第233章 第4ダンジョン 宝箱
最後に俺が”探索の振り子”の実験をした後、再びトラップハウス前に戻ってきた。
ちょうど振り子の指し示す場所がトラップハウスの目の前にある壁だったからだ。
結果は半分成功、半分失敗と言ったところだ。
『何が原因なんだ…?』
「お腹空いた~!!」
「オレもー-!!」
「そうだな…トラップハウス周辺は魔物が寄り付かないみたいだし一旦昼食にするか。」
今までレジャーシートの上に広げていたトランプを収納し、お弁当を取り出した。
もちろんソフィアの手作り弁当だ。
美味しい食事に頬が落ちそうになっていると、アイリスが真剣な眼差しでこちらを見ていた。
「どうしたアイリス?」
「アルフレッド、1つ提案があります。」
「なんだ?」
「先程手に入れた魔道具で宝箱を探しながら攻略しませんか?」
「それは構わないが…理由は?」
「80層からは魔道具の獲得情報がちらほら出ています。強力な魔道具を入手できれば101層から先を攻略する手助けになるかもしれません。」
「なるほどな…皆はどう思う?」
「さ、賛成なのです!」
「いいね~!!」
「オレも宝欲しいぜ!!」
クレアだけ趣旨が異なるように感じたが、皆賛成の意を示している。
今日の目標である100層ボス討伐まで残り20層で時間的余裕もある。
「そうだな。アイリスの意見を採用しよう。」
「ありがとうございます!」
ダンジョン攻略で獲得する宝箱はロマンであるはずなのだが、今までは中身がしょぼかった。
低ランク回復薬だの、低ランク武器だの、ただの魔物素材だのと商会で買えるレベルだった。
だが、これから先の宝箱は何が出るか分からない。
ガチャ要素もあり、今までの宝箱とは異なり非常にロマンに満ち満ちている。
「ごちそうさまでした。さて…少し休憩したら攻略再開するぞ。」
「おう!」
食事休憩している間に俺は”探索の振り子”について再度調べていた。
”成功確率は使用者による”とのことだが、先程5人全員が成功したその要因は一体何なのか。
これからこの魔道具を使う上で性質を把握しておきたいところだが、やはり圧倒的に情報が足りない。
根拠なく推測するに、考えられる要因は2つある。
1つ目は周囲にありふれたものほど成功率が高く、希少なものほど成功率が低い。
先程俺が試した際、昔師範に見せてもらった希少鉱石とよく発掘される鉱石も一緒に思い描いた。
その結果、見つかったのは後者だけだったからだ。
2つ目は脳内でのイメージが鮮明なほど成功率が高く、大雑把なほど成功率が低い。
俺は自分が発掘した鉱石の他にアイリスが発掘した鉱石もイメージしたらしいのだが、見つかったのは前者だけだった。
要は俺のイメージが希薄で、上手く脳内に思い描けていなかったからだろう。
『…”探索の振り子”はイメージ力の高いスーに持たせるか。』
「アルフレッド、準備出来ました。」
「ああ。スー、代表して宝箱を探してくれ。」
「責任重大だね~!!りょうか~い!!!」
「それじゃあ行くぞ。」
「おう!」
スーが戦闘に参加できない分、俺が中衛と後衛を同時に務めることにした。
大変そうだが、弓による遠距離射撃で十分可能なので特に問題はない。
「…おっ、早速反応があるよ~!!」
「どっちだ?」
「左前方~」
「82層に続く階段のほうか…了解。」
前衛のアイリスとクレアが魔物を蹴散らしながら、振り子が指し示す先へと進んでいく。
ちょうど最短ルートと被っており、順調に階段へと近づいていく。
「反応的にこの先左曲がったところかな~?」
曲がり角を左に曲がってしばらく進むと、若干なり魔物のたまり場になっていた。
それを殲滅して少し進むと、本当に宝箱が現れた。
結果は成功だ。
「よくやったスー!!」
「えへへ~!!」
宝箱の大きさはトラップハウスで見つけたものと同じくらいだった。
これは中身の大きさを問わずダンジョンで共通した大きさである。
トラップハウスと比べたら赤子レベルの罠を一瞬で解除した。
「…開けるぞ?」
「うんっ!」
ギィィと軋む音と共に蓋を開けると、目の前に現れたのは錆びた一振りの短剣だった。
ランクはB、特殊効果も付いておらずハズレに分類されるものだ。
「ハズレですね。」
「ああ。中堅冒険者辺りが使ってそうな性能だな。錆だけ取って武器屋に卸すか。」
それから82層、83層、84層…89層と”探索の振り子”を使いながら攻略を続けた。
スーは1度も失敗することなく宝箱を6つ見つけたが、結果どれもハズレだった。
「…まあ魔道具の発見例なんて超確率低いからな。」
「そうです。だから元気出してください。」
「そうなのです!」
「そ、そうだ!90層のボス戦はお前にメインを譲ってやる!!だから、な!?」
「いいの~?」
「も、もちろんだ!!」
「やった~!!」
ボス戦で機嫌を直すとは、流石戦闘狂だ。
メインにスーを据えるのは構わないが、90層のボスはそれなりに手強い。
目立たないように後衛からスーの援護に努めよう。
「さて…それじゃあ扉開けるぞ。」
「うんっ!!」
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