちらへ」
ひとまずおとなしくついていく。
「精密検査の結果、あなたが持っていたのは間違いなく麻薬だとわかりました。よって警察に引き渡します」
職員が淡々と告げると部屋に警察官が入ってきた。
「お…おいちょっと待て!違う!俺じゃない!」
叫ぶも虚しく、手錠をかけられて連行されてしまった。
夜の暗い道を2人の男が小声で話しながら歩いていた。
「うまくいったな…」
「これで逮捕協力の金一封がもらえるだろうよ」
「それにしてもよく考えたな」
「まさか職員と警察官がグルになって空港の利用客を運び屋に仕立て上げるなんて、誰も想像しないだろうな」
「違いないな…はは」
そんなことを話しながら2人組は邪悪な笑みを浮かべながら夜の闇へと消えていった…
「釈放!?」
「あぁ、そうだ。冤罪だったことが分かったからな。」
警察署長を名乗る人物はそう告げた。
「冤罪…誰かにはめられてたのか…一体誰にはめられてたんですか!?」
すると署長は答えた。
「空港職員と警察官だ。」
「…は?」
思いがけない答えに言葉を失う。
「逮捕の金一封狙いの濡れ衣だ。やたらと逮捕が多いから調べていたら、自分のポケットから麻薬の包みを取り出しているのが確認されて、証拠になったんだ。」
「そうか…あいつらがグルだったのか…」
「まぁそういうわけで君は釈放だ。警察として申し訳ないことをした。」
そうして荷物を返され、釈放された。
男はだれもいない路地で呟いた。
「まさか濡れ衣を着せられるとはな…ひやひやしたが、まぁこれのことがばれなくて良かった」
そういって男はカバンを改造して作ったポケットから透明な包みをいくつも取り出した。
その中にはもれなく白い粉が詰められていた…
分かりにくかったので少し補足。
職員と警察官に濡れ衣を着せられた男。濡れ衣が発覚して釈放されましたが、実はそもそもその男は麻薬の運び屋でした。
よろしければブックマーク、下の星評価いただけると大変励みになります。
よろしくお願いします!!