第42話 卒業試験・集結
「さて、先ず俺達がやることは他の奴等と合流することだ」
スルトがそう言って後ろに振り返る
「おい!誰かいるんだろ!出てこいよ!」
そう森の中に向けて叫んだ
「やっぱりバレてた?ミーは隠密苦手なんだよね!」
すると森の中からユルマリが出てきた……笑いながら近付いてくる
「お前今の話を聞いてたよな?どうする?」
スルトが聞く
「ミーも二人に賛同するよ、うん、仲間同士で戦うとか笑えないし!」
そう言って僕たちの前にある木の飛び出した根に座った
「よし、これで五人だな」
「あの、もう二人ほど加わりそうですよ?」
シャルルの治療を終えて休んでいたエルフィが僕達に話し掛けた
「もう二人?」
僕が首をかしげると
「上から登場にゃ!」
ミストが木の上から降りてきた
木の上を跳んで移動していたのかな?気付かなかった
「スルトの言ってた通りか……教官もちゃんと説明しろっての……」
ユルマリとは反対の方の森からガルネクが歩いてきた
二人とも隠れて様子を見ていたのかな?
「これで七人か……まあ初日はこんなもんだろ」
スルトはそう言うと先ずはミストに向かって
「ミスト、シャルルを運んでくれ、ここを離れるぞ」
「にゃんで?」
「ここはモンスターがよく通るみたいだからな」
スルトの発言を聞いて僕は地面を見る
確かにウルフを始めとした様々な足跡が残っていた
「先ずは拠点になる場所を見つけようぜ!それから今後の方針を決めよう!」
スルトの提案に否定する奴はいない
スルトの指示が的確だからね
・・・・・・
僕達は森から出て浜辺に着いた
「こっちの方に洞穴があったぞ」
ガルネクが見つけた洞穴に向かう
「なんで森の中を拠点にしないの?」
僕はスルトに聞く
「あそこだと敵がいつ出てくるかわからないからな」
「でもこっちだと僕達の行動も丸見えじゃない?」
「相手が同期の連中だけならな、だけどモンスターも森の中にはうじゃうじゃいる、同期とモンスターを同時に警戒するよりは同期の奴等だけを警戒する方が楽だろ?」
あー確かにね……
森の中なら食料も手に入りやすいけど、ウルフとか他のモンスターも警戒しなくちゃいけないデメリットがあるからって事ね
「見えたにゃ!」
洞穴があった、結構広そうだ
僕達は洞穴に入る
「にょっと!」
ミストがシャルルを降ろして寝かせる
「よいしょ!」
「ふっふー!」
僕とユルマリが森の中で集めといた木の枝を洞穴の奥に置く
これを薪にするんだ!
「モンスターが住んでいた形跡は無しと……良いところだな」
スルトが洞穴の中を調べる
「拠点としては良いところだろ?」
ガルネクが石を持ってきてかまどを作る
そのかまどに薪を少し並べる
後は火を点けたらいい状態にしておく
「ここなら敵が近付いてもすぐに気付けるな……まあサハルの奴が見つかるまでは遮蔽物が欲しいが」
スルトが洞穴から出て周りを見渡しながら言う
「作りますか?」
エルフィが杖を持つ
「そうだな……じゃあ」
スルトの指示でエルフィが土魔法を使って遮蔽物を作る
こうして拠点が完成した
・・・・・・
「……うっ」
「シャルル!」
「マーティ?……あれ?……僕は?」
シャルルが起き上がる
「気が付いたか?」
「シャルルさん!」
「さかにゃ食う?」
「お前ら落ち着けよ……」
スルト、エルフィ、ミスト、ガルネクがそれぞれ反応した
「シャルっち復活!」
ユルマリが楽しそうにクルクル回る
「えっと……迷惑をかけたみたいだね……ごめん」
「気にしないで、気が付いて良かったよ!」
心配したんだからね!
「さて、シャルル、何があったか話せるか?」
スルトがシャルルに聞く
「えっと?」
「ルークにやられたって言ったらしいな?聞かせてくれないか?」
スルトは少し焦ってるような感じがする……やっぱりルークの事が気になるんだね
「あ、うん……あれは」
シャルルが話を始めた
・・・・・・・
ーーーシャルル視点ーーー
「っ!ここは?」
僕は周りを見渡す
左側には海が、右側には森があった
「んっ?海の水が森に伸びてる?」
目の前では川の様に海の水が森に流れていた
「ん~……」
僕は考える
多分転移させられたんだと思うけど……皆も僕みたいに飛ばされたのかな?
幸いここは浜辺みたいだから海にそって歩けばさっきの場所には戻れそうだけど……
「……森の中はどうなってるのかな?」
僕は森を見る
もし皆が森の中に飛ばされていたら……
マーティは……大丈夫だと思う、彼も強いから……エルフィはどうなんだろう?
彼女も強いけど……それは魔法が使えるからだ、ウルフの群れに襲われたらなすすべが無い
「先に探してみよう、それからでも遅くない」
僕は川にそって歩き始めた
どれくらい歩いただろうか?
結構時間が経った気がする
「んっ?」
僕は人の気配を感じて振り向く
「……………」
「ルーク?」
僕が見た方向にはルークがいた
木の側で伏せて震えていた
「ルーク?どうしたの?」
僕が近付くと
「く、来るなぁ!!」
ルークが立ち上がって剣を抜いた
「っ!ルーク落ち着いて!」
「ち、近寄らないで!シャルルも僕を殺すつもりなんでしょ!?パリスみたいに!」
「なっ!」
ルークは怯えながらも構える
すぐにでも斬りかかって来そうだ
「何があった!?パリスがルークを襲ったっていうの?」
「いきなり撃たれたんだ!足下だったけど何回も撃たれて!これはバトルロワイアルだって言ってた!」
「……ルーク取り敢えず落ち着こう、僕は戦うつもりは……」
「悪いけど信じられないよ!僕は誰も信じられない!!」
ルークは涙を流す
いきなりの転移、仲間だと思っていたパリスからの攻撃
そんな目にあって完全に疑心暗鬼になっていた
「ルーク!」
僕は前に出る
これが駄目だった……もう少し話をするべきだったんだ
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ルークが一気に踏み込んで斬りかかってきた
「!?」
キィン!
僕は咄嗟に剣を抜いて防ぐ
「や、殺られてたまるかぁ!」
ルークは剣を振る
「くぅ!」
僕は受け止めるけど少しずつ追い詰められる
「うわぁぁぁ!」
強烈な突き
ギィン!
ドス!
「くぅ!」
剣で軌道をずらしたけど剣は僕の左肩を貫いた
「あっ……」
後ろにふらついた僕
僕の後ろは急な坂になっていた
僕はバランスを崩してそのまま……
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
坂を転がっていった
・・・・・・・・
ーーーマーティ視点ーーー
「それでボロボロになって……なんとか木の所に着いた所で……マーティに会ったのかな?そこは意識が朦朧としてたからあまり覚えてないんだ」
「そうか……ちっ、あの馬鹿が」
スルトはシャルルの話を聞いてから考え込む
「パリス……」
僕に会う前にルークを撃ってたのか……それでルークは疑心暗鬼になってシャルルを襲ったと……
「パリっち……」
ユルマリも思うところがあるみたい
「アイツ強いくせに精神面が弱いよな……」
ガルネクが呟く
「まあ生きてて儲けもんにゃ!」
ミストがシャルルを励ます
「今ここに居る皆で全員なの?」
シャルルが僕達を見て言う
「はい、後の皆はまだ見つかってません……」
「シャルルも起きたし情報を整理するか」
スルトが座る
「先ず見つかってない奴が『ラルス』『サハル』『リーデス』『カリシス』『ファラン』『ミートルス』の六人だ」
「ラルスさんやリーデスは強いから大丈夫だよね」
僕は二人を思い浮かべる
筋肉のラルスさん……モンスターに殺られる人ではない
リーデスも戦闘経験はかなりあるから簡単には殺られない
「他の奴等も簡単に死ぬ奴等じゃないからな、取り敢えず1日くらいは平気だろ」
そしてスルトは言葉を続ける
「問題は『パリス』と『ルーク』だな……パリスは完全にバトルロワイアルだと思い込んでる……説得は厳しいだろうな」
そしてスルトはシャルルを見る
「シャルル、お前ルークの事を怒ってるか?」
「えっ?別に怒ってないよ?そりゃあ痛い目にはあわされたけど……ルークも辛そうなのは伝わったからね」
「そっか……ルークの奴は俺が説得する……アイツはサバイバルには慣れてないから早めに合流しないと死ぬからな」
スルトが言う
「大丈夫なんですか?襲われるんじゃ?」
エルフィが聞く
「かもな、俺が行っても戦いになると思う……だが、俺はアイツの相棒だ……俺じゃないとアイツを説得出来ないだろう?」
まあ3年間一緒に暮らしていたからね……僕達よりスルトの方が上手くいく可能性はある
「取り敢えず今日は休もう、交代で見張りをしながら夜を明かして、明日からは他の奴等を探そう」
「組み合わせはどうするんにゃ?」
「俺とミストは森の中で探索、お前の耳や速さが頼りだからな?マーティとシャルルも俺達とは別の方向で森の中を探索……エルフィとガルネクとユルマリはここで待機な」
「俺達が待機?」
「魚とか貝とかの食料を集めておくのと……この拠点に誰か来るかも知れないだろ?」
あー同期の誰かが拠点を見つけて駆け寄るけど、誰もいなかったら虚しいからね……誰か居て保護した方がずっといい
「見張りも二人一組だ、時間はそうだな……三時間で交代にしておこう、俺とミストが先に見張りをしておくからその次はマーティとシャルル、その次は……まあ三人で決めといてくれ」
「じゃあミーとガルっちでやるよ!」
こうして見張りの順番と明日の予定が決まった




