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第166章 新遺跡 作業場

「はぁ…まさか全部ただの装飾品だったとは…」


「げ、元気出すのです!!」


「遺跡だし魔道具の1つくらいあってもいいだろ…」


「まあなんだ…ドンマイ!!」


「はぁ…」


奥の小部屋にあった装飾品の数々は金銀以外にも希少鉱石で出来たものが複数あった。

見た目に伴って特殊効果も付いているだろうと期待して”鑑定”したのだが、当てが外れた。

全て俺達の“アイテムボックス“に収納して小部屋を空にして通路は出た。


「気を取り直して進むのじゃ。」


「そうですね…じゃあ行きますか。」


隊列を組みつつ精神を整え、再び“魔物探知“と“罠探知“を行使しつつ移動を開始した。

気のせいかもしれないが、最初の通路よりも罠の数が多い気がする。

奥にあるだろう部屋ではきっと素晴らしいものが得られるのだろう。


そんな期待を胸に抱きつつ進むこと30m弱


「…ん?また隠し部屋か?」


「ど、どこなのです!?」


「5m先の左壁。さっきと同じ反応がある。」


「今回はオレが開けても良いか?」


「いいよ〜」


「よっしゃぁ!!開けるぞ!!」


「ちょっ!?」


間髪入れずにスイッチを押すと、先程と同様に壁が左右に分かれるようにして開いた。

そしてコンマ数秒後に左右の壁に穴が開いて2本の槍が凄まじい勢いで突き出してきた。

クレアは右手の両手剣を右壁に、左手のガントレットを左壁に構えてその槍を受け止めた。


「おぉ!!思ったより威力あったな!!」


『そんな生ぬるい威力じゃないはずなんだがな…』


「中は…さっきと同じ構造ですね。」


「そうねぇ~少し期待外れだわ…」


「とりあえず探索してみよう。」


今回は強力な魔道具や装備が見つかるだろう。

そんな予感を感じつつ“構造探知“を行使すると、予想通り奥の絵画の裏に小部屋を発見した。


「ここも隠し部屋があるみたいだな。」


「こ、こっちは何もなかったのです…」


「クレア、その絵画を収納してくれ。」


「おう!!」


「あらまぁ!!」


絵画を収納すると、見るからに高級な衣類がハンガーで大量にかけられた小部屋が現れた。

中には絹糸ではなく金属糸で作られたと思われる衣服も混ざっている。

鎖帷子やチェインメイルとして使える程度の強度と推測されるため、戦闘用に使えるかと問われれば微妙なところだ。


「女物ばかりじゃな。妾達は試着したりするじゃろうからサリーと弟子はそっちで待ってるのじゃ。」


「分かりました…」


決して試着している様子が見れないことに対して残念がっているのではない。

予感が外れて今回も使えないものしか見つからなかったことに対してだ。


女性の買い物というのは非常に長いものだ。

俺とサリーちゃんはこの遺跡についての分析や魔物名しりとりなどをして時間を潰した。

どの世界でも暇な時間にやることは同じらしい。


待つこと2時間弱


「お待たせしたのじゃ。」


「…あれ?着替えなかったんですか?」


「ここは遺跡の中じゃよ?耐久度の低い装備に変更するわけがないじゃろう。」


「…おっしゃる通りです。」


警戒しなければならない場所にいるのに綺麗な衣服に身を包んだ5人を見たいと思っていた自分が恥ずかしい。

全て“アイテムボックス“に収納してきたようなので、煩悩を鎮めて移動を再開した。


罠を回避しつつ進むこと数十分


「…ここが右通路の終点だな。」


緻密に彫られた天使像が左右に置かれた両開きの扉で、面には多数の装飾品が付けられていた。

いかにもボス部屋みたいなので偵察したいところだが、隠し部屋と同様に“構造探知“が届かない。


「…準備はいいか?」


「はい!」


ギィィという音とともに扉を開けていく。

ボス部屋もシャンデリアで照らされているようで、隙間から徐々に中の様子が見えてくる。


「中央にあるあれは…敵じゃないな。なんだ?」


「おそらく絵画を描く道具ですね。それも200年程前の旧式です。」


困惑しつつも先行して部屋に入り、“魔物探知“と“罠探知“を行使したが反応はなかった。

近くで見るとアイリスの言っていた通り、キャンパスや画材などが散らばっていた。

画材がカビていることから察するに、つい先程まで誰かが居たなどということはないだろう。


「詳しかったようだが、アイリスは絵画が好きなのか?」


「実はたまに趣味で絵を描いているんです。」


「すごいわねぇ~!!」


「えっ!?オレも知らなかったぞ!!」


「あたしも~」


「ボ、ボクも…」


「こっそり描いてたので…」


「む?隠す必要はないじゃろう?」


「あ、あまり上手くないので…」


「ふむ…妾もたまに描いておるし今度一緒にどうじゃ?」


「いいですね!!是非!!」


師範が長生きしているだけあって多趣味なのは知っていたが、絵画にも手を出していたとは。

俺もこれから何百年も生きる身として、暇潰しの道具を見つけておかなければ。


「それはさておき…ここは作業場か?」


「そのようじゃな。…ここは画家が隠居していた場所と考えて良いじゃろうな。」


「じゃ、じゃあ魔道具製作者とかいるのです?」


「ふむ…居たらいいがその可能性は低いじゃろうな。」


「そんな…」


どうやらこの遺跡はハズレに分類されるようだ。

俺は強力な魔道具や装備が得られる希望をほとんど失い、膝から崩れ落ちた。

誤字脱字等あればご指摘ください。

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「異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~」の方もよろしければぜひご愛読ください!!

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