第103章 迷いの森サバイバル(東部) 殲滅
プランクエイプを倒して移動を再開してから、数十分が経った。
「…おっ、師範!!向こうにいい感じの洞窟がありますよ!!」
「うむ…妾は気が進まんから1人で行ってくるのじゃ。」
「…?分かりました。」
何だか嫌な予感がする。
早速洞窟へ向けて進んでいくと、”魔物探知”の反応が後を絶たなくなった。
『ん!?反応が…全部あの洞窟の中から…?』
50…いや、100体は超えているだろう。
赤外線カメラのように見える”探知”だが、魔物が密集しすぎていて巨大な塊にしか見えない。
『洞窟内で大量の生命体…ひょっとして蝙蝠とかか?』
試しにその場で”鑑定”してみると、どうやら予想が当たったようだ。
クラディーバットという蝙蝠型の魔物だった。
『前世では一部地域で食用にされてたらしいけど…大抵は不潔で有名だからな。』
この洞窟を奪取して拠点にできたとしても、その後感染症に罹ったりしたら元も子もない。
俺は“状態異常無効“があるが師範は…
『…諦めるか。』
洞窟に背を向けて市販の元へ帰ろうとした時、ふといいアイデアが脳裏をよぎった。
『確か蝙蝠は夜行性だったよな?この個体数だし…レベリングに良いんじゃないか?』
入り口をツタのフェンスで塞いで窒息死させるのが楽だが…
クラディーバットは超音波を発して周囲の地形や索敵をする能力を持っているので、近づいただけで気付いて目を覚ますはずだ。
となれば、遠距離攻撃で仕留めるのが妥当だろう。
『俺が使える遠距離攻撃は…弓もあるけど、通用するのはやっぱり“ノヴァディザスター“だけだよな。』
斬撃の数に限りがあるが、スキルチェインで何度も行使すれば大丈夫だろう。
俺は洞窟から少し離れ、“闘気操術“を行使して構えた。
「すぅぅぅぅ…はっ!!!」
深く息を吸い、“ノヴァディザスター“を行使した。
放たれた斬撃は一直線にクラディーバットの集合へと飛んでゆく。
少し経つと、ドッ!という音とともに“魔物探知“の反応数が激減した。
さすが広範囲殲滅ソードスキルと言われているだけのことはある。
だが、斬撃が洞窟の天井に当たった音で目を覚ましたようだ。
洞窟内からパタパタと羽ばたく音が聞こえる。
『まだまだぁぁぁ!!』
入り口を斬撃で塞ぐべく、一心不乱にスキルチェインで”ノヴァディザスター”を行使し続けた。
クラディーバット達は超音波で回避を試みているが、斬撃の嵐に巻き込まれて次々倒れていく。
『ちっ…!!』
“ノヴァディザスター“4発目までは何とか洞窟内に封じ込めていたが、20匹近くが外に飛び出して来た。
住処を襲った俺へと一直線に飛んでくる。
『そっちから襲いかかってくるならちょうどいい!!』
引き続き入り口に斬撃を放ちつつ、こちらへ向かう個体へも放つ。
しかし、流石に両方を同時に対応することはできなかった。
『くっ…!!』
2体のクラディーバットが斬撃の嵐を搔い潜り、俺の両肩に噛みついてきた。
すると、噛みつかれた箇所が緑色に変色するとともにピコンッとシステム音が鳴ってシステム表示が現れた。
「”猛毒”、”麻痺”を”状態異常無効”で無効化しました。」
『今までこんな機能付いてたっけ…?あぁ、そういえばTP以外の状態異常になったのは初めてか。』
そんなことを考えつつ、両肩のクラディーバットを仕留めて再び斬撃を放った。
数十分後
『これで…ラスト!!』
両肩の他に右太腿や左膝を嚙まれたが、どれも軽傷で済んだ。
結果147体のクラディーバットを殲滅し、Lvが100→103に上昇した。
『回復薬Gで傷も塞がったし…洞窟内を探索してみるか。』
洞窟に足を踏み入れると、地面がねばねばどろどろしていた。
『何だこれ…?ってか臭い!!!!!』
”鑑定”によると、地面はクラディーバットの分泌物が溜まっていた。
早速最悪な気分になりつつ、奥へと足を踏み入れた。
”ノヴァディザスター”が当たった天井は少し削れているが…
元々厚みがあったので、無事に済んでいた。
『あの量が寝てただけあってなかなか広いな…ん?』
洞窟の最奥に辿り着くと、地中へと続く広い穴があった。
どうやら相当奥へと続いているようで、試しに石を落としてみたら音が反響してきた。
『モグラみたいな魔物の仕業か…?とりあえず師範に報告するか。』
「師範、ただいま帰りました!!」
「うむ…っ!!これ以上妾に近づくな!!」
「えっ…?」
いつもののじゃ口調も崩れるほど拒絶された。
あまりにも突然のことで思考が定まらず、ただ悲しい思いに包まれた。
「すっ、すまないのじゃ!!お主から忌々しいバット系魔物の匂いがしたからつい…」
「えっ…あっ、そうでしたか。身体拭いてきますね!!」
『吸血鬼の羽は蝙蝠の羽に似てないか…?なんで忌々しいんだ…?』
などと考えつつ、拒絶されて悲しい思いを隠すようにアルリーブスで身体を拭いてから戻った。
「さっきはすまなかったのじゃ…」
「大丈夫です。それより師範、洞窟の最奥に道が続いていました!!」
「本当なのじゃ!?」
師範が目を光らせて、こちらを見てきた。
何か重要なことなのだろうか…?
「はい。何かあるんですか…?」
「実はこの辺りに、古代文明期の都市と失われた技術が眠っているという伝説があるのじゃ!!」
「おぉ…!!」
「早速探検に行くのじゃ!!」
「はい!!」
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