第210章 第18ダンジョン 成長調査②
「さて…そろそろ91層に向かうぞ。」
「おう!」
流石に増加した階層全てにアンデッドが配置されているということはないだろう。
いや、配置されていないことを願うばかりだ。
ドクドクと心臓の鼓動を速めながら階段を上った。
すると、そこは82層以下のようにダンジョンの壁や天井が発光して明るい空間だった。
「…アンデッドエリアは抜けたみたいですね。」
「ああ。良かった…」
ほっと胸をなでおろしていると、”魔物探知”にこちらへ向かってくる1つの反応があった。
移動速度はなかなか早く、その上体長も大きいどこかで見たことがあるような反応だ。
「戦闘態勢!!1体向かってくるぞ!!」
「グオオオオ!!!!」
「っ…!!」
現れたのは迷いの森南部でサバイバルをしていた頃に激戦を繰り広げた相手…
そう、Aランク魔物キリングベアだった。
だが野生の個体より一回り身体が小さく、俺自身も遥かに強くなったので脅威を感じない。
「おらぁぁぁ!!!」
「…へっ?」
クレアは雄叫びを上げながら両手剣を振り下ろし、綺麗にキリングベアを両断した。
確か俺は今のクレアと同レベルくらいの時期に苦戦した気がするのだが…それは忘れておこう。
「…この層はクレアに任せて進むぞ。」
「おう!!」
それから何度かキリングベアと交戦しつつ、宝箱を1つ見つけて92層に上がった。
宝箱の中身はキリングベアの毛皮という何とも微妙な代物だった。
『未開拓階層だけど中型ダンジョンだから微妙なのか…?』
そんなことを考えていると、再び”魔物探知”に1つ反応があった。
先程のキリングベアよりも俊敏性が上回っているどこかで見たことがあるような反応だ。
「戦闘態勢!!1体向かってくるぞ…っ!!」
現れたのは魔物征伐時にアランが”闘気操術”で倒したAランク魔物ウェアウルフだった。
だが体長は一回りも二回りも小さく、約3mとウェアウルフとウェアウルフ亜種の中間くらいだ。
「はぁぁぁぁ!!!!」
アイリスがウェアウルフを上回る俊敏性で距離を詰め、反撃される前に喉を斬り裂いた。
1撃では仕留められなかったが、痛みに悶えているところで脳天に短剣を突き刺して仕留めた。
「…お疲れ。この層はアイリスに任せて進むぞ。」
「はい!」
予想通り93~99層でもキリングベアやウェアウルフなど森林フィールドに生息する魔物が出現した。
1層ずつ順番に戦闘役を変えて進み、1時間ほどで100層のボス部屋前に到着した。
宝箱は4つ見つけ、中身は森林フィールドで採取できるレア植物や魔物素材だった。
「…今回も俺は危ないと感じるまで後ろで観戦する。指揮はスーに任せた。」
「りょうか~い。じゃあ行くよ~!!」
ゴゴゴゴと分厚く重い扉を開け、ボス部屋に入るとそこには体長6mほどの虎がいた。
鉄の防具を易々と貫く鋭い牙と爪を持ち、斬撃に強い白と黒の体表を持つ…
そう、迷いの森で拠点をかけて争ったジェノスタイガーだ。
『ジェノスタイガーの肉はめちゃくちゃ美味しかったんだよぁ…また食べたくなってきた。』
そんなことを考えているうちにジェノスタイガーが攻撃を仕掛けた。
左右にステップしながら距離を詰め、その鋭い牙でクレアに襲い掛かる。
クレアは攻撃に反応すると真正面から両手剣で斬り込み、高いSTRで噛みつき攻撃を容易く弾いた。
そして攻撃を弾かれてよろついた一瞬の隙にアイリスが短剣Lv.5“ジェットファング“を行使して背後に回り、下から斬り上げて後ろ左足の腿に切り傷を入れた。
迷いの森ではなかなか攻撃が通らず苦労したが、高ランク武器のおかげで簡単に刃が通るようだ。
「ガオオオオオオ!!!!!!」
ジェノスタイガーは痛みを感じて怒りを覚えたのか、力と速度任せに攻撃を仕掛けた。
だが、そんな雑な攻撃は4人には通じない。
冷静にクレアがパリィしたところへイザベルが棍棒Lv.5”スタンブラント“を行使してスタンさせ、動けないところへスーとアイリスがソードスキルの連撃で仕留め切った。
『おっ、ドロップアイテム…って牙か。装飾品にしか使えないし微妙だな…』
少し残念に思いつつも、気を取り直して4人と合流した。
いつも通りと言えばいつも通りなのだが、4人はボス戦後とは思えないほどピンピンしていた。
「お疲れ。ここで一旦昼食を取るぞ。」
「お、お腹空いたのですー!」
「私もです。」
”アイテムボックス”からソフィアの美味しい料理の数々を取り出し、5人で食べた。
一般冒険者たちの昼食と言えば硬い干し肉と薄味のスープなので、ソフィアへの感謝は忘れない。
「さて…食べ終わったし先進むか。」
「おう!もっと手ごたえがある奴が出てきたら嬉しいぜ!!」
「そうだね~アルフレッドくらい強いのは御免だけど。」
「ほら、話してないで早く先進むぞ。このクエストが終わったら大型ダンジョン攻略に移れるしな。」
「そうですね!進みましょう!!」
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