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Starlog ー星の記憶ー  作者: 八城主水
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Result

 千晶(ちあき)桐江(きりえ)天翁(てんおう)の同志に案内され空間の裂け目に足を踏み入れた、すると今まで自分たちがいた公園とはまったく別の景色が目の前に広がっていた。


「待っていたぞ、千晶。」


 千晶が声の方を向くとそこには父親である開賀(ひらが) (すすむ)が立っており、相手である鬼頭(きとう)の姿は見当たらなかった。案内役の天翁の同志は務めを果たしいつの間にかこの場からいなくなっており、入ってきた空間の裂け目も閉じて消えていた。


「・・・鬼頭(アイツ)は?」


「彼にはいま朝食を摂らせている、すぐに来るさ。」


 千晶と進は一言だけ会話を交すとお互い口を紡いだ。



「おじさん、お久しぶりです。桐江です。」


 沈黙のなか桐江が挨拶の言葉を述べながら会釈をすると、千晶の傍に立っているメイドが誰なのかわかっていなかったようで進は驚愕の表情を浮かべた。


「桐江さんのとこの!?驚いた、なんでこんなところに・・・」


「私はいま、千晶坊ちゃんの使用人として開賀家にお仕えしております。今日(こんにち)も主についてまいりました。」


 幼い頃は関西弁を喋り元気で活発な女の子であった桐江が息子のメイドとなり落ち着いた口調で話している、あまりの変化に唖然としている進の様子を見て千晶は小さく『ふっ』と微笑んだ。



「博士、今日の朝飯ちょっと多くないか?」



 そしてついに進の背後から鬼頭が現れ千晶と対峙する、以前公園で見た時よりも体に筋肉がついており表情にも油断がない。


 これだけでも鬼頭が強くなったことはわかるのだが千晶が警戒しているのは"父親が鬼頭になにをしたか"であった。


 自身が小学生だった頃に母親が患っていた重い病、父親はそれを元から無かったかのようなレベルにまで完治させるものを発明した。それゆえに父親は鬼頭にもなにかしら発明品を使用しているのではないかと千晶は思っていた。


 しかし今、鬼頭の様子を見るに特に異常はなく、ただ"ガタイが良くなった"という印象を受けた。


「・・・安心しな、今はまだなにもしてねぇ。」


 身構える千晶に鬼頭が笑みを浮かべながら声をかける、そしてはじめて公園で対峙した時と同じように黒い影を身体に纏いファイティングポーズをとる。


 千晶は岩の杖を生成し右手で握ると離れた場所に岩の壁を建てた、千晶の意図を察した桐江はお辞儀をすると小走りで壁の裏へ隠れた。


 睨み合う千晶と鬼頭、最初に動いたのは鬼頭だった。小さく息を『シュッ』と吐くと次の瞬間には千晶の眼前に迫っており鬼頭は構えていた拳を千晶に向けて突き出した、後ろに飛び退いて回避し千晶は冷静に攻撃後の鬼頭の姿勢を分析する。


(速い、それに以前のような雑さがなくなってる。)


 千晶が杖の先で地面を叩くと無数の岩の(つぶて)が鬼頭に襲いかかる、高速で飛来してくるそれらを鬼頭は最小限の動きで避けきり千晶との距離を詰める。


 そして再び息を小さく吐くと地面を強く蹴り千晶の背後に移動し左手の正拳突きを繰り出した、千晶はすぐさま後ろを振り向き岩の壁で鬼頭の拳を防ぐ。


「なるほど、前よりは断然マシにはなったな。」


「そうは言っても、お前は全然本気じゃねぇだろうよ。」


 千晶からの賛辞に鬼頭はたいして喜ぶ様子もなく、右手の拳に影を集中させると拳を構える。


「俺もだけどなぁ!」


 鬼頭の叫びと共に突き出された拳は千晶の生成した岩の壁を破壊しその衝撃で千晶は後方へ吹っ飛んだ。



「素晴らしい、やはり彼の格闘術は千晶にも通用する。」


 その光景を目にした進はニヤリと口角をあげた、鬼頭も千晶の岩の壁を破った瞬間の拳に伝わった感触を思い出し高揚感に浸っていた。


 しかし起き上がった千晶を見てお互いがまだ本気ではないと言ったのは自分だと、鬼頭は自分の中の慢心を捨てた。


「博士、そろそろ()()、使うぜ。」


 鬼頭の言葉を聞き進は笑みを浮かべたまま強く頷いた。


「あぁ!見せてやるといい、君の1ヶ月の成果をな!」


 そう言って進は蓋のついた試験管を鬼頭に向けて投げた、鬼頭はそれを受け取ると軽く振って試験管の蓋を抜いた。


 中にはどす黒い液体が入っており鬼頭はそれを一気に飲み干した。すると鬼頭の身体がビクンと大きく跳ね、身体から血管が浮き出て呼吸が荒くなる。


 次第に呼吸も落ち着くと浮き出た血管も治まり、それにつれて身体から黒い影が闘気(オーラ)のように放出される。


「いいぞ、想像以上だ。今の君なら、千晶(天才)を超えられる!」


 変化した鬼頭の様子を見た進は歓喜に打ち震える、もはや息子と敵対していることになんの負い目も感じてなどいなかった。

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