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異世界リベンジ  作者: カラスヤマ
3/22

3話

午後六時。やっと今日一日の仕事が終わった。正直、殺しの仕事よりキツいなぁ……と最近思い始めている。肩こりが半端ない。愚痴をこぼしながらの帰宅途中、偶然アパートの大家さんと商店街で会った。


「今、帰り? お疲れ様」


「はい。かなり疲れましたぁ」


「ハハハ、だらしないねぇ。そんなに若いのに。もっとパワフルに生きなきゃダメだよ!」


「は…い……。気を付けます」


大家と別れ、再び歩き出した僕の耳に大家の独り言が響いた。



「部屋の電気が消えてたから、二人でデートかと思ったのに……」


「っ!?」


嫌な予感。胸騒ぎ。

飛ぶように走り、アパートに帰る。



「ぁ……はぁ…」


確かに部屋の電気が消えている。部屋に入ると嗅いだことのない蜜の香りがした。


暗い部屋に知らない男がいる。気を失っているサラを抱き抱えていた。



「お前、何してる。今すぐ離せ」



黒スーツ姿の男は、こちらを見ても顔色一つ変えない。直感的に相手の強さが分かり、身構える。



「そこをどけ。邪魔だよ、お前」


「……………」


サラを傷つけないよう、周りの闇に紛れて相手の背後に回る。手刀で男の首をはねようとすると、人差し指だけで攻撃を防がれた。女のように細く綺麗な指先。それなのに鋼鉄のような固さ。男は相変わらず、こちらに興味を示さない。



「ふぁあぁ~………眠っ」



感動的な強さ。殺し屋をやっていた時にもこのレベルは、なかなかいなかった。


一瞬の動揺。それを見逃す相手ではなく、気づくと僕は床と激しくキスをしていた。回し蹴り+腹を三発殴られた。



「ぐっ……」


奥歯と鼻骨。おまけに肋骨を二本折られた。止まらない鼻血。ダメージの残る体を無理やり動かし、何とか立ち上がった。


玄関前に立つ。その男の隣で、気がついたサラが、ぼろ雑巾のような僕を見ている。



「行く…な……」


「要さん。さようなら。楽しかったです」


最後の力を振り絞り、相手に迫る。

勝算なんてない。それでもこの黒い衝動は、止まらない。男が投げた銀製のペンが十本以上飛んできて、体を穴だらけにされた。右目にも深く刺さった………。



「ふ~ん。致命傷になる臓器を避けたか……。こっちの人間にしては、良い反応してるな」


二人が出ていく姿を見て、頬を血ではない、別の何かが流れているのを感じた。



サラ……。


ごめん。


守れな…く……て………。


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