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Starlog ー星の記憶ー  作者: 八城主水
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Immutable

 西から新幹線で東の都心の駅に降りた千晶(ちあき)とそのメイドである桐江(きりえ)は電車に乗り換え、千歳たちの神酒円(みきまる)町の最寄り駅へとたどり着いた。


 改札口を出た千晶の目に映ったのは変わり果てた駅前の景色、それは十年という年月を感じさせるには十分すぎるほどの衝撃であった。


「十年か・・・そりゃ変わるよなぁ。」


 千晶はため息まじりにそうつぶやく、その眼差しはどこか寂しげだった。



「長い年月を経ても変わらないものもございます。」


 と、その様子を見た桐江が一礼して千晶に声をかける。その励ましに千晶は微笑みながら桐江に礼を言い、バス停へと向かって歩きだす。


 長門家と椎名家の近くのバス停にバスが一台停車し、そのバスから千晶と桐江が降りる。千晶は十年ぶりの町を見渡し、あまりの懐かしさに涙が出そうになる。


「坊っちゃん、すぐに有間家にご挨拶に行きますか?」


「ん?あぁ、そうだな。あとは千歳と千悟の家にも・・・」


 周りを見ていた千晶の目に映る町の風景にある不自然な歪み、誰かが結界でも張っているのだろうか。


 その結界の場所には何があったか、千晶は思い出すと妙な胸騒ぎがした。


「桐江、予定変更だ。先に行かなければならん所がある。」


「かしこまりました、坊っちゃん。」


 根拠の無い焦燥感に駆られながら千晶はあの噴水のある公園へと歩き出す。


─────

───


「それで公園に着いたら案の定、人避けの結界張られてるしその先では御前がピンチになってるし・・・」


「よく俺だってわかったな。」


 千歳の言葉に千晶は『ふっ』と微笑む。



「この公園で女の子を守りながら戦ってるやつと言えば、御前以外浮かばなくてな。それに十年経ったところで、御前たちの顔は忘れねぇよ。なにせ親友・・・」


 『親友』、この言葉を言いながら千晶は心の中で自分を笑っていた。なにも言わずこの町から消え、十年も連絡を断っていた自分に千歳たちの親友を名乗る資格があるものかと。


「なぁ千歳、俺はまだ御前たちの親友か?」


 などと、思わずこんなことも聞いてしまう。


「へ?当たり前だろ、そんなこと。」


 千歳はキョトンとしながら答える、それを聞いた千晶はただただ安堵していた。



 千歳の体力も回復し、また厄介事が起きる前にと各々帰路に就いていた。千晶は桐江と共に歩きながらスマホを取り出し、メッセージアプリのフレンド枠に新しく追加された千歳の名前を見て微笑む。


「坊っちゃん、歩きながらのスマホは危険でございます。」


「あぁ、すまんすまん。」


 桐江に言い咎められ、千晶はスマホをポケットにしまう。しかしそうは言いながら千晶の嬉しそうな表情を見た桐江も口角を上げて微笑む。



「・・・なぁ桐江。」



 しばらく歩くと、千晶が桐江を呼ぶ。



「はい、坊っちゃん。」


「桐江の言う通りだったな、十年も会ってなかった俺を千歳は親友だと言ってくれた。俺とあいつの友情は変わらないものだったんだ。」


 千晶の言葉に桐江はいつも通り『おっしゃる通りです。』と返事をする。


 桐江は千晶が西にある開賀のご隠居の家に移住した際にできた初めての友人だった、歳は1つ上で家も千晶たちの住む屋敷のすぐ隣で面倒見のよかった桐江と西に越してきたばかりの千晶はすぐに仲良くなり姉弟(してい)のようであった。


 中学にあがり千晶の英才教育が本格的に始まった頃、千晶は自身の抱いた決意を最初にその時一番信頼していた桐江に話した。それを聞いた桐江は自身が高校にあがると開賀のご隠居のコネもあり千晶を傍で支えるためにアルバイトとして彼の近侍となった。


 そんなことがあり、今日の千晶の笑顔は桐江にとっても喜ばしいことだったのだ。


(良かったですね、坊っちゃん。本当に、よく頑張りましたね。)


 桐江は千晶の後ろを歩きながら涙を堪えた。二人はあらためて当初の目的であった有間家の屋敷へと向かう。

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