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第167章 新遺跡 予感

「げ、元気出すのです!」


「そうそう~装飾品を売っ払ったお金で魔道具とか買えばいいんだよ~」


「…そうだな!そうと決まれば1つ残らず持ち帰ってやる!!」


「その意気だよ~!」


「うーん…」


「…?」


視線の先には部屋の中央に置かれた描きかけの絵画を眺めて唸っている師範とアイリスがいた。

何かを必死に考えているような思い出そうとしているような、そんな様子だ。


「…あっ、思い出しました!!」


「むっ!!妾もじゃよ!!!」


「2人ともどうかしたのぉ?」


「この独特な筆使い…間違いありません!!!」


「うむ!!これはベラッジオ=ゴーケスの作品じゃな!!」


「べら…誰だ?聞いたことないぞ。」


「一般常識ですが、クレアは知らないでしょうね。」


聞き覚えがあるような無いような気がする。

思い出せないが、なんとも言い出しにくい雰囲気だ。


「ベラッジオ=ゴーケス…180年前の絵画王と呼ばれた天才画家です。」


「うむ!!あの小僧、姿を消したと思ってたらこんなところに引きこもっておったのじゃな。」


「えっ!?面識があるんですか!?」


「うむ。売れてない頃の資金提供をしたのは他ならぬ妾じゃからな!!」


「えぇぇぇっ!?」


アイリスが普段の様子からは考えられないほど顔を顰めて驚いている。

おそらく尊敬する画家だったのだろう。

俺は2人が熱く語り合っているのを横に、何か宝が眠っていないか探索した。


「…おっ、隠し部屋があったぞ!!」


「頼りになるわねぇ~」


「だね~!!…あの2人は置いていこうよ~」


「そうだな…邪魔するのも申し訳ないし。」


例の通りに絵画を”アイテムボックス”に収納して後ろにあった部屋へ足を踏み入れた。

そこは作業場の大きさに比例しており、今までの3倍近くの広さと絵画が並べられていた。

あの2人に見せたらきっと鑑賞会を始めて時間がかかると思い、さっと”アイテムボックス”に収納して隠し部屋を出た。


「さて、この部屋の絵画の回収が終わったら次の道に進むぞ。」


「…お、おいアルフレッド!!」


「弟子よ!!」


「どうし…っ!?」


部屋の奥にあるという規則性に囚われて左右の壁を見落としていた。

入り口以外の3方向のいずれにも隠し部屋があったのだ。


「…まずは師範の見つけた右側から見てみよう。」


部屋に入ると、そこは建物や乗り物の模型がショーケースに入れて並べられていた。

縮小されて50cmほどしかないというのに、どれも実物と相違ないクオリティーだ。

この模型を巨大化したらそのまま使えるのではないかと思うくらいに。


「アルフレッド、これこの遺跡の入り口に似てないか?」


「本当だ。…ということはこの部屋の主がこの遺跡を建てたのか?」


「その可能性は高いじゃろうな。」


「ね~ね~!!どの模型の裏にもA・Hって書かれてるよ~」


「A・H…むっ!!建築王アルディ・フラヴェルじゃよ!!」


「師範、何か知っているんですか?」


「コルセアにあるコロッセオの建築者じゃよ!!そういえば妾が作らせたんじゃった!!」


「えぇ!?意外と身近だったな…」


ショーケースを見て回っていると、確かにコロッセオの模型が飾られていた。

だが、何回も作り直したのか複数個コロッセオを建てたのかは分からないがいくつかのコロッセオの模型が飾られていた。


「師範、そのアルディさんは何年くらい前の人物なんですか?」


「むっ?確か200年くらい前だった気がするのじゃ。」


「なるほど…ありがとうございます。全部収納したら反対側に行ってみよう。」


ショーケースごと収納して反対側に行くと、そこには高級そうな服を着たマネキンが何十体もいた。

だが、そのどれも先程の通路の隠し部屋で見つけた服よりもずっと繊細で美しかった。


『女物ばかりだしまた試着会が始まるな…』


そんなことを思いながらため息をつくと、隣でサリーちゃんが息を荒げているのに気が付いた。

視線は隠し部屋にある服にがっちり固定されており、恍惚とした表情をしている。


「ど、どうしたサリーちゃん?」


「こ、これシャンディ・ヴィヴィエの服じゃないの!!」


「…本当だ。タグにS・Vって書いてあるぞ。」


「むっ…そういえば妾の服を作らせておったのじゃ。」


「えぇ!?…ところでそのシャンディさんは何年くらい前の人物なんですか?」


「むっ、先程からなんじゃ?」


「いえ、何となくです。」


「ふむ…確か190年前くらいじゃな。」


「なるほど…ありがとうございます。」


先程から何か変な予感を感じている。

それは命の危険や不運ではなく、うんざりするような曖昧な予感だ。

ここにいた人達が俺を誘っているような、皆から引き離そうとしているような気がするのだ。


『…多分気のせいだよな。ゴースト系魔物だとしても”魔物探知”に反応は無いし。』


「建築家といい画家といい洋裁師といい…もしかしてここは技術者の共同住宅だったんでしょうか?」


「あたしもそう思う!!」


「なるほどな…その予想を念頭に残る2つの道も探索してみるか。」


「おう!!」

誤字脱字等あればご指摘ください。

よろしければブックマーク、評価、感想、レビュー等よろしくお願いいたします!!


「異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~」の方もよろしければぜひご愛読ください!!

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