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異世界リベンジ  作者: カラスヤマ
7/22

7話

悪夢を見たーーー。


化け物に変異した僕は、人間の内臓をうまそうに食していた。引き裂いた口には、ベットリと血糊がついていて、赤黒く汚れている。


僕は、その『もう一人の自分』をただ黙ってそばで見ていた。見ていることしか出来なかった。

僕の前に食い散らかした肉片が、飛んでくる。



ピチャッ………。


ピチャッ……。


腐ったピザに見えた。


どうしたら、夢から覚める?


『 夢? バカか、お前。これは、現実だよ 』


振り向いた僕は。


泣きながら、笑っていたんだ。



……………。


こわ…い………。


こわいよ……。


いつか、きっと………。




【 僕は、この手で大切な人を殺すだろう 】




「大丈夫?」


目を開けるとエムが、僕の頭を撫でていた。


「怖い夢見たの?」



「うん。しばらく側にいて。お願いだから……」


「私は、ずっといるよ。だから、安心していいよ」


「…………いつか、エムを襲うかもしれない。恐くて仕方ないよ。こんな不安定な状態の僕といるのは危険だと思う。だから」


ビシィッ!


頭をチョップされた。結構強め。


「バカなこと言ってると一生眠らせるよ?」


「……ごめ…ん」


エムは、もぞもぞと僕の布団の中に入ってくる。首筋からは、甘いシャンプーの香りがした。


ドクンッと心臓が、大きく跳ねる。


「一人で寝るから怖い夢を見るんだよ。だから、ね? 私と一緒に寝よ」


布団の中でエムが、僕の手を両手で握っている。


「……あったかい」


赤ん坊のようにエムの胸に顔を埋めた。それだけで全身を包まれているように安心出来た。


「かなめちゃんは、甘えん坊さんね~。ママに甘えてぇ」


「………………」


「可愛い~。クンクンしてる」


「………………ぅ…」


「あ~ぁ、寝ちゃった。ちょっと残念。まぁ、いいや。良い子でねんねしててね」


エムが、静かに部屋を出ていく。僕は、その後ろ姿を夢と現実の間で見ていた。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



朝御飯を食べたあと、僕は猫耳娘に謎の男とサラの似顔絵を描いて見せた。


「無駄に絵が上手い………。ってか、えっ!? あなた、この方を知らないの? 王様の側近中の側近、ハウス様じゃん。執事長で、しかもこの国の軍の指揮官でもある。とにかく、あなたとは比較にならないほど凄い人。月とカビだよ」


「軍の指揮官……。ふ~ん。だから、あんなに強いのか。まぁ、他にも秘密はありそうだけど。あのさ、隣に描いた女の人は知らない?」


「知らなーい」


「そっ…か……。これからも色々と教えてもらって良い? 情報の報酬は払うからさ」


「まぁ、気が乗ったらねぇ」


僕とエムは猫耳娘と別れて、城を目指すことにした。城に侵入は不可能でも、近づけばある程度の情報収集は出来るだろう。



ズドンッッ!!


「!?」


大地が揺れた。地震か?


僕とエムは、反射的に建物の陰に身を潜めた。突然、空から人が降ってきた。

見上げると、漆黒のドラゴンが優雅に空を旋回していた。


雲より高いあそこから、飛び降りたのか?


「隠れてないで出てこい。早くしろ! 時間が惜しい」


僕は、謎の男の前に姿を現した。

左手に爪を食い込ませ、無理やり自分を落ち着かせ。


「やっぱり、生きてたか。ハハハ、その眼帯なかなか似合ってるぞ」


「サラは、どこ?」


「まさか、その体で奪いに来たのか? 無謀だろう、それは。相手の力量が分からないほど甘い生き方はしてないはず」


「サラは、どこ?」


隣のレンガの塀をハンマーのように振り回した左手で殴った。ガラガラッと塀が崩落する。


「ハハ。まぁ、まぁ、落ち着け。今は、お前と殺る気はない。こんな場所まで来たのは、お前に良い取引の話を持ってきたからだ。見事達成出来れば、無傷で女は返してやる」


「………取引?」


「一回しか言わないから、良く聞けよ」


その時。無防備な男の背後からエムが攻撃を仕掛け……………られなかった。


「やめとけ。今、俺はコイツと話しているんだ。部外者は、引っ込んでろ」



「エム。今は、耐えて」


「…………分かった」


意外にも素直に従い、その場から姿を消した。謎の男は、再び静かに話し始めた。


相変わらず、あの不思議な蜜の香りを放ちながらーー

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