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異世界リベンジ  作者: カラスヤマ
6/22

6話

店長らしきオヤジに飲食代金分を働くように言われた僕達は、閉店後に店内の掃除をしていた。


「あのさぁ、そこまだ汚れてるんですけどぉ。適当にやらないでくださぁい」


ベチィ!!


さっきまで愛想の良かった猫耳娘が、今は女王様のように『僕にだけ』あたりが強い。細い鞭でことあるごとに尻を叩かれた。


「痛っ……。はい。分かりました。ってか、エムはどこですか? さっきから姿が見えないけど……」


「今、姉さんはまかないを食べてるよ。人の心配は良いから、お前はまず手を動かせ」


姉さん?


「は…ぃ……」


この世界は、女尊男卑なのか? よく分からないけど。


一時間後。

ようやく掃除が終わり報告に行くと、エムと猫耳娘は仲良く談笑していた。


「掃除終わりました。エム……。そろそろ帰ろう」


「うん。分かったぁ」


「えぇ!? 姉さん、もう行っちゃうんですかぁ?

もう少しゆっくりしていけば良いのに」


エムにくっつく猫耳娘。本当の猫のように喉奥からゴロゴロ甘えた声を出していた。


「ん?」


なんだ……。

やけに外が騒がしい。様子を見に行くと店の扉をどんどん叩きながら、わめき散らしている近所迷惑な男が二人いた。

柄の悪そうな連中だった。どこの世界にも似たような奴はいるらしい。


走ってきた猫耳娘は、陰から眺めていた僕を突き飛ばし、彼らに頭を下げて必死に何かを謝っていた。


話している内容から察すると、どうやら彼らは金貸しで集金に来たみたいだ。金がないことが分かると、古臭いやり方なんだけど。猫耳娘を連れていこうとしている。………時代劇じゃあるまいし。


別にそこまで恩があるわけじゃない。放っておこうと思った。それに下手に目立ちたくもないし。



「どぅりゃあぁあ!!!」


走ってきたエムが、男の一人に飛び蹴りを派手にくらわす。小さなエムだが、力比べなら大の大人三人分はある。


エムに投げ捨てられ、ぼろぼろになった男達は、慌てて逃げていく。


「………あまり目立つなよ。ここは、僕達の住む世界とは違うんだから」


「はいはい。分かりましたよ。でも、殺さないだけマシじゃん」


猫耳娘と別れた僕達は、今夜泊まる宿を探すことにした。


「なら、私の家に来ませんか? 狭いですけど姉さん一人なら何とかなりますし」


いや、僕は?


「いいの? 助かるよ。ありがとう、ネコちゃん」


僕達は、猫耳娘の家に泊まることにした。ちゃんと僕が寝る場所も用意してくれた。トイレ横の床に。かなり薄い布団も貸してくれた。



日付が変わる頃ーーーー。


僕とエムは、猫耳娘を起こさないように静かに部屋を抜け出した。


「考えることは一緒か……」


「要のそういうところ好きぃ!」


「し、静かに。起きちゃうよ」



子悪党のアジトへGO!!


灰色の建物に侵入し、腐った魚を一匹ずつ処理する。確実に。


「またお前らかっ!!! いったい、何しに来たっ!! こんなことしてただで済むと」


うるさいな、コイツ………。背中の光る刺青が良く見えるように首を曲げてあげた。



静かになったアジトを漁り、借用書他すべての記録をその場で燃やした。建物も含めて。


「猫への恩返し、完了っ!!」


「ぁ~眠い。帰って二度寝しよう」


「要とくっついて寝たいな。ギュッ、ギュッ~てしながら……。ダメ?」


「ダメ」


「お前のそういうところ死ぬほど嫌いだよ」



そんなこんなで異世界一日目が終了した。


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