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異世界リベンジ  作者: カラスヤマ
2/22

2話

殺し屋だった頃ーーー。

乾く前に新たな血で手が赤く染まる毎日。


そんな血生臭い日々を送っていた僕は、小さな田舎町でサラに出会った。


他の女とは何かが違う。一瞬で僕の全てを見透かされた気がした。今までに感じたことのない頭の痺れ。


僕はこの日、醜悪な裸の自分を彼女にさらけ出した。


………………………………。

……………………。

…………。


殺し屋を引退して二年ーー。


僕は、ボロアパートでサラと二人で幸せに暮らしている。初めてアルバイトにも挑戦し、毎日社員さんに怒られながらも何とか仕事を続けている。


昼休み。作業着の繋ぎ姿のまま、唯一の楽しみであるサラの手作り弁当を公園のベンチに座り、食べていた。


「………………」


その時、日陰から誰かの視線を感じた。


「隠れてないで出てきなよ。……エム」


「どうして分かったん? 気配は消していたのに」


細い木の影から黒ワンピース姿の少女が、姿を現した。


「引退しても勘はある程度働くし。それにエムの匂いがしたから」


「にぃッ!? 匂いって。そ、そ、そんなに臭い、わたし? お風呂ちゃんと入ったのに。えぇ、嘘。もう帰るッ!」


「いやいやいや、そういう嫌な匂いじゃなくてさ。……何て言うか、どこか懐かして安心する匂い」


「………バ…カ」


なぜか上機嫌なエムは、ドカッと僕の隣に座った。珍しそうに僕の腕に抱かれた弁当箱を覗き込んでいる。


「卵焼き食べる? 美味しいよ」


「フンッ! そんなのいらないもん。カップ麺あるし」


いつの間にか、エムの手には小さなカップ麺が一つ。美味しそうな魚介の香りがした。腕時計で昼休みの残り時間を確認する。慌てて、ご飯を口に放り込んだ。


食事を終え、立ち上がった僕に。


「やけに幸せそうだな……」


「うん、幸せだよ。またね、エム。これから仕事だからさ。遅れると怒られる」


…………………………。

…………………。

……………。


一人だけになった公園に少女の悲しい声が響いた。


「ほんと……ムカつくな、アイツ」



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