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2.押しに弱いんです、私。

目が覚めてから数日が経った。

新しい生活には戸惑うことも多かったけれど、徐々に慣れていった。


ルーカスの許可が無ければ、部屋を出てはいけない。

結構窮屈な暮らしになるのか、と思っていたが、意外とそうでもない。


ルナの過ごす部屋は、生きるうえで必要な設備や物がきちんとそろっていた。

例えば簡易的なキッチンであったり、お風呂やトイレであったり。

部屋を出なくても、十分であった。



朝日が昇り、小鳥のさえずりによって目を覚ましたルナは、キッチンに向かい、お湯を沸かす。

ネグリジェを脱ぎ、クローゼットの中から濃青色のワンピースを着て、顔を洗う。

胸下まである薄い青紫色のストレートな髪を櫛で丁寧に梳いて、身支度を整える。


そうこうしているうちに、お湯が沸いたので、1杯の白湯をゆっくり飲む。



ルナの部屋にはルーカス以外の人は来ないので、身支度やお茶入れはすべて自分で行わなければならなかった。


しかし、それが自然の行為だと思えるということは、自分は記憶をなくす前も同じような生活をしていたのだろう、とルナは思っている。



いつものように窓を開け、心地のよい天気に気分は上々。

のんびり外の景色を楽しむ。



「本当に気持ちがいいわぁ~。」そう独り言を言っていると…




『おはよう、ルナ』


トレー持ったルーカスが部屋に入ってきた。


「おはようございます、ルーカス殿下」




ルーカスは一日4回、部屋に訪れる。3食のご飯の時と、夜寝る前。

ルナの部屋にはルーカス以外来ないため、食事を持ってくるのはルーカスの役割だ。


最初の頃は王国の第一王子に侍女がやるようなことをしていただくことに大きな抵抗感があったが、『僕が良いと思っているのだからそれでいいの』と言いくるめられた。


今では王子がしてくれることに申し訳ないと思いつつも受け入れつつある。




今日のモーニングは、パンが2つと、生ハムが乗ったサラダ、ヨーグルト。美味しそう。

ルーカスはいつもご飯を食べてからくるのか、持ってくるものはいつも一人分だ。


ルーカスは机にご飯が乗ったトレーを置くと、椅子に座る。

「いつもありがとうございます」と言い、ルナも向いの椅子に座った。



いただきます、と言い、パンを食べる。ふわふわで美味しい。

無言でもぐもぐと食べるルナを、ルーカスは微笑みながら見る。



『今日は何をする予定?』


「そうですね、、部屋に合った本が面白そうなので本を読みながら過ごそうと思っております」


『それはいい日になりそうだね。城には図書館があるから、部屋にある本に飽きたら他の本を持ってきてあげる。』


「本当ですか!ありがとうございます、ルーカス殿下。」


ルナは目を輝かせてルーカスを見た。




この部屋で生活するようになってから、特にやることはないので、部屋にあった本棚から毎日1冊本を読むようにしている。


置いてある本は、多種多様だ。物語系が多いが、他にも地理の本や魔法についての本がある。

どの本も面白く、ルナはあっという間に本の虜になった。



今日はどんな本を読もうかな~とヨーグルトを食べながら考えていると、ルーカスが言った。




『ところでルナ、そのルーカス殿下っていうの、やめない?』


「えっ…」

ルーカスの提案に驚く。


『僕のことはルークと言ってよ。僕たちはもう他人じゃないんだよ?』



ルークとはルーカスの愛称だ。

とてもではないが愛称で呼ぶのは恐れ多い。こちらは居候している立場なのに。



「そんな…、恐れ多いです。とてもじゃないけど言えません。」

ルーナは首を横にぶんぶんと振る。



『お願い、僕には愛称で呼び合うような仲の良い友達がいないんだ。…だめ、かな。』



しっとりと濡れた子犬のような瞳でお願いごとを言うルーカスに、ルナはたじろぐ。いくらなんでも可愛すぎる。




結局、押しに負けたルナは、ルーカスのことをルーク様、と呼ぶことになったのであった。

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