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Starlog ー星の記憶ー  作者: 八城主水
49/155

Conflict

 決めポーズを解くと男は千歳に歩み寄り肩を貸す。突如現れ自分を救ってくれた男は千歳の目にはまさしく"ヒーロー"として映っていた。


「"映画館で"って言ってましたけど、アナタは本当にあのダンテ=エヴァンスさんですか?」


of course(もちろん)!この世界にキャプテン・ドラゴンは私1人だけさ。」



 フランクな雰囲気で話すダンテだがその表情は一瞬で険しいものへと変わりバッと振り向く、そこには阿修羅を身にまとったナガトが立っている。


「驚いたな、私のDragon(ドラゴン) Punch(パンチ)を受けてまだ立つか。」


「俺が阿修羅を体得してなければ、アンタの勝ちだった。」


 ダンテの技の威力は凄まじかった。離れて見ていた千歳や千尋たちにもダンテの青い炎の熱が伝わるほどに、それをナガトは阿修羅で防御したのだ。


「ん、青年?そんなフラフラな身体で何をしようと言うのだ!?」


 木刀を杖がわりにして歩き出す千歳をダンテが慌てて制止する。


「アイツは、ナガトは自分のいた世界でイザナミを・・・若葉ちゃんを殺した。許せない・・・絶対に!」


 そう言いながら千歳は霊写しの眼を開き黒い影を纏う、その眼差しと影の禍々しさにダンテは思わず千歳の肩を掴んでいた手を離す。


「イザナミを殺さなければ、星の生命(いのち)は根絶やしにされていた。俺の選択は間違っていない!」


「俺は認めない、俺は絶対にイザナミを殺さない。御前を倒して、若葉ちゃんも助けてみせる!」



 千歳の言葉をナガトはただ鼻で笑った。



「俺にも勝てない御前がか?」


「次は勝つ・・・!」


 そして千歳が木刀に、ナガトが刀に影を纏わせ振り上げる。そこへ───


Wait(待つんだ).」


 と、ダンテが二人の間に割って入り、二人は振り下ろそうとしていた自分の腕をピタッと止める。


「星霊の青年、どうか千歳に時間をくれないか。私が彼に修行をつけ、君にも勝てるくらい強くしてみせる。」


「アンタでも笑えない冗談は言うんだな・・・」


 ダンテが放った言葉にナガトは乾いた笑いを浮かべながら刀を鞘に収める。


「冗談なんかではないさ。君と同様、いや彼には君以上の龍脈(りゅうみゃく)の才能がある。」


 ダンテのこの一言でナガトの顔から余裕を表す笑みが消え、千歳はなんの事だかわからずただ困惑していた。




「面白いじゃないか。」




 無邪気な笑みを浮かべながらイザナミが三人の前に立っており、なにかを思いついたようにポンと手を叩く。


「長門千歳、お前たちに猶予(ゆうよ)を与える。そしてこちらの星霊とお前たち、各々(おのおの)1対1で殺し合いをしてもらおうじゃないか。」


 イザナミが楽しげな表情でこう言い放つと、ナガトは顎に手を当てて少し考えながら千歳の方を見てニヤリと笑った。


「いいだろう。御前の相手は俺だ、千歳。」


「・・・望むところだ。」


 次の瞬間、銃声がひとつ鳴り響きナガトの背後から千歳に顔面に向かって銃弾が飛来する。千悟はすぐさまリボルバー銃を取り出すと銃弾を放ち、千歳に向かって放たれた銃弾を弾き飛ばす。


「やるのぉ若いの、おまんの相手はわしぜよ。」


 千歳に向かって発砲したのは着物の若者、リボルバー式の拳銃を片手で構えニヤリと笑みを浮かべていた。そこへ千尋が建御雷(たけみかづち)を纏って瞬時に移動し、着物の若者に向かって拳を突き出すと鎧の男が紅蓮の炎を身に纏いそれを防ぐ。


「建御雷か、懐かしいな。」


「なに・・・?」


 拳撃(けんげき)を防がれ一歩退いた千尋は鎧の男の様子を窺う。鎧の男が纏う紅蓮の炎は鬼、仏ともとれる姿に変化する。そして鎧の男が拳を振り上げると、そこに天翁(てんおう)が立ち塞がる。


『お待ちを、アナタの力はここで(ふる)うには強大すぎます。どうか思いとどまりください。』


「・・・ふん、よかろう。有間の小僧、俺の相手は御前だ。」


 天翁の制止に鎧の男は拳を収め身に纏っている紅い炎も鎮まった。


「あとは・・・1人か、どうしたものか。」


 星霊降臨(せいれいこうりん)によって呼び出された星霊は3人、イザナミが千晶の方を見て腕を組み考えていた。


 その時、一人の男がイザナミの前に跪く。


伊邪奈美命(イザナミノミコト)、どうか俺に開賀千晶の相手を・・・雪辱を果たさせてください!」


 その男は千歳と紗奈がこの公園に来ていた時に朧と共に現れ、後に千晶によって倒された男であった。

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