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第66章 武器強化

対策を考え続けているうちに、第18回戦終了していた。

適当に予想して買ったチケットは見事的中し、大銀貨1枚と小銀貨6枚(16,000円)の利益が出た。


「今回は両方当たったから引き分けだネ!!次で追いつくヨ!!」


「むしろ引き離してやる!」


次の試合もステータス値が五分五分だ。

今回も適当に予想し、大銀貨1枚をBETした。


『武器を強化…強化…そうだ!!“闘気操術“で武器にもTPが流れればあるいは…⁉︎』


物は試しだ。

実験材料は手に持っていたペンでいいだろう。


対照実験をするためにまずはTPを流す前に“鑑定“して数値を記録した。

次に、腕をペンで叩いてみた。

TPを流し込む前のごく普通のペンは、もちろんぺちっ!と音を立てるくらいで大して痛くない。


『流し込んでみるか…』


右手に握っているペンが自分の身体の一部だと意識し、ペンの方までTPを循環させてみた。


『…おっ、感覚的には少し流れ込んだな!!』


そのペンを“鑑定“し、TPを流し込む前と後のステータス値で比較してみた。

しかし、特に数値に変化はなかった。


『ステータスに表示されないだけか…?次はペンで腕を叩いてみるか。』


「…痛っ!!」


TPを纏ったペンは予想以上に硬くなっていた。

強度は鉄くらいになっており、叩いた場所が少し赤く腫れるほどだ。


『…TPで強化するにも限界があるはずだ。限界まで試してみるか。』


限界を超えてTPを流し続けてしまうと、壊れる可能性がある。

ペン…はアイリスに借りた物なので、“アイテムボックス“から鉄の棒を取り出した。


コロッセオ内は武器持ち込み禁止なので、あくまでただの鉄の棒だ。

さっきペンで成功した感覚を思い出し、鉄の棒にTPを流し込んだ。


『今30…50…100…まだ大丈夫そうだな。』


TP100を流し込んだ時点で、既に鉄の棒は鋼鉄くらい頑丈になっていた。

しかし、愛剣グレートバスタードソードの強度には足元にも及ばない。


『…そういえばグレートバスタードソードの材質ってなんだ?』


気になったので、“アイテムボックス“から出さずにステータスウィンドウで“鑑定“した。



名前:グレートバスタードソード ランク:S 材質:アダマンタイト合金


STR 90 VIT 70 DEX 70 AGI 60



『アダマンタイト合金…⁉︎そんなファンタジー物質だったのか…』


アダマンタイトは希少度Sランクの超激レア素材で、加工できる者は数えられるくらいしかいないらしい。

師匠はこんな貴重なものをくれたのか…


「試合終了ーー!!シャウプ校の勝利ーー!!」


『…っと、第18試合終わったか。賭けは…ハズレか。』


「アルフレッドきゅん、これで追いついたヨ!!」


「くそっ…」


メリッサは変な喋り方でふわふわしたキャラだが、人を見る目が良いらしい。

実力が均衡した戦いも正確に当てている。


『意地でも負けたくないな…実験しつつ真面目に勝利予想するか。』


それから賭博勝負を続けつつ実験を重ねた。


賭博勝負は第26試合が終了し、今の勝利数は7:6でギリギリ勝っている。

7戦のうち2戦で3人抜きと4人抜きを見事的中させ、合計で金貨3枚と大銀貨6枚、小銀貨9枚(369,000円)の利益が出た。


「キミなかなかやり手だネ…でも残りの6試合で追い抜くヨ!!」


「やれるものならやってみろ!残り6戦も勝って完勝してやる!!」


良い勝負が続いてメリッサの好感度が上がったのか、話すときの距離が近くなり、ボディータッチが増えた。

メリッサは普通に可愛いし、俺としては嬉しいのだが…クレア達の怒る顔が予想される。


実験に関しては、込められるTPに法則性があることを発見した。

素材によってTPとの親和率が異なり、また体積と込められるTP量は比例の関係があった。


アダマンタイト合金はまだ試せていないがファンタジー物質なので、親和性は高いだろう。


『…けっこう儲かったな。』


“鑑定“のお陰で予想以上に儲かっている。

正直な話、賭博師を職業にしても十分に生活できるだろう。


だが、冒険者はロマンだ。

死のリスクは高いがランクが上がれば周りからちやほやされるし、賭博と比べ物にならないほど儲かる。


『前世では自己顕示欲とか承認欲求が枯れてたけど…今はあるんだよな。』


今世の年齢がまだ12歳で、精神年齢が若干寄せられているというのもあるだろう。

最近精通して性欲も出てきたし、ちやほやされて女性が手に入るのは都合がいい。


『…っと、第27試合が始まる。』


実験は一通り終わった。

あとは早く武器にTPを流し込めるように反復練習するだけだ。


『面倒くさいけど…頑張るか。』

誤字脱字等あればご指摘ください。

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