表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/29

死の刻

どーも〝片割れB〟です。


ブックマークが付いていることに驚きを隠せず、食べ物が喉を通らない今日この頃。


ブックマークを付けてくださった方。本当にありがとうございます。


私のようなクズの本を手にとっていただいただけでも感動なのに、、、


モチベが上がりました( ≧∀≦)ノ


これから、皆さん(まだ一人)の期待に沿えるよう、努力していきたいと思いますのでどうか気長にお待ち下さい(*^-゜)vThanks!

 俺は式見 (しきみ)(とおる)。ただの高校二年生だ。


 今俺は高校の修学旅行の帰りで、バスに揺られている。


 バスの至る所からクラスメイトの話し声が聞こえ、大変賑やかだ。


 そんな中、俺は一人窓の外を眺めていると、不意に声を掛けられる。


「透くん、何してるの?」


 俺は肩越しに後ろを見ながら、言葉を返す。


「別に、暇だから外の景色を眺めてただけだが?」


「向こうの男子陣には混ざらなくていいの?」


「それを言うなら、お前だってここで話してていいのかよ。岬?」


 こいつは俺の幼馴染みであり古くからの友人である。

 いつも何かと構ってくれるのだがどんくさいヤツなので見ていてヒヤヒヤする。


 コイツ、昔からよく絡まれるからな。なんて考えていると、ちょうどクラスでカーストの高い女子から声を掛けられる岬。


「ねえ岬。あんた付き合い悪くない? そんな冴えないヤツほっといてこっちでもっと楽しいことしようよ」


 コイツは住良木(すめらぎ) 貴音(たかね)。なんでも住良木興業社長の娘で、親にあまりよろしくない育てられ方をされたせいもあってか傲慢な性格をしている。


 そんな彼女は、岬が自分の管理下を離れて俺の所に来ていることが気に食わない様子で、腕を組み仁王立ちで不満のオーラを醸し出していた。


 大して岬も僅かに眉を寄せている。


 そんな二人を見て俺はタメ息をついた。


 そのまま、岬の背中を押す。


「いいから行ってこい」


 耳元で囁くと、少し驚いた後渋々といった感じで席を立ち、それを見て元の席に歩き出した住良木の後を着いていった。


 ……別に、住良木も悪いヤツって訳じゃないだよな。それに、岬には良くしてるらしく、あんまり黒い噂も聞いたことがない。まあ、他の介入があれば今の様に些細な揉め事が起きるようだが…。


 それにさっきも不満を向けている対象は岬ではなく俺だった。あいつは嫌いなヤツとそうでないヤツの区別がハッキリしているし、住良木は岬のことを好いていると聞く。なら周りの干渉がなければそれなりに上手くやってるんじゃないだろうか?


 なんて、あまり興味も無いないことを考えていると、突然大きな揺れが身体を襲った。


 瞬間、バスが急停止。


 辺りのクラスメイトたちから悲鳴があがる。


 な、なんだ!?


 俺も内心かなり焦っていた。


 暫くすると揺れが治まる。


 頭を下げるかしゃがみこむかと行動をとっていたクラスメイトたちが次々に顔を上げていく。


「地震?」


 誰かがそう呟いた。


 その瞬間。俺は嫌な気配を感じとる。


 待てよ、もし地震なら()()は不味いんじゃないか?


 そう、今バスのいる場所は山道だ。そして、ここら一帯は地盤が緩いことで有名。


 さっきの揺れは総合して考えるとそこまで大きいというほどではなかったが、最悪の場合……


「おい、これ何の音だ?」


 クラスの一人が気付く。


 続けて俺も感知した。


 ゴゴゴゴゴッという重低音。それが少しずつ、大きくなっている。いや()()()()()()()と表現した方が正しいのか。


 俺は慌てて窓に張り付き、山頂側の斜面を見上げる。


 背筋が凍った。


 ヤバイ


「身を固めろ!!!!!!」


 思わず叫ぶ。


 あまりにも大きな土砂崩れ。それが迫ってきている。


 俺の叫び声に他の生徒も窓の外を眺め、顔を真っ青にしていく。


 これはダメだ。助からないっ!


 音が大きくなるにつれて、死への確定が決まっていく。恐怖が増していく。


 そんな中、一人の生徒が窓から飛び出し駆けていった。


「あ、ははは、ははははははははははは!!!!!! 嫌だァァァァァァあぁあああああ!! 死にだくなぃぃぃい゛い゛い゛い゛!!!!!」


 狂ったかのように、手足をバタつかせながら走る。


 バカ野郎! 外に出るのは悪手だ!


 あまりにも範囲が広すぎる。走って逃げても間に合わない。


 だが、走っていったヤツには気の毒だが構っている暇は無いのだ。


 呆然としている生徒に向かって教師が叫ぶ。


「いいから一ヶ所に集まって下さい!」


 皆、ワタワタとしながらにバスの一番後ろへと集まる。


 最後に教師とバス運転手、そしてバスガイドが加わり、今出来る備えが完全に終わった。


 嗚咽や啜り泣く声が辺りから聞こえてくる。

 その度に、教師が〝大丈夫!〟〝きっと助かります!〟などと発している。


 音はもうすぐ近くだ。


 覚悟を決めねば。


 すぐ横にいた岬が、手を握ってくる。


 その手が、震えている。


 そして、俺たちの乗ったバスは土砂に呑まれ、バス内の生命はひとつ残らず終わりを向かえた。

お読みいただき誠にありがとうごさいました。

次の更新は今日中になりそうです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ