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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
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第40話 卒業試験・開始

 不死鳥の月


 僕達三年生は卒業試験を受ける

 最終的に卒業試験を受けれるのは15人

 あれから4人がポイントが足りなくて脱落した……思わず泣いちゃったな……



 さて、そんな訳だけど……今僕達はファルクムから離れた場所にいる

 何処だって?

 船の上だよ!!

 周りは海だよ!

 海!海!海ぃ!!


「広い!青い!深い!」

「はしゃぎすぎだよマーティ」


 海を覗きこむ僕にシャルルが苦笑しながら言う


「だって海だよ!?初めて見たよ!!」


 今まで船に乗った事も無かったし!


「嬉しいのはわかったから、ほら!そんなに跳び跳ねたら!!」

「っと!?」

「危ないから!!」


 落ちそうになる僕をシャルルが支える


「ゴメン!」

「気を付けようね?」


 ・・・・・・・


 ーーーガルネク視点ーーー


「マーティの奴はしゃいでるな」


 スルトがマーティを見ながら呟く


「んで?話ってなんだよ?」


 俺はスルトに聞く


「あぁ、ガルネクは卒業試験をどう思う?」

「あっ?」


 どう思うって?

 何も思わねえよ

 まぁ、王都から離れるのかってくらいか


「俺は先輩の『自分で気付かないと意味がない』ってのが気になってる」


 スルトが手すりにもたれかかる


「自分で気付かないと意味がない……筆記か?」


 ヤバいな、座学の内容なんて覚えてないが


「筆記だったらファルクムを離れる必要がないだろ、多分一般の人を巻き込まない場所でやるんだろうな」

「例えば?」

「無人島とかな……船に乗ってるし」


 無人島ねぇ……


「もしくは他の大陸で現地のクエストを受けるとか」


 あぁ、騎士に相応しいか調べるにはそれがいいよな


「まぁ、考えてもしょうがないんだがな……ただこれだけは言っておく」


 スルトは真剣な表情で俺を見る


「卒業試験は仲間でどれだけ協力出来るかが重要だ」

「その根拠は?」


「今までのやり方からの推測だ、入団試験の時も、訓練生として過ごした日々も、仲間との協力が必要だった……だからこの卒業試験も協力が必要だと思う」


 協力か……言われてみれば確かにな


「それをなんで俺に言うんだ?」

「お前が一番混乱しそうだから前もって言っておこうと思ってな!」

「てめぇ!!」

「っと!あぶなっ!?」


 俺の拳を避けるスルト


「まぁ、半分冗談だ」

 半分は本気だよな!?


「てなわけで頑張ろうぜ!」


 そう言ってスルトは走っていった


 逃げやがったな……



 ・・・・・・・


 ーーールーク視点ーーー



「スルト何を話してるんだろ?」


 僕はガルネクを話すスルトを見る

 ガルネクは何か怒ってスルトは逃げ出す

 酔い止めか効いてるからって無茶はしないでほしい


「んん?」


 まあ気にしても仕方ないよね?


 それよりも卒業試験だよ……


「いったいどうなるんだろ……」


 こうして船に乗って移動するってことは大掛かりな筈だ


「特定の人数になるまで戦い合うとかじゃないよね?」


 あ……なんかドンドン不安になってきた……何か気を紛らわせる事は


「釣りしよう!!」


 マーティが釣竿を持ってくる

 餌まで持ってる……この船に有ったの?


「ゴルバ教官!釣りしてもいいですよね!!」


 マーティが船員と話してるゴルバ教官に聞く


「構わんぞ!釣った魚は頼めば調理してもらえるからな」

「よっしゃ!釣るぞぉ!!」

「さかにゃと聞いたらじっとしてられにゃい!!」


 ミストがマーティに駆け寄り釣竿を受け取る


「僕もやってみたいな」


 シャルルが釣竿を受け取る


 ……僕もやろう


「ルークも?はい!」


 マーティに近寄ると釣竿を渡してくれた


「ありがとう」


 僕は釣竿を受け取る


「私もいいかい?」


 リーデスがやってくる


「はい!あと一人分あるよ!!」


「マーちん!ミーもミーも!!」


「良いけどメイク落としたら?潮風で凄いことになってるよ?子供が見たら泣くよ?」


「えっ!?そんな!?……うわこわっ!?」


 ユルマリは布で顔を拭う


「よっし!釣るぞぉ!!」

『おー!!』


 こうして釣り大会が始まった



 ・・・・・・・・


 ーーーパリス視点ーーー


「……呑気だな」


 俺は武器の手入れをしながらユルマリ達を見る


「まあリラックスすることも必要だろうが……」


 卒業試験、先輩達が大量に脱落している

 合格するのはいつも半分以下だ……それほど過酷な試験


「何があっても絶対に合格してやる……」


 じゃないと……俺は……


「殺気だっているな」


「ラルス……」


 暑苦しい筋肉が話しかけてきた


「パリス、そんな風にしていたら後からバテるぞ?今は少しでも休むべきだ」


「あんたはバテなさそうだな」


「無論だ!この筋肉の前にはどんな不調も去る!!」


 ポーズを取るなポーズを!


「後で休むさ、教官は着くのは明日と言っていたからな」


 それが嘘じゃなければの話だが


「ふむ、ならばいい!…………パリス」


 どっかに行こうと歩き出したラルスが振り返って言う


「仲間を頼っても良いのだからな?」


「……わかってる」


 全く……子供扱いするなよ



 ・・・・・・・


 ーーーエルフィ視点ーーー



「ファランさん大丈夫ですか?水飲めますか?」


「船なんて……嫌いだ……」


 私は船酔いしているファランさんの看病をしている


「エルフィ……」

 

「あ、ミートルスさん」


 ミートルスさんが濡れたタオルを持ってきた


「ファランさん、これで顔を拭いてください、少しは楽になりますよ?」


「ありがと……うぅ……なんで船は揺れるんだ……」


「仕方ありませんよ、そういうものです」


「家が……揺れるよりは……マシ」


 ミートルスさんの家は揺れるんですか?


「明日までこの揺れ……」


「寝ればいい……」


「寝付けない!」


「……寝かせてあげる」


 バキィ!


「うぎゃる!?」


「ミートルスさん!?」


 ミートルスさんがファランさんを殴って気絶させた


「ちょ!?何してるんですか!?」

「寝かせた……」

「これは気絶です!?」

「……一緒でしょ?」


 全然違いますよ!?

 あぁ!もう!この人には全然慣れませんね!!


 ・・・・・・・



 ーーーマーティ視点ーーー


「なんか下が騒がしくない?はいゲット!」


「船室で何かあったのかな?……あっ、また逃げられた」


 シャルルは餌が無くなった針を見て俯く


「シャルルは引くのが早いんだよ、ほら……こうして……」

「あっ……う、うん……」


 僕はシャルルの手を取ってタイミングを教える


「シャルっちとマーちん、いい空気だね!」

「シャルルは完全に意識してるにゃ」

「マーティは全く気付いてないよね?」

「青春だね」


 四人ともこっちを見てニヤニヤしてるよ

 なんなんだろ?



「はい今!」

「やっ!あっ!釣れた!」


 シャルルもようやく一匹だね



 こうして数時間釣りをした


 結果


 僕 八匹

 シャルル 二匹

 ルーク 六匹

 ミスト 一匹(釣ってすぐに食べた)

 ユルマリ 三匹

 リーデス 九匹


「リーデス大漁だね!」

「そうだろう?これでも釣りは得意でね!」


 今夜のご飯が楽しみだ!!


 ・・・・・・・



 そうして船に揺られながら夜を明かした


 スルトが酔い止めが切れて倒れたり

 ユルマリが手品をして楽しませたり

 ラルスさんの筋肉講座が始まったり

 ミストが魚について熱く語ったり

 サハルが異形の存在(料理)を持ってきたり……いないと思ったら調理場にいたのか……

 まあそんな感じで楽しかった


 スルトの死は無駄にはしないからね!!


「生きてるからなぁぁぁぁ!?」


「っと!」


 船を降りる僕にそう言ってタックルするスルト


「勝手に殺すな!」

「ごめんごめん!」


 僕は謝りながら船を降りて島に足をつけた


 たどり着いたのは無人島らしい


 船から見たけど結構な大きさがあった

 森が多かった様に思えるけど……



「全員降りたな?」


 ゴルバ教官が前に出て僕達を見る


「よし、なら卒業試験の説明をする!」


 僕達は身構える


「というのも簡単な話だ!1週間!1週間生き延びろ!」


 えっ?生き延び?


「因みに今回の試験は個人で評価する!!以上!」


 そう言って手を挙げようとして


「っと!忘れていた!もしリタイアする場合は船に戻ってこい!試験には不合格だが命は保証する!」


 そう言ってから手を挙げた


「始め!!」


 そのゴルバ教官の掛け声と同時に


 シュン!


「えっ?」


 周りの風景が変わった


 さっきまで浜辺に居たのに……森の中になってる


「これは……転移魔法?」


 確か対象を移動させる魔法で人を転移させることも出来るって聞いたけど……実際にやるにはかなりの魔力の人手が必要だって聞いたよ!?


「あれ?シャルル!エルフィ!ガルネク!ラルスさん!」


 僕は周りに誰もいないことに気づく


「スルト!ルーク!パリス!ユルマリ!!」


 僕は歩き始める


「ミスト!サハル!リーデス!!ファラン!ミートルス!!」


 返事はない


「完全に一人?」


 こんな森の中で?

 お、落ち着け僕!


「取り敢えず誰か見つけよう!」

 僕は剣と道具の確認をする

 うん!大丈夫!持ってる!


「行こう!」



 こうして卒業試験が始まった



・・・・・・・・



ーーー船ーーー


「何人残ると思う?」


リードゥがゴルバに向かって言う


「お前は何人だと思う?」


ゴルバが逆に聞く


「7人」


リードゥが答える


「私は……ーーー」


ゴルバの答えに


「はぁ!?」


リードゥは呆れた






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