ステータス
すみません、期間が開いてしまいました。
光が治まり視界が戻ってくる。
辺りを見渡すとクラスメイトとおぼしき人影が無数に立ち尽くしている。
暗くて確証が持てない。
そこで目を少しつむる。闇に慣れさせるために。
目を開くと幾分かマシになった。
クラスメイトたちは白い服をきていた。
自身を見下ろすと他の者と同じように自分も白い謎の服を着ている。
どうやら服というよりか、布のマントやローブに近いらしい。
流石にもとの世界の服ごとの転生は無理だったのだろう。これはその代わりといった所か。
次に現在の場所を確認する。
クラスメイトたちのざわめきが聞こえるが先ずは状況確認が先だ。
どうやら石造りの部屋のようで一定間隔で壁に照明が掛けられている。が、あまり役に立っていない。
それと、地面にはよく漫画やアニメなんかで見られる〝魔法陣〟の様なものが書かれていた。
おそらく、この魔法陣を使った儀式か何かで俺たちは呼び出されたのだろう。
そして、その魔法陣を使用して俺たちを呼び寄せたと見られる連中が俺たちの周囲を円形に取り囲んでいた。
連中は一様に白いローブを着込んでいた。手には先端が蕀の様な装飾の施された大杖を持っている。
どこかの宗教めいた格好だ。
周りを観察していると、白ローブの中から一際立派な杖を持ち、ローブに派手な装飾を付けた男が前に進み出た。
「お待ちしておりました勇者様方」
その言葉に、クラスメイトの一人が声を上げる。
「勇者?」
「ええ、そうです。ああ、とりあえずこの様な薄暗い場所からは立ち去りましょう。説明はそれからでもできますので」
そういいながら踵を返す男。
俺たちは戸惑いながらも男に付いていく。
こうして奇妙な第二の人生が幕を開けた。
*
その後部屋を出た俺たちは、大きな広い部屋に通された。
どうやら先程の部屋は地下室だったようで、登り階段を上がって地上に出ると城の内部の様な構造になっていた。
実際、こうして大広間で〝国王〟と名乗る人物から、召喚の説明を聞かされたので、ここは王城なのだろう。
国王の話を要約すると
〝この世界は危機に瀕してるんだけど、その危機から世界を救うために召喚の陣を所有する自分たちの国が君たちを召喚したんだよねー。とりあえず要望は叶えるから助けて〟
こんな感じ。
随分身勝手な話だが、どうやらクラスメイト達は乗り気らしい。
皆口々に『お任せください』『仰せのままに』等と言っていた。
といっても最初は否定ぎみだったのだが、話の途中で見せられたアレのせいで気持ちが変わってしまったようだ。
アレとは、金塊のことだ。
国王は世界を救ってもらう報酬の受注料として、一人ひとりに金塊を配ると言い出した。証拠としてケースに入れられた大量の金塊を俺たちの前にぶちまけていた。
普段日本で何気なく生活していては、先ずお目にかかれないその光景に誰もが息を飲んだ。
そう言うわけで、この集団の方針が決定した。中には少数派ながらも乗り気でない連中もいたが、金に目が眩んだ人々にとっては障害に成り得なかったらしい。
と言うわけで、現在俺たちは〝解析の魔道具〟とやらで個々の能力を分析している。
俺たちが依頼を認証すると、国王は手下に指示を出し、水晶型の何かを大広間に運び込ませた。これが解析の魔道具だ。
解析の魔道具とやらは手を上に置いた者の能力値を表示する代物で俺たち勇者の力がどれ程の物か計ろうということらしい。
クラスメイトたちは初めての〝魔道具〟とやらに興味津々で、水晶の前に列になって並んでいる。
「おお! なんと! ヒロト殿は優秀な方のようだ! 生命力と魔力、そして体力がSクラスではないですか! 他の能力も全てAですし、戦闘スキルも二つ! これは将来が楽しみですな!」
クラスで人気者の旭川廣斗がなにやら国の兵士から絶賛されている。
俺は廣斗の水晶に表示されたステータスをこっそりと盗み見た。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
名前:ヒロト・アサヒガワ
種族:人間
年齢:17
level:1
能力:生命力<S> 魔力<S> 攻撃力<A> 防御力<A> 素早さ<A> 体力<S>
スキル:【決死lv,1】【龍剛爆裂波Lv,1】【言語理解】【鑑定】
称号:《来界の勇者》
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
確かに、他の人と比べれば凄いのかもしれない。実際、先程水晶によって鑑定をしてもらっていた人の能力はSが一つで、他はAかBだったし、ランダムで贈られると言っていたスキルも一つだった。
ちなみに能力はSが最大でその下はABCとなっていき、最低ランクでFだそうだ。
こっちの世界での平均はDくらいでCがあればそこそこ優秀、才能のある人はB。Aクラスになると英雄になるんじゃないかと褒め称えられるらしい。過去に、来界の勇者以外でSクラスを出した者は一人もいないのだとか。
というか、スキルを見ていて思い出したのだが【鑑定】を使えば水晶は必要ないんじゃないか?
俺は試しに廣斗を鑑定してみた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
種族:人間
level:1
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ふむ、一部しか表示されないようだ。
なら、無機質にならどうなのだろう。床に鑑定を掛ける。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
名前:大理石の床
種類:構造材
品質:一般
説明:大理石を主体として作られた床
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こちらは少し詳しく表示されるようだ。
なら、植物になら? 他にも使い道はあるのか? 一つ疑問が湧くと次々に気になることが出てくる。
そうこうしていると、隣の列でも歓声が上がった。
「凄いですぞ! ここまで圧倒的なステータスは見たことがない! ミサキ様は才能の塊であられる!」
どうやら岬のステータスが凄いらしい。
俺は廣斗の時と同じように覗く。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
名前:ミサキ・トーゲ
種族:人間
年齢:17
level:1
能力:生命力<S> 魔力<D> 攻撃力<S> 防御力<S> 素早さ<S> 体力<S>
スキル:【時の心臓lv,1】【万能者lv,1】【言語理解】【鑑定】
称号:《来界の勇者》
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
これは……凄いな。魔力はこっちの世界の平均と変わらないがその他全てが最大級の能力だ。
このステータス。潜在能力だけで言えばこの中で一番なんじゃないだろうか?
それに、スキルもなにやらヤバそうだ。
これなら、安心とまではいかなくても、少しは気が楽だろう。
そうこうしていると。解析の順番が俺まで回ってきた。
俺は一歩前に出て水晶に手をかざす。
そして、
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
名前:トール・シキミ
種族:人間
年齢:17
level:1
能力:生命力<F> 魔力<D> 攻撃力<F> 防御力<F> 素早さ<F> 体力<F>
スキル:【超回復lv,1】【代償強化lv,2】【言語理解】【鑑定】
称号:≪来界の勇者≫
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺は目を疑った。
お読みくださりありがとうごさいました!
ブクマが増えてて嬉しさのあまり腰を痛めてしまいました。
というか、最近本当に腰が痛いんですよね。どうにかならないものか(他人事)。
最近。コロナウイルスがまた増えてきているので、皆さんも体調をお気を付けください。
本当にありがとうごさいました。