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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
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第48話 空飛ぶ船と卒業式

卒業試験を終えて、ファルクムに戻る船の上


「あ~~~」


その甲板で僕は仰向けに寝ていた


さっきまで釣りをしたりしていたんだけどね……

正直飽きた!!


行くときも島でもずっと釣ってたんだよ!?

飽きるよ!


因みに他の皆は……


「シャルルとエルフィってやっぱり……」

「そ、それはその!……」

「い、言わないで下さい……」

「ほほぅ……」


少し離れた所でシャルルとエルフィがリーデスとカリシスの二人と話している

内容は良く聞こえないけど……シャルルとエルフィが赤くなってるからからかわれてるのかな?


「ほっほっ!」


ユルマリは7個のボールを器用にジャグリングしている

僕もやってみたけど3個が限界だった


「ふん!ふん!」

ラルスさんは筋トレしている

たまに筋肉に話しかけてるのが不気味だ


他の皆は把握してないけど……スルトは酔い止めが切れたって言ってたからダウンしてるんだろうし


ファランの誘いで他の皆は船室でカードをやってると思う

僕も誘われたけどガルネクが

『そいつかなり強いぞ?』って言って、試しに一回ポーカーをしたらロイヤルストレートフラッシュを揃えちゃって……

遠慮されちゃった


「退屈だ……」


港までまだ時間はかかるし……

どうするかな……


「…………んっ?」


空を見ていた僕は気づく


かなり上空を飛んでいる黒い物体

最初は鳥だと思っていたけどそれにしては動きがおかしい


ずっとこの船の真上くらいを飛んでいる

もう一時間は経ってるんじゃないかな?


「なんだろ?」


僕はその物体をジーと見る


「…………」


まさか竜とか?

いや見たこと無いけど……


「どうした?マーティ・ロキソン?」


空を見上げる僕にゴルバ教官が話しかける


「ゴルバ教官……あれなにかわかりますか?」


僕は指差す


「あれ?…………」


ゴルバ教官が空を見上げる


「あぁ、あれか」


そして物体に気付いた


「知ってるんですか?」

「あれは船だ、空を飛ぶ船」

「空を飛ぶ船!?」


なにそれ!?そんなのあるの!?


「あそこには『凶風』が住んでいると言われているな」

「『凶風』?……十二聖将の?」

「そうだ……凶風はああして世界を飛んで移動しているらしい」


そう言う伝説だがな

っと言って僕の隣に腰掛ける


「十二聖将かぁ……」


正直ナイラスさんを見てると微妙なんだよなぁ……

凄く強いのはわかるけど尊敬できるかって言われたら……

あ、ハーツさんは尊敬できるよ?


「ふっ、ナイラス卿の事でも考えたか?」

「えっ?わかりました?」


ゴルバ教官が笑う


「あの方は気を許した相手には親しみやすく接する方だ、お前の事は凄く気にしていたぞ?事あるごとにお前の様子を聞いてきたな」


「そうなんですか?」


そんな気に入られる事したかな?


「もしかしたら……幼き頃と重ねてるのかもしれんな」

「えっ?」

「さて、雑談はここまでにするか!あと二時間程で港だ、準備をしておけ!」


そう言ってゴルバ教官は船室に入っていった


「昔と重ねてる?ナイラスさんが?」


そういえばナイラスさんの事……全然知らないや……機会があれば話してみよう



・・・・・・


港に着いて船を降りる

そして馬車に揺らされながらファルクムに戻った



「もう暫く乗り物は乗らねえ……」


そう言って青い顔のスルトが呟く


「ほら、おんぶするから」


ルークがスルトを背負って運ぶ

なんか距離が近付いてない?兄弟みたいな感じだ


「……そういえば」


僕は周りを見渡す


サハルがパリスをからかい

ユルマリがそれを笑いながらミートルスの頭を撫でている

ミートルスは撫でられながらミトスに小魚を投げている

ミトスはそれは口でキャッチしてご満悦だ……餌付け?


シャルルがリーデスとカリシスにからかわれながら歩き

ガルネクがエルフィとファランから魔法のコツを聞き歩く


「皆の距離が縮まったな」


僕の隣に居たラルスさんが僕の頭を撫でた


「そうですね……」


このメンバーで騎士になれたんだ……

その事が凄く嬉しかった


・・・・・・・



本拠地の前で待たされる


「諸君!これより卒業式を行う!訓練生のバッチを外せ!」


言われて全員がバッチを外す


「今回はこのお方が卒業式を担当する!」


そう言ってゴルバ教官が前を見る


『…………?』


誰もいないよね


「はいお待たせ!」


ダン!と上から人が降ってきた


てかナイラスさんが飛んできた


「ナイラス卿!?」


僕の隣でシャルルが驚く

僕はよく遭遇するけど、本当は滅多に会えないらしいね



「訓練生の皆!君達はこれから正式に騎士になる!名前を呼ばれたら私の所まで来るように!」


そう言ってナイラスさんは羊皮紙を拡げる


「ルーク・ホリゾン!!」


ナイラスさんが名前を呼ぶ


「はい!」


ルークがナイラスさんの前に出る


「バッチを」

「は、はい!」


ルークがナイラスさんにバッチを渡すと交換するようにナイラスさんが白いバッチを渡す


「十等騎士のバッチです、等級が上がる度にバッチも変わりますからね」

「はい!」


ルークはバッチを受けとる


ポンっとナイラスさんがルークの肩を叩く


「君はもっと自分に自信を持つんだよ?君は逸材だと評判なんですから」

「あ、ありがとうございます!!」


ルークは赤くなりながら頭を下げる


「では次は……ミートルス!」


次々と名前を呼ばれていく


「シャルル・リィ・フランベール!」


シャルルが呼ばれた


「はい!」


シャルルがナイラスさんの前に立つ


「この3年間大変じゃなかったかい?」

ナイラスさんが聞く


「いいえ、皆や……相棒(パートナー)が助けてくれたので……」


シャルルが僕とエルフィを見る


「そうですか、君の実力、期待してますよ?」

「はい!」


シャルルがバッチを受け取る


「エルフィーユ・マールス!」


「ひゃい!」


エルフィ……緊張してる?


「君はラルフィを目指すのかい?」


ラルフィ?誰だろ?


「最初はそのつもりでした……」


エルフィがバッチを受け取る


「でも……それではダメでした」


エルフィがバッチを付ける


「もう追いかけるのはやめます、これからは追い越すつもりで励みます!」


「おやおや、ラルフィに強力なライバルが出来ましたね!」


愉快そうに笑うナイラスさん


「さて、次で最後ですね……マーティ!マーティ・ロキソン!!」


「はい!!」


僕は前に出る


「…………」

「…………」


向かい合う僕達


「君と出会って6年経ちますね」


そうだ、初めて会ったのは7歳の時だ


「あの時から真っ直ぐな目をしてると思っていましたが……今は更に強い目をするようになりましたね」


ナイラスさんがバッチを受け取る


「ようこそ、騎士団へ」

「はい!!よろしくお願いします!!」


僕はバッチを受け取って頭を下げた



こうして卒業式が終わった



・・・・・・・



騎士としての簡単な説明を受ける


騎士は基本自由にしていいそうだ

本拠地にある依頼をこなすもよし

ゆっくりと休暇を過ごすもよし

見回りの仕事に参加するもよし

訓練を受けるもよし


自由なのだ


ただし定期検査を終えた後に十等騎士のままだと除隊処分だ

ちゃんと働かないとクビだって事だね!


「さてと……」


全てを終えて僕達は寮に戻る


「皆はもう住むとこ決めたんだよな?」


スルトの発言


「あぁ、私は家を買ったぞ!」


ラルスさんが答える、シュガーと住むんだろうな


「俺は部屋を借りた」


ガルネクが言う


「僕はスルトとルームシェアだよ」


ルークが言う……へぇ、一緒に住むんだ?


「安くすむからな」


スルトが言う


「俺は空き待ちだ……寮を出るまでには間に合うだろう」

「パリっちと同じ!」


パリスとユルマリが言った


「皆もう決まってるんだね?」


「マーティ?お前決まってないのか?」


ガルネクが僕を見る


「う、うん」


「マジかよ……」


スルトが呆れた声を出す


「えっ?えっ?」


皆が僕を見る


「マーティ、明日にでも王都の不動産を全部訪ねなよ!」


ルークが言う


「そ、そんなに慌てなくても……」


「俺らは空き待ちって言ったよな?つまりそういうことだぞ?」


パリスが言う……


嘘……まさか家がない?


そ、そんな……はは……


寮を出るまで1ヶ月の猶予しかない

それまでに住むところを見つけないと!!









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