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第28章 魔物征伐 出発

それから早くも2ヶ月が経った。


神託による事業は『魔物征伐』と名付けられ、冒険者ギルド総出で対応することに決まった。

危険度が非常に高いので冒険者の士気は下がると思っていたが、実際はそうではなかった。


ギルドが参加報酬を払うだけでなく、討伐数に応じて追加報酬を与えることを約束したからだ。

魔の森の魔物から採れる素材は貴重なため、大量の報酬を与えてもギルドとしては非常に嬉しいらしい。

征伐に向かう各パーティに”アイテムボックス”の魔道具を支給するほどだ。


『俺も冒険者だったら一攫千金狙えたのに…』


俺はと言えば、補給部隊まで魔物が侵攻してきた時に備えて毎日6時間以上厳しい訓練を行った。

おかげで片手剣Lv.1→Lv.5、槍Lv.1→Lv.3、弓Lv.1→Lv.2、盾Lv.1→Lv.5へ上昇した。


「皆、この2か月間本当によく頑張ってくれた。早朝、ついにペンシルゴン家へと移動を始める。今日は早めに就寝し、体力を温存しておくように。」


「はい!」


「小僧はこの後俺に着いてきてくれ。」


「…?分かりました。」


他の生徒が帰宅し、俺は教授と共に空き教室に来ていた。


「明日の魔物征伐だが…俺達教授のパーティに混ざる気はないか?」


「…っ⁉理由をお伺いしても…?」


「小僧は冒険者学校1年の主席だから、経験を積ませたいんだ。」


「ということは2、3年の主席も同行を…?」


「ああ。パーティは別だがな。」


「なるほど…」


教授の表情からして、経験を積ませたいというのはおそらく事実だろう。

パーティを組んで魔物を倒せば経験値が回ってくるので、俺としてもありがたい。


「…分かりました。同行させていただきます。」


「そうか…!!ならこの後パーティメンバーで会議をするから集まってくれ。」


「はい。」


数十分後


「明日のことを決めるが…その前に小僧、自己紹介を。」


「はい。1年主席、アルフレッドです。足を引っ張らないよう努めますので、どうかよろしくお願いします。」


「おぉ~!!礼儀正しいねぇキミ!!」


「あなたは…?」


「あーしはルイザ。細剣の授業担当だよ!こちらこそよろしくね!」


「吾輩はクラウド。貴殿とは弓の授業で一緒であるな。よろしく頼むのである。」


「私はサロメ。クラウドさんの助手をしています。よろしくお願いします。」


パーティ構成はアラン教授と俺で前衛、ルイザ教授が中衛、クラウド教授とサロメ助手が後衛だろう。

結構バランスが取れているのではないだろうか…?


「小僧、皆と話し合って決めたんだが…敬語をやめろ。」


「えっ…?」


「いちいち敬語や敬称を付けていると文字数が増えて連携が遅くなる。」


「確かに。分かり…いや、分かった。」


「じゃあ本題に入るぞ。まず…」


それから3時間ほど、念入りに作戦を話し合った。

幸いなことに最前線には派遣されないようなので、良かった。


「大体のことは話したな…あとは臨機応変に頼む。」


「分かった。」


「それじゃあ解散だ。再集合は現地で。」


「了解である。」


日が暮れ始めたので走って寮に戻った。


「おかえりなさいませ。アルフレッド様。」


「ただいま。」


「ご夕食をお持ちしますか?」


「ああ。頼む。」


「かしこまりました。」


先生にもらった『神器一覧』の本を読みながら食事を済ませた。

社畜時代に食事中も仕事をやらされていた影響で、食事中にマルチタスクしていないと落ち着かないのだ。


「アルフレッド様、その本は何でしょうか?」


「冒険者学校に入学する前にもらったものだよ。神器について書かれてる。」


「失礼ながら…貸していただくことは可能でしょうか?」


「ああ。ただ、大事な本だから無くすなよ?」


「かしこまりました。」


一緒に生活していて気づいたのだが、ソフィアは手が空いているとき大体は読書をしている。

筋金入りの読書好きだ。


「そういえば…執事学校は魔物征伐に関与しないのか?」


「はい。当初は治療部隊に配属される予定でしたが、結局冒険者学校が引き受けましたので。」


「なるほど。一応報告しておくが…補給部隊じゃなく討伐部隊として参加することになった。」


「…っ!!どうしてですか?」


普段ずっと真顔のソフィアが、不安そうな表情を見せた。

3ヶ月ほど一緒に過ごしていて初めて見た。


「教授曰く、『主席に経験を積ませたい。』とのことだ。」


「…私にはこの本を返却する義務があります。」


「…?」


「ですので…絶対に帰ってきてください。」


「…っ!ああ、ありがとう!!」


それから明日の用意をし、軽く訓練をした後眠りについた。


翌朝

集合時間より早く起きて軽くランニングをし、水浴びをして自室に戻った。


「おはようございます、アルフレッド様。」


「ソフィア…!」


「見送りをしに来ました。…迷惑でしたでしょうか?」


「いや、嬉しいよ。ありがとう。」


「いえ。私はアルフレッド様の側付きですから。」


「…っと、そろそろ時間だな。じゃあ…行ってきます。」


「行ってらっしゃいませ。…どうかお気を付けて。」


「ああ!」


ソフィアと約束したのだ。

絶対に生きて帰ってこよう。

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