一章六話 軍師、奴隷商人を成敗せり
「じゃあ皆、各々の持ち場へ移ってくれ。作戦開始だ!」
「「おう!」」
アキトの言葉に、師駒達が答えた。
人間である、シスイ、アカネ、セプティムスは言葉で。ゴーレムであるベンケーは胸を叩いて。
「アキト、わたしはどうすればいい?」
「スーレ。君は中で、フィンデリアの治療を手伝ってあげてくれないか」
「……わたしは戦わなくていいの?」
「君は、俺の雇い主だ。ここは何でも屋さんに任せておくと良い」
「……うん! 分かった。頼んだよ、アキト!」
「おう!」
アキトの言葉を聞いて、スーレは神殿の中へと入っていく。
主君に戦わせるなどあってはいけない。それもそうだがまだスーレが戦闘を見るのは早いと、アキトは考えた。
とはいっても死者は多くて数名に、アキトは留めるつもりだった。
スーレと入れ替わる様に出てきたのは、スライムのリーンだ。
「アキト様、只今戻りました」
「リーンか。君にも策を伝えておこう」
アキトはリーンに自分の策を伝えた。
するとリーンは、アキトにこう答えた。
「素晴らしい策です。ですが私の新たな能力を使えば、一段階、今後の手間を減らせます」
「ほう?」
「こうするのです……」
リーンもまたアキトに策の補足となるような提案を行った。
アキトはそのリーンの提案を承諾し、広場に面した建物の階段を上っていく。
この街で一番高い鐘楼だ。
鐘楼にアキトが上ると、すでにそこにはセプティムスがいた。
「アキト殿、兵の配置、完了いたしました」
「ありがとう。後は俺の指示で合図を送ってほしい」
「かしこまりました。しかし、我々軍団はそのような役目で良いのでしょうか?」
「ああ。君たちは強い。傭兵を殲滅するのも難しい事じゃない。だからこそ、今回は少し欲張らせてもらいたいんだ」
「何かお考えがあるのですね。アキト殿の戦い、私もここで見させてもらいましょう」
セプティムスはそう言って、広場を見下ろす。
ここからなら広場が良く見える。アキトも鐘楼の上から街を見渡すのだった。
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「急げ! 我がリボット家に逆らう輩を、一秒でも野放しにしてはならん!」
肥満男は傭兵を連れて、そう叫んだ。この青い短髪の肥満男こそが、奴隷商人ジョルス・リボットであった。
綺麗に整えた口ひげが特徴的で、着ている黒いコートも帝都の貴族を思わせる上等なものだ。
自らの傭兵、約四百人。この街の兵士の大半を、ジョルスはアキトとベンケー討伐のために率いてきた。
傭兵の一人、目と鼻以外を覆った兜の兵士がジョルスにこう言った。
「ジョルス様、こんなに沢山いりますかねえ?」
「それは分からん。だがバードンよ、多いに越したことはなかろう? 兵だけじゃない、金も酒も」
「へへっ、仰る通りでさあ」
バードンと呼ばれた兵士は、ニヤリとした笑みを浮かべてそう答えた。
「ワシは用心深い男でな。念には念をいれるのだ」
「さすがは、大陸一の狡猾な男だ!」
「ははは、褒め言葉として受け取っておくぞ! 褒めたところで報酬は出せんがな! 報酬が欲しくば、何が何でも、ワシの前にアキトとかいう輩を平伏させるのだ」
「へへへっ。兵たちにはそう伝えときますぜ。なーに、四百人だ。十分もかかりませんよ」
バードンはそう言って、胸を叩いてみせた。
ジョルスは傭兵を引き連れて広場に入ると、その光景に何度も目を瞬かせた。
「……あれだけおった病人やけが人は、どこにいったんだ?」
「さっき天気が少し悪くなったじゃないですか。皆雨が降ると思って、帰ったんじゃ?」
バードンはそう言うが、ジョルスはこう続ける。
「こんな人っ子一人いなくなるわけなかろう。足が折れた者もいるのだぞ」
「じゃあ皆、俺達が来るって逃げたんじゃないですかねえ。そのアキトと戦うのに、巻き添えになるっていうんで…… うん?」
バードンは言葉の途中で、神殿の屋根の上に目が留まる。
屋根の頂点に建てられた神の像の後ろから、左右に二つの人影が出てきたのだ。
「な、なんだあ、ありゃ?!」
バードンがそう言うと、ジョルスを始め傭兵達も屋根の上を見た。
「やあやあ!!」
二つの人影、右側の一人がそう叫んだ。
叫んだのは、シスイだった。左側にはアカネが恥ずかしそうにそれを見ている。
二人とも、背の丈よりも長い大弓を持っていた。
「遠からん者は、音にも聞け! 近くば寄って目にも見よ!!」
「姉様…… 近くは誰もいませんわ」
名乗りを上げるシスイに、アカネはそう言った。
「ん? そうか。ならばもう一度やり直そう」
「もういいですから!」
シスイとアカネがそう話してるのを見て、バードンがジョルスにこう言った。
「アキトとかいうやつの仲間でしょうかねえ?」
「分からん、何にしろ我らの許しもなく武器を持つなど許せん。ひっ捕らえて奴隷にしてしまえ!」
「へい!! おい、野郎ども! あの女どもを捕えろ! あんだけの上玉、傷物にするんじゃねえぞ!」
バードンがそう言うと、皆大挙して神殿の方へ押し寄せる。
すると神殿の入り口から、暖簾をくぐる様に頭を下げて出てくる者が。
「ご、ゴーレムだあ!!」
神殿の入り口に立つのはゴーレムだった。
「ええい、全員で押倒せば、やつとて手は出せまい!!」
ジョルスはそう言うが、傭兵の誰もが無理難題だとゴーレムを見て汗をかく。
「アカネ、敵は我々に目もくれなくなったようだぞ」
「なら少しおちょくってみましょうか。わたくしは、あの顔を覆った兜の将を。姉様は、あの鞠のような殿方と遊んでくださいませ」
「ふむ、承知した」
そう言ってアカネとシスイは、弓に矢を番える。
そして狙いを定めると、一斉にジョルスとバードンへ矢を放った。
「……うん? いっだっ!!」
目の前に至るまで気付かなかった矢を、左手の甲に受けたバードン。悲痛な叫びを上げる。その手からは血が流れ出ている。
必死に手を抑えるバードンに対して、ジョルスは地面にのたうちまわってこう叫んだ。
「ぐああああああっ!!」
ジョルスもバードンと同じく、左手に矢が刺さった。
だが、その反応はバードンと違って非常に情けないものだった。
「ふむ、男のくせになんと情けない」
「姉様は、わたくしの様に手加減できませんからね」
「某、いつでも全身全霊で矢を放つ。加減など出来ぬ!」
シスイはアカネにそう言って、次の矢を番えた。
「ジョルス様?!」
「ああああっ! ああ!! あああっ! ワシの手から血が!! この役立たずども、何をしておるか!!!」
傭兵はその言葉に気付き、盾持ちの者がジョルスの近くに集まる
ジョルスは、地面から上半身を起こすとこう叫んだ。
「殺せ!! あの小娘どもを必ず殺すんだ!!」
「へ、へい! 弓兵! あの二人へ矢を放て!!」
バードンの言葉に、弓兵が五十人程、シスイとアカネに向けて矢を放つ。
だがほとんどの矢が神殿の屋根まで届かない。
アカネはそれを見て、シスイにこう言った。
「姉様、ここからは旦那様の仰る通りに、矢を放ちましょう」
「うむ。 ……しかし、アキト殿の意図が読めぬ」
「恐らく、わたくしたちの腕を見極めているのでしょう。まあ、私たちからすれば、羽つきのようなもので、造作もなきこと」
そう言ったきアカネの足元に、傭兵が放った一本の矢が届く。
「さっそく出番のようですね」
アカネは自分の矢を、足元にまで矢を放った傭兵に向けて放った。
アカネの矢は、その傭兵の額の中央へ当たった。
「いたっ! ……え、血がでてない?」
その傭兵は、思わず自分の額を触った。血は流れていない。そればかりか、墨のような液体がついている。
地面に転がる額に当たった矢。その矢じりは金属ではなく、墨の滴る紙が巻かれていた。
「ま、まさか毒か?!」
「おい、そこの野郎! どうした?!」
「バードン隊長、これって毒じゃ?」
「ああ!? どれ、みせて見ろ!」
バードン隊長は、墨を少し取って嗅いでみる。
「毒じゃねえよ、安心しろ」
「そ、そうですか、しかしなぜこんなものを」
「知るか! やつらろくな武器がねえんだろ。グダグダ言う暇が有ったら、さっさと矢を放ちやがれ!」
「は、はい!」
すぐに傭兵は、矢を神殿の上に向けて放った。
この後も数人、額に墨がつく者がいたが、皆死なないと分かって呑気に矢を放つだけだ。
誰も、ただただ適当に矢を放つのであった。
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適当に戦っているのは、ゴーレムの前の傭兵もそうだった。
皆、ぶんぶんと槍を振っているだけで、誰もゴーレムの懐に飛び込もうとしない。
鐘楼の上でその戦況を眺めるアキトとセプティムス。
セプティムスは神殿の入り口で、腕を振るうベンケーを見て、こう呟いた。
「ベンケー殿は全く敵を寄せ付けませんね」
「うん、ベンケーの守備を突破する者は、恐らく傭兵にはいない。数で押せば、制圧は出来るだろうけど。それでも、傭兵の誰もが積極的に攻撃をかけていないこの状況じゃ無理だろう」
「それに、誰も本気で戦っておりませんな。忠義も信念もない兵士、栓無き事か」
呆れるようにセプティムスは、アキトの言葉に答えた。
「しかし、アキト殿。シスイ殿とアカネ殿は何故、あのような矢を?」
「何故こんな回りくどい事をやるかを、皆には言わなかったな。だが、セプティムス。君にはもう伝えとくよ。俺がやってるのは、傭兵達の戦力評価だ」
「ほう…… たしかにあのような小悪党共、シスイ殿かアカネ殿が喉を射抜けばすぐに殺せますからな」
「そう、殺すのは簡単。だが、それじゃこちらは何も得られない。それならば、弓術に少しでも長けている者を、今後仲間に付けたかったんだ」
「それで弓術が比較的優れた者に、印を付けさせたと…… 兵士の適性を知る手間が省けますね」
感心したようにセプティムスはそう言った。
弓を一人前に扱えるようになるのは、それこそ魔法を学ぶのと同じぐらい時間がいること。
少しでも弓が扱える者を、アキトはこの後、兵士になるよう優先的に声を掛けたかったのだ。
「つまりはあのような者達からでも、少しでも戦力が欲しい…… その訳があるということですね?」
「そうだ。それが必要な時はすぐ来るかもしれない。だから、一分一秒も無駄にできないんだ」
「なるほど。その時のため、全力で我々も、アキト殿を支える所存…… うん?」
セプティムスは、広場に向かって新たに傭兵の増援が向かっているのを見た。
広場にいるのと同じぐらい、約三百人程だ。
「ほぼすべての戦力を投入してきたか。アキト殿、これは予想が外れたのでは?」
「いや、リーンがやってくれたらしい。この件は俺も長引かせたくなかったから、リーンの助言も取り入れたんだ」
「ほう。ではこれもアキト殿の策の内ということなのですな」
「そうだ、今のところは確かに順調。 ……順調なんだが、まだ敵の師駒を見てない」
アキトはセプティムスにそう答えて、再び広場へ目を移した。
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「ええい!! たったの三匹になにを手こずっておる!!」
地面に座りながら、ジョルスはそう喚く。
傷はもうそこまで痛くないが、傭兵達の盾から身を出すのが怖いらしい。
大金を出して雇った傭兵達は、一体のゴーレムと二人の若い娘に、まるで赤子の様にあしらわれている。
「ジョルス様!! 援軍に駆け付けましたぞ!!」
この前アキトにこてんぱんにされた禿げ頭の傭兵が、ジョルスにそう言った。
近づいてくる禿げ頭の傭兵に、ジョルスはそのまま地面に座りながらこう訊ねる。
「ルポ? 何故、ここに?!」
禿げ頭の傭兵はルポと言った。バードンと同じく隊長のような男だ。
そのルポは、不思議そうな顔をしてジョルスに答えた。
「何って言いましても、ジョルス様が城壁の見張り以外、すべて兵を回せと伝令を送ったんじゃないんですか?」
「ワシはそんな命令だしとらん。バートンが出したのか…… まあいい、確かに奴らには苦戦している。全員でかかれ」
「へい! 野郎ども! さっさと攻撃に移れ! ああ、あとジョルス様。ガトルの兄貴もこっちに向かってます」
「ガトルもか…… いや、奴が来ればあのような者達、一捻りに叩き潰してくれよう。まあ、その前に奴らが音を上げるだろうがな!」
だが、そのジョルスの言葉もむなしく、傭兵たちは束になってもゴーレムを破ることはできなかった。
神殿前が、更にわあわあと騒がしくなっただけ。そして増え続ける、額に墨がついた者達。
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アカネが神殿の屋根の上から手を振っているのを見るアキト。
どうやら傭兵達に対する弓術の評価が終わったらしい。
「やりたいことは達成した。あとはジョルスを裁くだけだが」
「では、私は兵に合図を……」
セプティムスはそう言うが、アキトが透かさず口を開く。
「いや、少し待ってくれ、まだジョルスの師駒が来て…… あれか」
アキトは広場へ向かうサイクロプスを見てそう言った。
鎧を着たサイクロプス。その巨体に見合った鉄の大槌をフラフラと揺らす。
ベンケーよりもいくらか小柄だが、その足はもっと鈍重だ。武器や鎧、その体型のせいだろう。
セプティムスもそのサイクロプスを確認して、こう言った。
「あれが敵の師駒ですか」
「ああ、恐らくは魔物のナイト。ランクは分からないけど。できれば、あれを仕留めてから君達の出番としたい」
「ふむ。では、シスイ殿たちが仕留められなかったら、我々も突入します」
「そうしよう」
アキトはそう言って、アカネに手を振った。そしてサイクロプスの方へ指を指すと、手を下に振った。
全力で敵の師駒を倒せ、それがアキトの命令だった。
アカネは、深く頷くとシスイにもそれを伝える。
サイクロプスがどれほどのランクか分からない。全力で容赦なくかかるべきだ。
ならばセプティムスの兵も投入したい、というのがアキトの本音だ。
しかし、それでは広場で傭兵とも乱戦を繰り広げることになる。
これから南魔王軍と戦おうという時、潜在的な味方に犠牲を出したくない。
それがアキトの考えであった。
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「おお、ガトル、来たか!!」
「グウォオオオオ!」
「待っておったのだぞ! さあガトル、奴らをワシの与えたその大槌でぺしゃんこにするのだ!!」
地べたに座るジョルスは立ち上がって、目の前のサイクロプス、ガトルにそう言った。
ガトルは「グウォオオ!!」と言ってジョルスに答える。
ガトルはジョルスの師駒であった。本来軍師でも貴族でもない彼が師駒を持てたのは、ある帝国貴族から師杖を最近手に入れたからだ。
大枚をはたいて買った師駒石は、D級の魔物の”ナイト”、サイクロプスを召還した。
ジョルスはこのサイクロプス、ガトルのために、特注の大型の胸当てと鉄の大槌を買い与えたのであった。
ジョルスが誇る最強の部下…… そのはずだった。
風を切るような音が辺りに響くと、ガトルは急に顔を抑えて叫び声を上げた。
「グァアアアア!!!」
そして、力が抜けたように仰向けに倒れ始める。
ジョルスの周りにいた傭兵たちは、蜘蛛の子を散らすように離れていった。
「え?」
ジョルスは目の前に迫るガトルの背中を見てそう言った。
走って逃げようにも、そのぶくぶくの体ではすぐに動けなかった。
巨大な鉄が床に落ちる音が広場に響く。
ぺしゃんこになったのはジョルスであった。
倒れたガトルも、その体が消え始める。ガトルがいた場所には、血だまりと血に染められた師駒石だけが残った。
矢を放ったシスイは、驚きを隠せないと言った顔でこう言った。
「……何と! 確かに我が魔力の全てを注いだとはいえ、ただの一矢! 何とたわい無い」
「一矢ではなく、わたくしと姉様で二本ですよ。まあ、確かに拍子抜けですかね」
アカネも肩透かしを食らったようにそう言った。
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鐘楼からこれを眺めていたアキトは、セプティムスに向かってこう言った。
「終わったようだ。セプティムス、合図を」
「かしこまりました、アキト殿」
アキトの言葉にそう答えたセプティムスは手旗を振り始めた。
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バードンはもはやただの血肉となったジョルスを見て、悲しむというよりは驚いた表情でこう言った。
「じょ、ジョルス様…… あ、兄貴まで……」
「バードン、ここは逃げよう! とても勝てん!」
禿げ頭の傭兵ルポが、バードンへそう言った。
既にほかの兵士たちは下敷きになったジョルスと、一撃で死んだガトルを見ている。
皆、顔が一様に青ざめている。
もはや戦いにならないし、意味もない。バードンはこう言った。
「あ、ああ。野郎ども、一旦退却だ!!」
バードンの声に、皆一斉に広場から逃げようとする。
その時だった。傭兵達が通路を見て、こう言った。
「な、なんだこの兵士たちは?!」
「一体どこから?!」
アキトの師駒、第十七軍団の兵士たちが、広場へ続くすべての通路を封鎖した。
広場へ続く五つの道。その全ての道を三十人ずつの軍団兵が、大盾を寄せ合い密集陣形を作っている。
自分たち以外に、この街には兵士はいない。だから、これだけの兵士が出てくるなど、傭兵の誰もが予想していなかった。
神殿方向にだけ目を奪われていた傭兵たちは、皆後ろを取られたと狼狽する。
「ええい、突破しろ!!」
バードンの言葉に、傭兵達は第十七軍団の兵士に向かうが、その通路に隙間なく並べられた大盾を誰もが突破できない。
「ち、ちいっ! どうすりゃ!」
バードンがそう言って唇を噛んでいると、広場の中央から叫びが。
「俺は降伏する!! 許してくれ!!」
一人の傭兵が、大きな声でそう言った。
「な、何を勝手なことを!」
バードンはそう怒った。そして、すぐにその傭兵を黙らせに行こうとするが、周りの傭兵達も皆武器を捨て始める。
「こ、降参だ!」
皆口々にそう言って、手を上げ始めた。
鳴りやまない、ガシャガシャという武器が落ちる音。
それを聞いたルポは剣を降ろして、バードンにこう言った。
「バードン…… ここまでじゃないか?」
「ああ、そうだな……」
バードンはルポに頷くと、ついに剣を捨てる。
そして手を上げてこう言った。
「や、野郎ども! 俺たちは降伏するぞ!! 武器を捨てろ!!」
そのバードンの声を聞いて、全ての傭兵が手を上げて降参する。
傭兵達は皆、悔しそうな表情…… ではなく、心底ホッとしたような顔をするのであった。