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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
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第43話 卒業試験・脅威

 翌日


 僕達はそれぞれのチームに分かれて行動を開始した


 エルフィとガルネクとユルマリを拠点に残して

 僕とシャルル、スルトとミストで森に向かう



「じゃあ、僕達は西側を行ってみるよ」

「西側か……パリスには気を付けろよ?」


 そう言って僕とシャルルは西側から森に入った


 ・・・・・・



「シャルル、皆はどこら辺に居ると思う?」


 僕は歩きながらシャルルに聞く


「うーん……多分サハルは木の上とかに居ると思うんだ。ほら、彼女はアーチャーだから少しでも安全な場所に居たいだろうし」


 敵が近付いても木の上から矢を放って倒すと


「他の皆は?」

「ちょっと予想できないね、皆何をするか分かりにくいし」


 そうだよね、僕もそう思う

 やっぱりしらみつぶしに探すしかないのかな?


 僕は上を見ながら歩く


 すると……


「マーティ!!」

「ふぇ?うわぁ!?」


 ドサッ!


 シャルルに押し倒されて茂みに潜り込む

 えっ?どしたの?


「シャルむぐぅ!?」

「静かに!」


 僕が何か言う前にシャルルに口を手で塞がられた


 僕の上に覆い被さるシャルル

 柔らかい感触が僕の上に……

 お、落ち着け!先ずはなんでこんな事になったのか考えて……んっ?


「…………」


 シャルルが震えている?

 んん?


 クラッと揺れる感覚

 地面が……揺れてる?


「…………」


 シャルルが伏せる

 今、僕の顔の横にシャルルの頭がある

 シャルルは顔が地面につくってくらいまで必死に伏せている


 グラッ

 っと地面が揺れた

 間違いなく揺れている


 ドシン!


 遠くから大きな音が聞こえる


 ドシン!


 その音は少しずつ大きくなっている


 ドシン!


 地面が音に合わせて揺れる


 ドシン!!


 僕らの頭上の方向で大きな音がした


「………(チラッ」


 僕は視線を頭上にずらす


 そこには


「ギャォォォォォォォォ!!」


 見たことがない大きなモンスターが居た

 凄く大きい……地面に倒れてる状態だから様子が完全にわかるわけではないけど……茂みの隙間から見える姿はほんの一部

 少なくとも僕達の暮らしている寮と同じくらいの大きさに思える



「…………」

「……っ!」


 シャルルが怯えている

 見つからないように祈ってるように思える


「………」


 ドシン!



 モンスターは僕達に気付いていないのか真っ直ぐ歩いている


 そして数分後には僕達の前から居なくなった


「……ふぅ、ごめんマーティ、いきなり倒して」

「大丈夫だよ、シャルルが押し倒してくれなかったらアレと正面からぶつかっただろうし」


 あんなの僕達だけじゃ倒せない

 同期全員で挑めばもしかしたら、とは思う


「取り敢えず反対方向に行こう」

 僕達はモンスターが歩いてきた方を見る


「そうだね」


 シャルルと僕は歩く


 ・・・・・・


 ーーースルト視点ーーー


 マーティとシャルルの二人と別れて、俺とミストは森を歩く


「ミスト、誰かの気配を感じるか?」

「んーもうちょい待つにゃ」


 ミストは地面を調べ、茂みを調べ、耳を済ませて気配を探る


「出来ればおっさんかサハルが見つかると楽なんだがな……」



 ラルスのおっさんは単純に強い

 戦闘になったらルークの方が強いが、モンスターの討伐などはおっさんの方が手慣れている

 こんなどこからモンスターに襲われるかわからない状況なら、おっさんの存在はデカイ


 サハルは元は狩人をしていた女だ

 味方にしたら食料的にも索敵的にも頼もしい

 逆に敵にまわしたらかなり厄介だ

 森のどこから矢を放たれるかわからない

 一部の奴等なら矢を避けるか弾くか出来るかもしれないが……俺には出来そうにないからな

 身の安全の為にも味方にしたい


 パリス対策にもなるしな……


「スルト、おめー何考えてるにゃ?」


 ミストが俺を見て言ってきた


「……何が?」


「悪どい顔してるにゃ」


 そうか?


「何考えてるか言うにゃ、場合によっては……」


 ミストがナイフを構える……おいおい


「単純にどう行動したら生き残れるか考えてただけだから!?ちょっ!止めてくれって!」


「ならいいにゃ」


 ミストはナイフを仕舞う


 あっぶねー……下手したら殺られてたぞ?


「んっ?」


 ミストが地面を見てしゃがむ


「どうした?」


「……この森、デカイのがいるにゃ」


 俺はミストが視線を追い、地面を見る


「足跡?デカイし深いな」


 これは相当な重量を持ったモンスターがいるな……

 この大きさなら低く見てもBランクはあるな


「……この道からははにゃれた方がいいにゃ」

「そうだな、遭遇したらヤバそうだ」


 俺とミストは足跡から離れた



 ・・・・・・・


 ーーーガルネク視点ーーー



「あー眠い……」


 俺は海に浮かびながら呟く

 手には木の棒の先端にエルフィの土魔法で尖った石を付けた銛を持っている


「……おら!」


 俺は泳ぐ魚に銛を突き刺し


「しゃあ!」


 魚を獲る


「ガルっちナイース!」


 それを見てたのか釣竿で魚を釣っていたユルマリが言う


「お前はさっさと釣れ!」


 俺は海から上がって魚をエルフィの前に持っていく


「お疲れ様です!」


 エルフィは魚を受け取ると氷魔法で凍らせる、保存はこれで問題ない


「これで何匹くらいだ?」


 俺が潜ってる間にユルマリは何匹釣ったのか……


「えっと……7匹ですね」


 …………


「ユルマリ!全然釣れてねえじゃねえか!!お前も潜れ!!」

「メイク崩れるからやっだよー!」


 あの野郎……メイクなんか潮風で結構崩れてるだろうが!!


「まあまあ落ち着いて」


 エルフィが温かい紅茶を俺に渡す……茶葉なんて持ってきてたのか?


「はぁ……あと何匹くらい必要だ?」


 人数はこれからも増える、残り6日の間に天気が崩れる可能性も考えたら獲れる間に獲った方がいい


「そうですね……30匹いれば多分なんとかなるかと……ミストさんがいっぱい食べるでしょうし」


「明日はミストに獲らせるか……」


 自分で獲りやがれ!!


「きたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

『!?』


 ユルマリが突然叫んだ


「うひょ!デカイ!これは大物だぁぁぁぁ!!」


 ユルマリの竿が曲がる……折れそうだ


「一人じゃ無理!ガルっち!エルっち!手伝ってぇぇぇ!!」


 ユルマリは竿を引くが少しずつ海に引っ張られている


「手を離すなよ!」

「土魔法で足場を固定します!」


 俺は走ってユルマリの持つ竿を握る

 その間にエルフィが足下の砂を固める

 これで踏ん張りやすくなった


「ふんぬっ!」

「ぬぁぁぁぁ!!」


 俺とユルマリは必死に竿を引く

 かなり重い……これは本当に大物だ、魚20匹分の食料になるんじゃないのか?


「エルフィ!釣り上げたら逃げないように海面の一部を凍らせろ!」

「はい!」


 エルフィが杖を構える

 これで海から出せば捕まえられる


「ユルマリ!一気にいくぞ!」

「りょうかーい!!せーの!」

『どりゃああああああああ!!』


 俺とユルマリは竿を思いっきり引っ張った


 ザバン!


 海からデカイ魚が飛んできた


 魚は俺達の上空を飛ぶ


氷の盾(アイス・シールド)!」


 エルフィの声が聞こえる、海面の一部を凍らせたのだろう

 しかし俺は上空を飛んでいる魚を見ていてそれを確認できなかった


 ……あれは魚なんだよな?

 逆光で姿はよく見えないが……シルエットがおかしい

 下半分は魚だ、尾びれが動いている……問題は上半分のシルエットだ

 どう見ても人の姿をしている

 まさか、あれが伝説の人魚か!?

 俺達は伝説の人魚を釣ってしまったのか!?


 魚が落下してくる

 少しずつ姿が見えてくる


「ぬぉぉぉぉぉぉ!?」

『ぎゃぁぁぁぁぁ!?』


 姿がはっきり見えた

 見えた瞬間、俺達は全員叫んだ

 人魚って、綺麗な女の姿っと聞いていたが、落ちてくる奴は男だ

 てか筋肉だ

 てかラルスだった


 俺とユルマリは跳んで離れる

 俺達の居たところにラルスが落ちる


「ぐむっ!?」


 ラルスは顔を押さえている


「なにやってんだよお前は……」


 俺はラルスにそう言うしかなかった


 ・・・・・・・



「いやーすまん!助かった!」


 ラルスは魚……てか鮫だな、鮫の口から出て来てそう言った


「何があってこうなったんだ?」


 俺は呆れながらラルスに聞く


「うむ、実はな……」


 パンツ一丁でラルスは語る


 というのもラルスは昨日パリスに撃たれたそうだ

 まあ弾は外れたから無傷だったのだが

 その後、色々考えていたら腹が減った

 そういうことで海で魚を捕まえて食べようと潜る

 そして鮫に襲われる、海の中だと全力で殴れないから苦戦する

 そして今の今まで戦っていたら釣り針に引っ掛かって釣られたと


「……」

「そんな目で見ないでくれないか?」

「はぁ……」


 俺はラルス(アホ)を見ながら溜め息を吐いた


 因みに鮫はエルフィに冷凍された

 ラルスを噛った鮫なんて正直食いたくないが……贅沢は言えない


「それで、なんで君達はここに?」


 ラルスが俺達を見て首をかしげた


「実はですね」


 エルフィがラルスに今までの説明をする


 俺は二人の会話を聞きながら休むことにした





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