そしてここから始まる
ども、バカな〝片割れB〟です。
これを書いてる途中で、画面に小指を擦って書いてた内容全てぶっ飛んでキレました。いやぁ、ホント頭がおかしくなりそうな食らい発狂しましたね。こんな駄作の内容が消えただけだと言うのに……:'(
さて、本編始まります((((
「お前はもう用済みだ」
俺はついさっきまで共に死闘を繰り広げていた仲間からそう告げられた。
「は?」
ここは〝バイザル地下大迷宮〟地下三十七階層。
バイザル地下大迷宮とはこの国随一の大きさを、及び深さを誇る魔宮である。
俺たち〝勇者パーティー〟が攻略を目指す、数ある古代の遺産『迷宮』の内の一つだ。
俺は自分を用済み扱いした仲間、もといリーダー、もとい最高位勇者である〝旭川 廣斗〟を睨み向ける。
俺たちのチームリーダーである廣斗は『来界の勇者』だ。
『来界の勇者』とは別の世界から来た異界の住人に付けられる総称だ。
その者たちは本来常人よりも優れた身体能力にスキルを持っているとされ、年単位の時間をかけ古代の遺産を使用した召喚の儀によって、こちらの世界に呼び出される。
その目的は様々な〝世界の危機〟に対処するためとされており、廣斗たちの役目は『災魔皇』と呼ばれる、全ての邪悪を体現したかのような魔物の統率者を討伐することである。
いや、今の言い方だと語弊がある。
廣斗だけが勇者なのではない。俺も来界の勇者だし、もっと言えばこのチームメンバー全員が来界の勇者である。
当たり前だ。
俺たちは不幸な事故によって転生させられた同じ学校の、クラスメイトなんだから。
話は戻るが用済み扱いされる心当たりはあった。が、易々と納得出来るものじゃない。
「……何故だ?」
だから問う。
と、俺の発言を聞いたヒロトが拳を握りしめた。
瞬間。顔に衝撃が走る。
「ぐっ!」
俺は吹き飛ばされる。
ゴロゴロと地面を転がるも止まる気配がない。
そこから数メートルすっとんだ所で壁に当たりやっと止まった。
頭が痛い。
何をされたのか分からなかったが、ヒロトの体制からして、どうやら殴られたようだ。
ヒロトは構えを解くと、こちらに歩いてくる。
すぐ近くまで来るとしゃがみこみ、そのまま俺の髪の毛を掴んで無理矢理目線を合わせてきた。
「何故だって? それはお前が弱いからだよ」
その言葉に、俺は反論出来ない。
ヒロトの言うことに嘘偽りが無いからだ。
だが、戦闘に関しては役立たずでも、俺には胸を張って役立ったと言えることがある。
「たし、かに、俺は弱い。だが、俺の【超回復】は、少なくとも、お前たちの、役に立っていたはず、だろ……?」
殴られたせいで生命力が減ってか、言葉がとぎれとぎれだった。
口の中も切ったのだろう。声を発する度に血の味が舌を刺激する。
スキル【超回復】発動。
すると、僅か数秒で俺の傷が完治した。
【超回復】。それは文字通り、指定した対象を超回復させるスキルであり俺の唯一の能力であった。
こんな時だから言えるが、このパーティーの中で一番貢献率の高い人物は俺だと思う。
ここまでの道のりで出てきた魔物たちは尋常じゃないほど強く、チームメンバーが瀕死に陥った数も少なくない。
その度に俺は【超回復】を使い、チームメンバーを死から引きずり上げてきた。
スキルの使いすぎで魔力が底をついたのだって数えきれないほどある。
「黙れぇぇぇえええええええええ!!!!!」
俺の言葉を聞いたヒロトが絶叫する。
耳元で叫ばれたせいでキーンと耳鳴りが聞こえてきた。
そんな俺をよそに、廣斗はまくし立ててくる。
「そんなの知ったこっちゃねぇんだよ。それに、お前の替えはもう見つかったんだ。なのにお前はどうだ? いままで山程レベリングしたってのに、大してレベルも上がらず! 攻撃力は皆無に等しい!……そんな奴をこのパーティーに置いておけるかよ」
替え、か。
もしかしなくても、もう一階層前に見つけた『輪廻の魔剣』だろうな、と他人事のように思う。
俺は輪廻の魔剣の鑑定結果を思い出す。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
名前:輪廻の魔剣
種類:剣
品質:神聖
性能:攻撃<S> 耐久<S>
スキル:【自動回復lv,-】【広域化lv,-】【効力倍増】【魔力増強lv,-】
説明:大昔、大国の王が戦争に勝ちたいがために、国中の錬成師を集め、半年懸けて作らせた剣。人々の苦労を見た神が剣に祝福を与えた。結局その王は自身の作らせた剣によって倒された。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ほんと、反則的な剣だ。
本来【自動回復】は使用者にしか効果を及ぼさないのだが【広域化】の効果で、使用者が仲間と認めた者たちにも自動回復が行われるようになる。
その回復効果自体は俺の【超回復】よりも下位なのだが、そこに【効力倍増】が加われば話は変わってくる。
よって、俺は武器に性能が負けたということで〝用済み〟なんだろう。
なんたって武器なんだから攻撃も出来る。その時点で俺に勝ち目など到底無いのだ。
「つーわけで、お前とはここでサヨナラだ」
俺はその言葉に思わず間抜けな声を漏らす。
「……は?」
「いや、『……は?』じゃねぇーよ」
待て、今こいつ、ここでサヨナラって言ったか?
……冗談じゃない。俺には攻撃の手段がないんだぞ?
こんな所でホッポリだされればほぼ確定で〝死〟だ。
さすがに、これは不味いと思った俺は声を荒げる。
「ふざけるな! そんなことをすればお前は人殺しなんだぞ! 俺が一人で生きて帰れる訳がないだろうが!」
俺は慌てて周囲のチームメンバーにも声を掛ける。
「なぁ!? 君らもそう思うだろ!?」
が。帰ってくるのは、冷めた目線ばかりだった。
「あんた、役立たずの癖に見苦しいわよ?」
サブリーダーの女子が俺に〝諦めろ〟と声を掛けてくる。
くそ! なんでだよ!? 俺に助けられておきながら!
そんな中。一人だけ、俺の味方をしてくれる子が前に出た。
「あ、あのっ。流石に、上までは、一緒のほうが…」
彼女は峠 岬。いつも、俺を気にかけてくれる数少ないのクラスメイトだ。
が、今回ばかりはそれが裏目に出た。
廣斗の拳がミサキの腹に突き刺さる。
「カ、ッハ……!」
至近距離からの攻撃に反応できずにモロに攻撃を食らう。
「んー? あれれぇー? 岬ちゃーん。聞き間違えかなぁ? 今、役立たず君の味方しようとしなかった?」
そういいながら殺気を振り撒く廣斗。
うずくまりながら、岬がこちらを見てくる。
悔しいが、現状をどうこうすることは、俺にも岬にも出来ない。
俺は小さく首を振った。
もういい、十分だ。
「いいぜ、もう、好きなようにしてくれ」
別に、生を諦めた訳じゃない。ただ、今の最善策はコイツらの言う通りにすることだ。
絶対に、俺はコイツらを許さない。
何としてでも、上に戻り。コイツらのことを見返してやる。
俺は姿勢だけでも、従順に努めた。
が、廣斗には通じなかったようだ。
俺以外のチームメンバーが、この場から立ち去ろうとした直後、廣斗が突然振り返った。
「いけねぇーな。その目が」
そういいながら俺のすぐ側まで近づいてくる。
「その目は全てを諦めた目じゃない。隙を伺う、窮鼠の目だ」
廣斗の顔が、急に真顔になった。
突如として、俺の髪の毛を掴み立ち上がる。
「やっぱりヤメだ。『窮鼠、猫を噛む』って言うからな。ここで終わらせる」
そういいながらズンズンと道を進んでいく廣斗。
この方向…まさか!?
廣斗の目的を理解したその瞬間、背筋に冷たいモノが走る。
流石に、そんなことをされれば生き残る確率はゼロパーセントだ。
何とか逃げようともがくが、既に目的地が見えてしまっていた。
『虚穴』。
それが廣斗の目的地だった。
虚穴とは、このバイザル地下大迷宮に点々と存在する。巨大な穴のことだ。
おそらく、廣斗はその穴に俺を落とそうとしている。
その中に入った者は、たった一人を除いて帰還した者がいないと言う。
ならば、中はどうなっているか。
唯一の生存者によると〝地獄〟だそうだ。
バケモノ達がひしめき合い、常に命の危険がつきまとう。恐ろしく広く、一緒に落ちた仲間たちは苦しみの中に死んでいった。と、文献には遺されていた。
そんな場所、ただの魔物にさえ対抗手段の無い俺に、生存できるはずもない。
何とか、何とかして逃げないと。っと体を動かしていると突然、体を浮遊感が襲った。
ハッとして当たりを見渡すと、既に穴の中に投げ込まれた後だった。
俺は最後の力を振り絞り、穴の淵に手を掛けようとする。
が、あと一歩の所で届かなかった。
心臓が浮き上がるような、気持ち悪い感覚が止まらない。
あまりの恐怖に、意識が遠退いていく。
そんな中、俺の視界が完全に途絶える前に捉えたモノは、穴の淵にしゃがみこみ手を伸ばす岬と、彼女が呼ぶ俺の名前だった。
「透くん!!!!!!……」
お読みいただきありがとうごさいました。
改善点ありましたら、アドバイスいただけると感極まって死にます。よろしくお願いします。