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Starlog ー星の記憶ー  作者: 八城主水
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有間と長門 IV

「もう始めてもいいんだよな?千悟。」


 お互いに距離を取り睨み合う千歳と千尋の二人、それを見守る千悟と美琴、千尋は深く息を吸い込むと自分の背後に建御雷を顕現させると千悟の方を向き問いかける。千悟は『ふっ』と笑い右手を掲げ空を指差す。


「あぁ、スタートの合図なら今さっき撃ちあげたぜ。」


 上を見ると、先程銃声と共に放たれた銃弾が千歳と千尋が立っている間のちょうど真ん中に向かって青い炎を纏いながら落下してきている。そして銃弾は地面にぶつかり青い火花を散らせ、長門と有間、二人の決闘の始まりの合図となった。


 千歳は自分の全身に影を纏わせると同じく影を纏わせた木刀を構え、地面を蹴ると千尋の目の前に瞬時に移動し木刀を振り下ろす、それを千尋は雷を纏った右腕で防ぎ、背後の建御雷が千歳に向かって拳を繰り出す。


 千歳はすぐさま木刀を両手で持ち建御雷の拳を防ぐが衝撃で後方へ吹っ飛ぶ、そしてすぐに立ち上がり再び千尋と建御雷を見据える。


(建御雷も攻撃を仕掛けてくるとなると、2対1みたいなもんか。近接戦は不利だな・・・)


 かといって、木刀しか持たない千歳に遠距離から攻撃できる手段はない。少し考え、千歳はあの公園で自分が斬撃を飛ばしたことを思い出す。


 が、千歳自身アレのやり方がわからず最初出来たのも単なる偶然なのだ。


(・・・ためしにやってみるか)


 千歳は木刀に多めの影を纏わせるとそれを見た千尋は警戒し身構える、そして千歳が思いきり木刀を振り下ろすと『ブォンッ』という風きり音が鳴るがなにも起こらない、この様子に千尋も『ん?』と訝しげな表情を見せる。



(やっぱそう簡単じゃないか・・・)


 千歳は気を取り直し再び木刀を構え地面を蹴り、千尋の眼前に現れ木刀を振るうが、千尋に木刀を持っている手の手首を掴まれ投げ飛ばされる。


 なんとか受け身を取った千歳に千尋と建御雷の二つの拳が迫る、千歳は霊写しの眼の動体視力でギリギリ躱し一歩下がるとすかさず木刀を両手で持ち千尋に向かって一振りする。


 千尋は両腕を交差させそれを防ぐが千歳が思いきり木刀を振り切ると、建御雷と共に後方へ吹っ飛び着地と同時に受け身を取り構える。


「やっぱ・・・わかんねぇな」


「・・・なにがだ?」


「お前、この計画にあんま乗り気じゃなさそうじゃないか、だったら俺たちで魁を倒せばいいだけなんじゃないのか?」


 千歳の問いかけに千尋は『ふー』と大きく息を吐き、一言だけ答える。



「俺はただ、美琴さんを守りたいだけだ」



 千尋のこの言葉に千歳は違和感を覚える、そういえば今日さっき会った時からそうだ。魁の言う『有間の建て直し』より『美琴のため』というのを強調していた。まさかと思い千歳はすぐ美琴の方を見ると、美琴の周りを小さな黒い影が姿を現したり消したりしながら漂っている。



 美琴は魔力を持たない普通の人間、つまりあの影は誰かに憑かされたのだろう。そしてそれを千尋は交渉に使われた、美琴は魁の計画に千尋を同意させるための人質だったのだ。



「見えたか?」



 美琴の方を見る千歳に千尋が問いかける、千歳はすぐさま千尋の方を向き『あぁ』と答える。


「だったらもう言葉はいらねぇよな?俺はお前らを倒してでも美琴さんを護る。美琴さんのためなら俺は・・・!」


「だったら俺も、全力でお前を止める。そのために来たんだ!」


「止めてみろ、今からが本当の本気だ」


 千尋が両腕を広げ深く息を吸うと建御雷が千尋の身体に戻っていく、すると千尋の身体が青白い光を発しバチバチと稲妻が走る。



 これも神性体質の能力のひとつ、千尋は建御雷を解いたのではなく、建御雷の雷を自身の体に取り込んでいるのだ。



「行くぜ、千歳・・・!」



 目の前で拳を構えていた千尋は光と共に千歳の視界から消え、次の瞬間には千尋の拳が千歳の頬に当たっており千歳は雷鳴と共に吹っ飛んでいた。

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