3.王子の秘め事
のんびり本を読んだり、お茶をしたり、ルークが持ってきてくれたご飯を食べたりしていると、気づけば夜になっていた。
部屋が真っ暗になる前に、魔法道具の一つである‘間接照明’を付ける。
窓から外の様子を見ると、キラキラと輝く星々の中に、大きな月が一つ、存在感を放っていた。
月、私の名前と一緒。
あなたも、ひとりぼっちなのね…
ルナはそう思いながら、大きな月を見上げた。
しばらく外の景色を見て満足した後、お風呂へ入った。
のんびり浸かりすぎたのか、若干のぼせてしまったので、椅子に腰かけ、冷たい水を飲む。
ふぅ、とひと段落ついていると、コンコン、とノックの音がした。
ルナは急いでネグリジェの上に上着を羽織り、ルークを招き入れる。
『…、あれ、少し顔が赤いね、どうしたの?』
ルークは不思議そうにルナを見る。
「少しお風呂でのぼせてしまって…。でももう大丈夫です。お気遣いいただきありがとうございます。」
『それはよかった。』
ルークはルナに微笑みかけた。
「ルーク様は、今日なにをしていらっしゃったのですか?」
『今日は、午前中に家庭教師の先生に勉強を教えてもらって、午後は魔法の指導を受けていたよ』
「とてもお忙しかったのですね。」
ルークは第一王子であり、毎日とても忙しい日々を送っている。
そんな中でも、ルナの部屋に来てくれるルークを、ルナは尊敬していた。
『今日はルナもお風呂でのぼせて少し疲れているだろうし、早く寝ないとね。』
ルークはそういうと、椅子から立ち上がり、ルナにベットに行くように促した。
ルークに言われるがままベットの中へ入ると、‘いつものように’ルークはルナに小さなグラスを渡す。
ルナはそれを受け取り、中に入っている飲み物を迷いもなく飲み干す。
それは甘いベリーのような味で、、、
ルナはすぐに意識を手放すのであった。
〇●〇
すうすう、と規則的な寝息が聞こえると、ルークは意識を手放したルナの上着を脱がせ、ベットに寝かせた。
ルナに飲ませた飲み物は、睡眠効果のあるベリーを使ったジュースのようなもの。
これを飲むと、最低5時間は起きないことをルークは知っていた。
ルークはルナの顔に手を伸ばし、口の中を開き、あるものを確認する。
ルナの舌………そこには古代文字が大きく黒々と刻まれている。
濃さが薄れていないか、力が薄れていないかを確認し、特に問題がないことに安堵する。
【この娘の能力は、国家を滅ぼすほどのもの。決して、能力が開花しないように抑え込むのだ。】
国王から受けた勅令を、ルークは頭の中で復唱する。
失敗は、許されないのだ。
ルークは最後に、ルナの小さな唇に、触れるだけのキスをした。
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