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エッセイ

普通に生きているだけで、人生が辛くて仕方がない人が読みたい本 No.1『がんばらない成長論』(偏見)

作者: 久賀 広一

これまでに、このサイトで色んな趣味布教をやらせてもらったような気がするんですが、文章を書いているにも関わらず、一度もオタ抜きの『本』を勧めたことがないという事実に行き当たりました。


そして、タイトルにあるように、僕は普通の人が流して生きられるような世渡りが、まったく上手くできません。


自衛隊に10年いましたが、皆が「当たり前」に出来ることが、辛くてたまりませんでした。

(・・・ものすごい前フリになってますが、長さはそれほどでもないので、よろしければお付き合いください・・・)


仕事の能力は、そう悪くなかったと思います。

体もかなり頑丈だったから、厳しい訓練や教育期間で周りがバタバタ倒れていく中、平然と残った数人でハイポート(映画で海兵がよくやる、銃を持って走りながら掛け声をかけるやつ)をやっていました。


しかし、どうしてか分からないんですが、何もかもが辛くて仕方なかったんですよね・・・


むしろ他の人より余裕があるはずなのに、「そりゃ訓練はしんどくて当たり前だよ」と人に言われるたびに、

「いや、絶対お前が感じてるしんどさと、俺が味わっている感覚は違う」

と思ってきました。


そして、何とか周りにフォローしてもらいながらも毎日を過ごしてきたんですが(自衛隊の上官は、今はほんとにいい人が多いです)、とうとう昇進していくビジョンが全く見えずに、幹部候補生試験の途中で脱落してしまいました。

当時の中隊長に強引に推されて試験を受けていたのですが、かなり部隊に迷惑がかかる辞め方です。


試験官の方は「もし君が除隊するのを思い止まって、また来年この二次試験に来れたなら、他の皆と平等に扱う」と、まるでほとけのごとくな対応。


それでもまあ、それまでに「人生」などというものをまったく考えたことがなく、ただ周囲に用意してもらった道を歩いていた自分ですが、高校生あたりで感じていなければならない『進路』に遅すぎて行き当たってしまったのです。


エアポケットにまってしまったのは、それからです。

漠然と、「目指したいものは何だろう」と考えて、創作家しかありませんでした。


そもそも思春期や反抗期、普通の学生が感じてくるような将来の不安や夢を完全に無視して、僕は「マンガしか読んでいない」というようなケタ外れな愚か者でした。

普通のマンガ好き、というレベルではありません。

再読も多かったため、人並ひとなみはずれた数をこなしてきた訳でもない。


ただ、起きている時間は、現実に触れているより架空の世界にいなければ酸素が吸えないように、”作品として完成された感性”の中でしか救われるーーというか生きる実感が得られなかったのです。


そんな人間が、まともにやっていける訳がありません。

自衛隊を辞めたあとに作家を目指してフラフラしながら、同時に何か”救われる”ために色々手を出すことになりました。


まあ、全て漠然とした行動だったので、漠然とした答えしか得られなかったのですが、それでも少しずつ精度は高まり、ミスも経験します。



そして、その中でいちばん僕に希望を持たせ、絶望させてくれたのが、宗教でした。

家に訪ねてくる数多あまたある宗教を、僕は片っぱしから試していったのです。

(お金を取られない限り)


結果得られたのは、「これはダイエットと同じだな」という結論でした。


素晴らしい人格者の方も多くいるので極論になるのですが、まあそれらが「人を救う」などということはありません。


ただその教えから深くを学んだ「人間」が救いなのであって、「教え」はただの物語や決めつけ、長い歴史からの教訓で、人類の時代に応じた考えや洗練されていく思考、『新しい現実』との軋轢あつれきで、後世に争いを生むこともある。

”法”にも近いものがあります。


だから、しんどい人生に終止符を打ってくれる、と最後にすがった宗教に「裏切られた」と思った瞬間、すさまじい憎悪にすら変わりました。


こんなもんは、もともと「お上品」にルールの中で生きられる限定人間にとってだけの天国だ。

あとは、自分で深刻な問題を考える勇気のない人間が、「おお、光だ」みたいに楽な答えに群がり、すがっていくような狭いコミュニティーでしかない。


乱暴ですが、そんな結論になってしまったのです。

ちなみに、僕の自作の中で、信仰をボロクソに語っているものがあるのは、当時「IS」(という呼び名はまだありませんでしたが)が非情な行動をくり返し、自分の周りの宗教にも絶望していたからです。


そういったあれやこれやの失敗の後にも、けっきょく愚か者は一人で生きていくしかありません。


誰か、完全な理解者が現れて、手を差しのべてくれるようなことは、自分が信仰の「救世主」になるのと同じレベルで難しい。


でもやっぱり、人は長く生きているだけで救われることがあります。


名文に触れて生かされ、透徹した意見で、自分が求めていたものが不要だったことを知らされる。


どんどん背負うものが減り、考え方は楽になっていく人生の中で、それでもまだ肝心の「つらい」部分を救ってくれたのが、冒頭で紹介しようと思った本です。


枕を伸ばしすぎてしまったので、「おい!」という突っ込みを頂くことになるかもしれませんが・・・


『がんばらない成長論』 心屋仁之助 著!


これはホントに凄い本でした。

数多ある『救い本』の中でも、読んで時間が経っても心を楽にしてくれるのは、僕はいまの所これだけと断言してもいいです。

(ほかにも有名な方、びっくりするような著作もあるのですが・・・しばらくするとそのテンションがもたなくなることが多いので・・・)


どうして『頑張らない』ことが、自分を正しい方へ成長させるのか。

ヘラヘラしているのに、出世していくライバルが多いのは何故なのか。


他の本にも書かれていることもありますが、それらがものすごく閃く形で、心をすっと軽くしてくれるように入ってくる。


「どうしてこんなに人生は辛いんだ!」と普段から感じることのある方には、是非ともお勧めしたい本です。


海外の食糧難によるニュースはよく聞くので、「残飯を平気で出してみる」という部分にはあまり共感できなかったのですが、だからこそやってみて分かることもありますし、しんどくなるたびにこのタイトルを眺めるだけで、ずいぶん楽になります。


・・・人に本を勧めるというのは、本当にただの説教になってしまうので気が引けるのですが、僕は今でもこれを知らなければ幼稚園児にでも教えてほしいと思うので、書かせて頂きました。


まあどうせ人の作品なので、どんなに知れ渡っても僕の作家を目指す足しには全くならないのですが、取るに足りない人生を送ってきた愚か者の足跡を笑っていただけたのなら、便乗商法で意味はあったのかなと思います。


こんな無茶なことを書いても、「たぶん『がんばらない成長論』の心屋さんは、欠片も怒らないだろうな」という確信があります。


セコい予防線を張ってしまいましたが・・・長々と、お付き合いありがとうございました!


今度はちゃんと、作品を書いてお目見えしたいです!













追記になるのですが・・・


宗教を完全に否定するようなことを書いてしまいましたが、自分は現時点において、「仏教」にはしばしば助けられることが、漫画を読んできたように架空の”物語”に救われることが、幾度かありました。


酷いことをしてくる人間がいても、自分の態度は普段のままでいい。

”おもてなし”のために準備した料理を客に断られると、作った本人の料理ものになるように、悪意はスルーすれば必ず本人に返っていくことになる。


そういった類いの法話は、生きていく上では大変”苦”を和らげてもらったと、感謝の念もあります。


うまく話をまとめ切れず、傲慢な語りで申し訳ないですが・・・

お付き合い下さり、まことに有り難うございました!




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― 新着の感想 ―
[一言] 頑張れっ!! 僕はキミを応援するよ!!
[一言] 丁度今、いろいろと考えていたんですよ。 勉強する気出ない。これで将来大丈夫なのだろうか。友達って何だろう。何の為に小説を書いているんだろう。最近疲れる。何の為に生きているのだろう。 とか。 …
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