第83章 剣闘祭 コーデル校vsイラプト校②
「それでは4戦目を始めます!!両者武器を構えて…試合開始!!」
イラプト校の次の選手は細剣使いの女性、ターニャ選手だ。
細剣使いは俊敏性も重視しているので、彼女ならガリナ選手の早さにも対応できるだろう。
「やぁぁぁ!!!」
開始と同時にターニャ選手がガリナ選手の周りを走り始めた。
ガリナ選手はその場でじっと止まり、カウンターを狙っている。
最初はゆっくりした移動だったが、急に速度を上げて細剣Lv.3”トライアングルリニアー”を行使した。
ガリナ選手は急激な速度の変化に対応しきれず、ソードスキルを真正面から受けた。
動体視力を限界まで生かして2撃は弾き、辛うじて軽傷で済んだ。
だが2撃目を弾いた時にガリナ選手は体勢を崩し、残った3撃目で喉笛を貫かれた。
「試合終了ーー!!勝者、イラプト校ターニャ選手ーー!!」
『ガリナ選手か…今まであまり目立ってなかったけどなかなか強かったな。』
ターニャ選手のように速度の変化を利用して攻め込むのは細剣使いの常套手段だ。
ガリナ選手は実戦経験が乏しかったのだろう。
「それでは5戦目を始めます!!両者武器を構えて…試合開始!!」
次のコーデル校の選手は片手剣使いの女性だ。
体格がオルズ選手によく似ているので、ターニャ選手は彼との戦闘経験をそのまま活かせるだろう。
開始と同時に、ターニャ選手が攻撃を仕掛けた。
ガリナ選手へ直進したときとは異なり、今回は相手の周りをまわるように移動している。
『…っ!!これは厄介だな…』
先程と同様に速度の変化を利用し、自分の姿を徐々に相手の視界の端へと移動していった。
そして瞬時に急加速し、相手の視界から一瞬外れたところで相手へ直進し、細剣Lv.1”リニアー”で喉笛を貫いた。
「試合終了ーー!!勝者、イラプト校ターニャ選手ーー!!」
『今のはかなり高度な戦闘技術だったな…オルズ選手とよく模擬戦してるんだろう。』
だが今の戦闘技術は相当走って移動しなければいけないので、ターニャ選手の息は上がっているようだ。
それに、足も疲労で震えている。
対するコーデル校はついにルーカスだけになった。
ルーカスは舞台に上がると、ターニャ選手を舐めまわすように見て舌なめずりをしている。
「それでは6戦目を始めます!!両者武器を…」
「私は棄権させていただきますわ。…この男と戦いたくないですもの。」
「おーっと!!ターニャ選手、棄権しましたーー!!」
『まぁ…妥当だな。力の差は歴然としてるし、痛めつけられるのは目に見えてる。』
実は戦闘を棄権したのは今が初めてではない。
第2回戦でコーデル校と当たった学校が、第1回戦で見せたルーカスの暴虐さに怯えて棄権していたのだ。
「えー…それでは気を取り直して、7戦目へ移ります!!」
イラプト校のベンチからライオネルが立ち上がり、闘志を剝き出しにして舞台に上がった。
対するルーカスも、強者を前にニヤリと笑う。
今まで賭けや応援で盛り上がっていたコロッセオが静まり、一瞬でピリピリした雰囲気へと変わった。
それほどまでに2人から強者の圧を感じるのだ。
『ついにルーカスvsライオネルを見られるのか…楽しみだな。』
ここで、再度2人のステータスを確認しよう。
名前 ルーカス=ドルムンド 種族 魚人族 (サメ) Lv.50
HP 600/600 TP 600/600 SP 0
STR 170 VIT 150 DEX 30 AGI 105 INT 30 LUK 30
スキル
体術Lv.1
ユニークスキル
先祖返り:身体は時代と共に退化する以前の頑丈な鱗に覆われ、基礎ステータス値が高くなる。
王者の風格:スキルLv.1のままLvが上がるとHP、TP上昇率とSP獲得量が増加する。
名前 ライオネル=ボルケーノ 種族 龍人族 Lv.42
HP 420/420 TP 1081/1081 SP 0
STR 100 VIT 65 DEX 60 AGI 40 INT 55 LUK 20
スキル
両手剣Lv.6 体術Lv.6
ユニークスキル
火炎龍の加護:基礎ステータス値が増加し、体温を急激に上昇させることで身体強化する。また、完全開放することで一時的に火炎龍の力の末端を利用することができる。
2人の強さの秘密は、やはり効果の強いユニークスキルだ。
ユニークスキル保持数はルーカスは2つでライオネルは1つだが、ライオネルのユニークスキルは効果に多様性があるため1つで2つ分程度だ。
『やっぱりあのユニークスキルはずるいな…って、俺は6つもユニークスキルあるんだから嫉妬は醜いな。』
ステータス値はルーカスの方が圧倒的に上回っているが、スキルLvや戦闘技術ではライオネルの方が凌駕している。
『そういえば2人とも家名持ちか…ってことはそれぞれ魚人族と龍人族の貴族だったりするのか…?』
”先祖返り”や”火炎龍の加護”を得ていることから、もしかしたら王族なのかもしれない。
だとしたらライオネルを見て、クレアが姿を隠そうとするのは何故だろう。
『もしかして…クレアはライオネルの親族だったりするのか?もしくは知り合いとか…?』
楽しみな戦いを前に、興奮して思考が止まらない。
”鑑定”を駆使しても勝敗が全く分からないこの戦い…果たしてどちらが勝つのだろうか。
「両者武器を構えて…試合開始!!」
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