第194章 第18ダンジョン 邪神教徒戦
”構造探知”で把握した62層の構造をメモに書き出し、邪神教徒達へ辿り着く道をアイリスが算出した。
そしてそこへ”罠探知”などの情報を追加で書き記した。
「前回と同じように最初はアルフレッドが仕掛けるんですか?」
「いや、奴らの手際からして俺達を観察する魔道具を持っているかもしれない。今回は全員で叩くぞ。」
「やった~!!じゃあ隊列を組んで一気に駆け抜けるってことでいいの~?」
「そうだな。もし魔道具を持っていなかった場合、俺達に驚いて隙ができるだろうからそこを強襲するぞ。アイリスとクレアが前衛、スーが中衛、俺とイザベルが後衛だ。」
「は、はいなのです!道中にある3つの罠はアルフレッドが解除するのです?」
「ああ。今までと同様、俺が遠距離から弓で誤作動させて無効化する。」
「じゃあ何も気にせず進めばいいんだな!!けどオレは道覚えられないぞ?」
「私が先導するので安心してください。」
「そうだな。任せたぞ。」
「はい!」
これから命の奪い合いをするのだが、4人は何故か目を輝かせて生き生きとしている。
まさかここまで戦闘狂だったとは。
「…もしかしたら63層で仲間が待ち伏せてるかもしれない。絶対に深追いはするなよ?特にクレア。」
「おう!」
「おそらく今まで生還者がいないことから、挟み撃ちされる可能性が高い。その時は俺が指揮する。」
「分かりました。」
「状態異常には気を付けて。絶対に死ぬなよ?」
「は、はいなのです!」
「それじゃあ…行くぞ!」
”闘気操術”を駆使して階段を駆け上り、高速移動を開始した。
師範の厳しい訓練のおかげで、全力疾走しながら数十m先の小さい罠に当てて解除することは容易かった。
何度も曲がり角を曲がって進み続け、邪神教徒達まであと70m…50m…30m…そして20mほどある一本道で対峙した。
「っ!!迎撃しろ!!」
やはり俺達の位置を常時把握していたようで、対峙した瞬間に目の前に無数の矢が広がった。
クレアは両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”、俺は弓Lv.8”エンドレスホーミングアロー”を即座に行使して飛んでくる矢を打ち落としていく。
アイリスはソードスキルを行使せずに動体視力だけで次々矢を斬り、スーは回避、イザベルは防御に徹している。
そして数分ほどにも感じられた数秒間の激しい防御行動を行い、無傷で乗り切った。
「化け物…!!」
「追撃しろ!!」
俺達の人間離れした動きに怯んだところへ再び”ノヴァディザスター”や”エンドレスホーミングアロー”を行使した。
しかし、邪神教徒達に抜かりはなかった。
飛んでいく斬撃や矢は見えない壁のようなものに当たり、パリンッ!という音と共に消滅していく。
『あれは…結界展開の石を重ねてるのか。』
今のうちに結界の中で迎撃態勢を取っている敵全員を”鑑定”し、相手の力量と戦闘力の差を確認した。
Lvは平均60と俺達より低いが、全員が持つ”魔石吸収(貸与)”というユニークスキルによってステータス値が大幅に強化されていた。
”(貸与)”というのは良く分からないが、おそらくこれが邪神から授かったユニークスキルで61層の魔物を殲滅した理由なのだろう。
『…っ!!背後で”邪神教徒探知”が反応した!』
「挟み撃ちだ!!クレアは攻撃を続けろ!!アイリスはクレアと一緒に前の敵を仕留めてくれ!!」
「おう!!」
「はい!!」
「スーは両方に加勢できるよう中立を!!俺とイザベルは背後の敵を仕留めるぞ!!」
「は~い!」
「はいなのです!!」
どうやら敵の”結界展開の石”はクレアの連撃に耐えきれなかったらしく、後ろから次々と剣戟の音や断末魔が聞こえてくる。
”魔石吸収(貸与)”によって強化されてはいるものの、クレアの猛攻には耐えきれなかったようだ。
クレア達が問題ないことを確認し、俺は装備を”神鳥弓”→”鬼人剣”の両手剣に変更した。
対峙した瞬間、今度は俺が探知スキルを駆使して敵の増援に無数の斬撃を浴びせるためだ。
「イザベルは俺の合図で攻撃してくれ。詳細は任せる。」
「りょ、了解なのです!!」
「5…4…3…2…1…今!!」
カウントダウンと共に敵と対峙し、俺は”ノヴァディザスター”の斬撃でイザベルの前面を覆うように行使した。
奇襲を受けた邪神教徒達は次々倒れていき、残った者たちは咄嗟に武器を前に出して防御態勢を取った。
『…いい選択だな。』
イザベルは敵の行動を予測したのか、棍棒Lv.8”トレマーズブラント”を行使して強力な広範囲攻撃を与えるとともに範囲内に揺れを起こして相手を転倒させた。
そして棍棒Lv.5”スタンブラント”にスキルチェインして相手をスタンさせた。
『…まじかよ。転倒させてスタンとか反則級だな。』
感心しているうちにイザベルは広範囲攻撃の連続で敵を殲滅し終えていた。
いつの間にか背後の剣戟の音も止んでおり、振り返るとそこには役目を終えて汗を拭う3人がいた。
「終わった~!!」
「前回よりは強かったな!!」
「2人ともまだ安心するのは…」
アイリスが言いかけたところで、視線の先にある63層へ続く階段からコツコツと複数の足跡が響いてきた。
”邪神教徒探知”によると反応はたった3人だが、どこか嫌な予感がする。
「…おいおい、こりゃあどういうことだ?」
「やっぱり見に来て正解でしたわね。」
「全滅か…ひひっ、なかなか骨が折れそうじゃねーか!」
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